「国連本部を日本に!」-加藤典洋氏の提案
ロシアのウクライナ侵略で「やはり日米安保は必要だ」と多くの日本人が思っているだろう(私も半分はそう感じる。)。もっとも、中国・北朝鮮がプーチンのように核戦争を辞さずと言えば、米国が日本を防衛するかどうかはわからんと思うが。
ところで、日米安保がなくとも日本の安全保障を維持する対案を加藤典洋氏が提言をしていました。2019年に亡くなった加藤典洋氏は、文芸評論家として名高く、さらに憲法9条についても三部作を著している(「9条入門」「戦後入門」「9条の戦後史」)。
加藤氏は、「立憲的護憲派」で「日米安保条約の解消(米軍基地の撤去)」と「日本の安全保障の確保」を目指します。彼は伝統的護憲派からは強く非難されています。加藤氏の戦後体制と憲法9条に対する歴史認識については多くの史料をもとに上記三部作で詳細に論じられています。
私なりに、これを超乱暴に要約すると(間違っているかもしれないが)
① 敗戦後に対日理事会の天皇訴追の圧力を回避するため、マッカーサーが天皇制を維持するため旧保守層に憲法9条の導入を認めさせた。
② 米ソ冷戦が激化し、国連の集団安全保障が機能しなくなったため、米国が日米安保条約を日本に締結させて日本国土を米軍が自由に利用できるようにして極東米軍の補完のため自衛隊を創設した。
③ 日本人が自らの国家主権を維持して、自国の平和を維持するためには、日米安保条約を解消して自衛のための武力組織を持たなければならない。
④ そのためには、日本は過去の侵略戦争を反省し、国連中心主義を基軸として自国の安全保障を構築すべきである。
加藤氏は、次のような具体的な対案を提起しています。
第1点は、憲法9条を改正して、自衛隊を二つに分けて、治安出動を禁止された「国土防衛隊」と国連の集団安全保障体制に協力する「国連待機軍」を設ける。また、外国軍基地の国内での設置を禁止する条項を設ける。
第2点は、国連本部を日本に招致し、国連予算の全てを日本が負担する。
国連の1年間の予算は2022年で約30億ドル(120円換算で3600億円)となるが、日本の在日米軍関係経費は7970億円(令和4年度予算防衛省発表)にのぼり、国連全体の予算の2倍以上です。そこで、日本は国連本部を日本(沖縄)に誘致し、国連予算の分担金として100%全て出せます(今は日本の分担金比率は8%、米国が22%、中国15%)。安保条約がなくなるから在日米軍に払っている予算は不要になるからお釣りがきます。
日本(例えば、沖縄や北海道)に国連本部が設置されれば、中国やロシアもなかなか攻撃できないでしょう。
「思いつき」「笑い話」「夢物語」
でも、このくらいの大風呂敷を広げないと、これから何も変わらないでしょう。フィンランドのケッコネン大統領は「国の地政学的環境と利害関係の折り合いをつけて予防外交に徹し、他国をあてにしないこと」と述べた。そのフィンランドが今やNATO加盟しようとしていますが。
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