財務省事務次官セクハラ疑惑へのマスコミへの疑問
財務省の対応への評価はなかなか難しいですね。新聞報道だけでの印象であり、週刊新潮の記事自体を読んでいませんが。
そもそも、週刊新潮の記事では被害者である女性記者が被害を週刊新潮に提供したというのが記事の発端のようだ。
そこで、第1の疑問。財務省の記者クラブに出入りするようマスコミの女性記者(ジャーナリスト)が、なぜ自社ではなく週刊新潮にリークするのだろうか? しかも、録音までしているにもかかわらず。
考えられる理由は、自社に訴えたが財務省とにらまれることを恐れて当該マスコミが取り上げなかった。そこで、女性記者は週刊新潮にたれこんだという理由です。それでも自社に迷惑がかかるので匿名にしたということだろうか?
第2の疑問。一般論としてセクハラの被害者が匿名でしか訴えられない事情は理解できます。しかしながら、マスコミ記者でジャーナリストである人物が実名を恐れたり、セクハラ告発でさえ匿名でするものなのだろうか?(自社の上司のセクハラ告発を躊躇するのは理解できるが、超大物の財務省事務次官のセクハラ行為の告発を躊躇するだろうか? ジャーナリストなら、こんな超弩級の特ダネは諦めないのが普通ではないだろうか?)
もし、女性記者がマスコミ(報道機関)に所属するジャーナリストさえ、官僚のセクハラを実名告発できないのが日本のマスコミ、ジャーナリズムだということになると、日本のマスコミやジャーナリズムが絶望的な状態ということになる。
おそらく、その女性記者が実名告発を恐れるのは、実名で告発すると自分が所属する報道機関が財務省などから報復を受けることになり、自社をそういう立場に追い込むなと上司から妨害や嫌がらせを受ける。あるいはその危険を感じているということでしょう。(こういう現状をふまえる限り、その女性記者の自己防衛としてはやむをえないことでしょうから、当該女性記者を非難するものではありません。)
第3の疑問。加害者である男性が、女性記者に対して胸を触らせろなどと言った行為を全面的に否認している場合、当該言動が事実であると確信するには、週刊新潮の報道(録音も含めて)だけでは不十分といわざるをえないでしょう。事実関係の確認を経ないまま、即更迭を主導するマスコミ報道への疑問。
被害者名や所属報道機関名を公表する必要はないが、少なくとも財務省が懲戒処分をするには、男性が否認している以上、被害者からの事実確認は必要不可欠であり、その事実確認手続き経ないで懲戒処分することは、法律的には無理スジだと思います(財務省に固有名詞を知らせなくとも、委託した弁護士などが少なくとも被害者本人に事実確認をすることは必須ではないでしょうか)。
他方、新潮社は、男性からの名誉毀損訴訟では、「真実でなくとも真実だと信用する相当な根拠があれば勝てる」と見込んでいるのでしょう。でも、男性への懲戒処分の有効性は、上記セクハラ行為が真実であることが必要となるでしょう。
第4の疑問。財務省は被害者に弁護士に連絡して協力してほしいと発表したが、弁護士の守秘義務(第三者だけでなく、財務省にも固有名詞などを通報しないという守秘義務)を明確にしていない点が不思議であり、また、当該法律事務所が財務省の顧問事務所という点も疑問である。第三者性が明確な弁護士に委託するべきでした。例えば、日弁連に担当弁護士の推薦を依頼するとか。
願わくば、被害者である女性記者が勇気を出して、財務省事務次官のセクハラを実名で告発し、声をあげられない女性の代表として、たたかってほしい。そして、マスコミや市民が彼女を擁護するという関係が理想でしょう。でも、この日本では無理なんでしょう。
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