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2018年4月24日 (火)

野川忍教授「労働法」

明治大学の野川忍教授から新著「労働法」(日本評論社)を送っていただきました。

ありがとうございます。

本文1051頁の大著です。
債権法改正から、労契法20条の最新の判例(大阪地裁 日本郵便労契法20条事件)まで網羅されています。

「はしがき」に、政策の理論的基盤を提供し、これに精緻な解釈論を加える政策法学としての体系書と、憲法の理念に立脚して労働者の権利擁護を重視する理念法学の流れの中で、本書は「マージナルポジションにある」とされています。

「労働法の生成」の章で、「資本主義の成立と労働関係」の説明の中で、イギリスの工場制生産体制の確立の中で、エンゲルスや、ロバート・オーウェン、サンシモン、マルクスの名前が出てきて、注に廣松渉が引用されているのは、労働法の教科書としては珍しいです。

知人の町田悠生子弁護士が協力者として名前があげられています。




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2018年4月18日 (水)

驚愕の幹部自衛官ー統合幕僚監部の三佐が国会議員に「国民の敵だ」と罵倒

自衛隊の幕僚監部の三等空佐が、民進党の小西参議院議員に対して、国会近くの路上で夜9時に偶然にあった際に、「国民の敵だ」「気持ち悪い」などと罵倒し、警備の警官が集まってきても罵倒をやめなかったという。

財務省の事務次官のセクハラ問題の影に隠れていますが、この事件を軽視すべきではありません。

「自衛隊員にも政治的意見を言う自由がある」などと三佐を擁護する声も見受けられますが、そのような意見は、自衛隊が実力組織(もっと、ありていに言えば軍事組織)であることを忘れた謬見だと思います。

「三等空佐」とは航空自衛隊の三佐であり、旧軍で言えば「少佐」にあたる将校です。幕僚監部は、旧帝国陸軍では参謀本部、旧帝国海軍では軍令部にあたり、統合幕僚監部(統幕)は、陸上、海上、航空の幕僚監部を統合する自衛隊の中枢機関です。

その「統幕」の「三佐」(少佐)が、国会議員に対して、勤務時間外だとしても、国会周辺の公道上で「お前は国民の敵だ」と罵倒したわけです、しかも、警官が集まってきても、現職の自衛官となのって罵倒をやめなかったという。


自衛隊法61条や自衛隊法施行令では、自衛隊員の政治的行為を禁止しています(刑罰規定あり)。つまり、自衛隊員は、政治的中立性を守らなければなりません。

また、自衛官の服務等訓令では、「何人に対しても冷静で忍耐強く、正しい判断をし、野卑で粗暴な言語又は態度を慎まなければならない」と定めれれています。そして、「隊員たるにふさわしくなく行為があったとき」には懲戒処分をうけます(自衛隊法46条)。


自衛隊は軍事組織にほかなりませんから、一般の国家公務員以上に、政治敵中立性を厳格に遵守しなければなりません。わが国には戦前の軍部テロ(5.15事件や2.26事件)の歴史がありましたから。

ところが、統幕の三等空佐という幹部自衛官(昔で言えば「参謀本部少佐」というエリート軍人)が、特定の政党や国会議員の政策や方針について反対する意図をもって、公道にて周りの警察官が制止するのも無視して、自衛官であることを名乗った上で、「お前は国民の敵だ」と発言をしたわけです。


統幕の佐官クラスが、このような政治的意図をもって、自己抑制もできずに、国会議員を罵倒することは由々しき事態であり、驚愕します。タガがはずれいていると思います。

罵倒された国会議員が民進党議員であるか、自民党議員であるか、公明党議員であるかは本質的問題ではありません。この自衛隊員の意見にあわない場合に、議員を「国民の敵だ」と決めつけて罵倒することが問題なのです。


だからといって、すぐに戦前の軍部テロの時代が再来するとは思いませんが、統幕の佐官クラスの言動であることから見て、自衛隊の内部(統幕内部)に、自衛隊に批判的な政党や政治家に対して、「国民の敵」とか「反日分子」として攻撃すべき「敵」であるとの政治思想やイデオロギーが蔓延し、あるいは浸透していることが伺われます。あるいは、そのような政治思想グループがすでに形成されているのかもしれません。そうだとすると怖いですね。


軍事組織である自衛隊の一部でも暴走しはじめたら、誰にも止められません。自衛隊では監察本部がその役目を担うのでしょうが、これも防衛省の内部組織ですから身内です。警察(公安部)も監視していると思います(戦前の5.15事件では、犬養首相警護の巡査らが軍に殺害されているので、警察は伝統的に「軍」を警戒していると何かの本で読んだことがあります)。


この三佐を厳しく処分することは当然として、自衛隊内には自衛隊に批判的な政党や国会議員を敵視する政治思想グループが形成されていないか、徹底的に調査し、もし形成されいればその影響力を除去する措置がとられるべきです。将来の禍根を残さないように国会がきちんと対処すべきです。

毎日新聞

議員罵倒

「国民の敵」発言は3佐 防衛相「適正に対処」

参院外交防衛委員会で質問する民進・小西洋之氏=国会内で2018年4月17日午前10時45分、川田雅浩撮影

 防衛省は17日、統合幕僚監部指揮通信システム部の30代の3等空佐が、民進党の小西洋之参院議員と16日夜に国会近くの路上で偶然遭遇した際に、「不適切な発言」を繰り返したと認めた。小西氏によると3佐は「お前は国民の敵だ」と繰り返し罵倒した。河野克俊統合幕僚長が17日、議員会館の小西氏の部屋を訪れて謝罪。小野寺五典防衛相は「適正に対処する」と話し、統幕が処分も検討する。野党は「実力組織の統制に大きな疑問を持たざるを得ない」(希望の党の玉木雄一郎代表)と反発している。

 小西氏が17日の参院外交防衛委員会で明らかにした。小西氏と防衛省によると、3佐は16日午後9時前、帰宅後のランニング中に小西氏と出会った。3佐は「小西だな」と言った後、現職自衛官だと自分から明かして繰り返し罵倒。警備中の複数の警察官が集まった後も「気持ちが悪い」などとののしり続けた。小西氏が「服務規定に反し、処分の対象になる」と撤回を求めたが撤回しないため、同省の人事担当に電話するなどした。3佐は最終的に態度を改め、発言を撤回したという。

 自衛隊法は、隊員に選挙権の行使を除く政治的行為を原則として禁じ、品位を保つ義務も課している。河野氏は記者団に「自衛官が国民の代表である国会議員に暴言と受け取られるような発言をしたのは大問題。極めて遺憾だ」と話した。

 小西氏は国会で自衛隊イラク日報問題などを取り上げ、小野寺氏の管理責任などを追及している。玉木氏は17日の記者会見で、1938年に佐藤賢了陸軍中佐が当時の帝国議会で議員のヤジに「黙れ」と発言したことに触れ、「由々しき問題だ。80年たって非常に嫌な雰囲気が漂ってきた気がする」と指摘。社民党の又市征治党首も会見で「批判的なことを言ったら『非国民』というのと同じだ」と強調した。

 小西氏は記者団に「かつて青年将校が『国民の敵だ』『天誅(てんちゅう)だ』と叫んで政治家を暗殺した。現職の自衛隊幹部が国会議員を国民の敵だと何度も言い放った暴挙は、民主主義において許してはいけない」と語った。【前谷宏、立野将弘】

https://mainichi.jp/articles/20180418/k00/00m/010/095000c

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2018年4月16日 (月)

財務省事務次官セクハラ疑惑へのマスコミへの疑問

財務省の対応への評価はなかなか難しいですね。新聞報道だけでの印象であり、週刊新潮の記事自体を読んでいませんが。

そもそも、週刊新潮の記事では被害者である女性記者が被害を週刊新潮に提供したというのが記事の発端のようだ。

そこで、第1の疑問。財務省の記者クラブに出入りするようマスコミの女性記者(ジャーナリスト)が、なぜ自社ではなく週刊新潮にリークするのだろうか? しかも、録音までしているにもかかわらず。

考えられる理由は、自社に訴えたが財務省とにらまれることを恐れて当該マスコミが取り上げなかった。そこで、女性記者は週刊新潮にたれこんだという理由です。それでも自社に迷惑がかかるので匿名にしたということだろうか?

第2の疑問。一般論としてセクハラの被害者が匿名でしか訴えられない事情は理解できます。しかしながら、マスコミ記者でジャーナリストである人物が実名を恐れたり、セクハラ告発でさえ匿名でするものなのだろうか?(自社の上司のセクハラ告発を躊躇するのは理解できるが、超大物の財務省事務次官のセクハラ行為の告発を躊躇するだろうか? ジャーナリストなら、こんな超弩級の特ダネは諦めないのが普通ではないだろうか?)

もし、女性記者がマスコミ(報道機関)に所属するジャーナリストさえ、官僚のセクハラを実名告発できないのが日本のマスコミ、ジャーナリズムだということになると、日本のマスコミやジャーナリズムが絶望的な状態ということになる。

おそらく、その女性記者が実名告発を恐れるのは、実名で告発すると自分が所属する報道機関が財務省などから報復を受けることになり、自社をそういう立場に追い込むなと上司から妨害や嫌がらせを受ける。あるいはその危険を感じているということでしょう。(こういう現状をふまえる限り、その女性記者の自己防衛としてはやむをえないことでしょうから、当該女性記者を非難するものではありません。)

第3の疑問。加害者である男性が、女性記者に対して胸を触らせろなどと言った行為を全面的に否認している場合、当該言動が事実であると確信するには、週刊新潮の報道(録音も含めて)だけでは不十分といわざるをえないでしょう。事実関係の確認を経ないまま、即更迭を主導するマスコミ報道への疑問。

被害者名や所属報道機関名を公表する必要はないが、少なくとも財務省が懲戒処分をするには、男性が否認している以上、被害者からの事実確認は必要不可欠であり、その事実確認手続き経ないで懲戒処分することは、法律的には無理スジだと思います(財務省に固有名詞を知らせなくとも、委託した弁護士などが少なくとも被害者本人に事実確認をすることは必須ではないでしょうか)。

他方、新潮社は、男性からの名誉毀損訴訟では、「真実でなくとも真実だと信用する相当な根拠があれば勝てる」と見込んでいるのでしょう。でも、男性への懲戒処分の有効性は、上記セクハラ行為が真実であることが必要となるでしょう。

第4の疑問。財務省は被害者に弁護士に連絡して協力してほしいと発表したが、弁護士の守秘義務(第三者だけでなく、財務省にも固有名詞などを通報しないという守秘義務)を明確にしていない点が不思議であり、また、当該法律事務所が財務省の顧問事務所という点も疑問である。第三者性が明確な弁護士に委託するべきでした。例えば、日弁連に担当弁護士の推薦を依頼するとか。

願わくば、被害者である女性記者が勇気を出して、財務省事務次官のセクハラを実名で告発し、声をあげられない女性の代表として、たたかってほしい。そして、マスコミや市民が彼女を擁護するという関係が理想でしょう。でも、この日本では無理なんでしょう。

財務省の福田淳一事務次官が女性記者にセクハラ発言を繰り返したと週刊新潮が報じた問題で、財務省は調査結果を発表した。…
ASAHI.COM

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