労働者派遣法 鎌田耕一・諏訪康男編著 三省堂
鎌田耕一教授から、「労働者派遣法」を送ってもらいました。
同書の第6編、第5章にて、「派遣労働契約の無期転換後の労働条件について」が論じられています。
労働契約法18条により、派遣社員の派遣元との労働契約が通算5年を超える場合に、派遣社員は無期転換を申し込めます。派遣元はこれに承諾したとみなされますから、無期派遣労働契約が成立することになります。そのとき(労契法施行後5年の2018年4月)が迫っています。
この点については、実はいろいろな見解が示されていますが、
本書(鎌田教授執筆)では、
①無期転換になったときには、従前の有期派遣労働契約と同一ですから、そのときの派遣先の労働条件と同一になる。
②しかし、無期転換の当時、派遣先との労働者派遣契約が終了して更新されなかった場合にどうなるか。これについては、派遣労働契約は終了することなく、派遣元会社は、他の派遣先を紹介することなどにより雇用を継続する義務を負う。単に従前の派遣先との労働者派遣契約が終了したというだけでは解雇できない
と解釈されています。
②については、派遣労働契約も終了するという使用者側弁護士の書いた本も読んだことがあります。しかし、派遣労働契約は継続するという著者の解釈は当然です。立法過程に関与した著者の解釈は重みがあるとおもいます。
ただ、②については、無期転換の契約が成立した時点で、労働者派遣契約が成立しても、成立した無期労働契約の労働条件(特に賃金)は、従前の派遣労働契約の賃金が契約内容になるかどうかという問題もあります。
私は、新たな派遣先が見つかるまでは、従前の有期派遣労働契約の賃金が保障されると解釈すべきだと思います。
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