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2016年1月31日 (日)

解雇の「労働局紛争調整委員会・あっせん申請」が少ないことに驚く

厚労省の検討会資料をみて

 現在、厚労省労働基準局の下で、「透明かつ公正な労働紛争解決システム等の在り方に関する検討会」が開催されています。 

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-roudou.html?tid=307309

 この検討会の検討事項は次の二つです。

(1)既存の雇用終了をめぐる個別労働紛争解決手続の有効な活用法。

(2)解雇無効時における金銭救済制度の在り方(雇用終了の原因、補償金の性質・水準等)とその必要性。

 
 一つ目の論点に関して厚労省の作成した資料の中で気になった点が一つあります。

 現在、「雇用終了に関する紛争」(解雇・雇止め)の紛争解決手続として、主なものとして、次の三つがあります。

 労働局の相談・あっせん手続

 裁判所の労働審判手続(労働審判)

 裁判所の訴訟手続(裁判)

 厚労省の作成した資料によると全国の「雇用終了に関する紛争」の平成26年度の状況は次のとおりなのです。詳細は上記WEBから資料が観られます。

 

 個別労働紛争解決 相談件数     3万89666件

    あっせん申請件数   1392件

② 裁判所の労働審判 新受件数      1742件

           調停成立      1242件

③ 裁判の解雇等訴訟 新受件数       967件

           終局事案          917

「個別労働紛争解決」とは、厚労省が都道府県においている地方労働局での手続で、相談、助言・指導、あっせん申請の三つ手続が用意されています(個別労働関係紛争解決促進法)。 

 相談 ⇒ 助言・指導 ⇒ あっせん申請

 この手続の概要は次のようなものです。 

 労働者は、解雇等の紛争に直面したら労働局に総合労働相談センターに相談できます。そして、必要な場合には労働局長が助言・指導を行います。

 また、当事者は、労働局の紛争調整委員会(弁護士や学者等)にあっせん手続を申請して、が相手方を呼び出してあっせん手続をすることができます。ただし、労働局のあっせん手続には強制力はありません。しかし、手続費用は無料で労働者が弁護士を依頼する必要もありません。

 要するに「あっせん申請」は紛争調整委員会が使用者に呼び出して、労働局の紛争調整委員会で当事者から事情を聞いて、あっせん案を提示する手続です。相談や助言・指導よりも解決に向けての手続なのです。


■あっせん申請の件数と比率が極めて少ない

 ところが、上記のとおり、労働局への解雇等事件の相談が、平成26年で3万8966件があったにもかかわらず、あっせん申請されているのが、わずか1392件で、全解雇等相談件数のわずか3.57%という点にひっかかります。

 手続費用と弁護士を依頼する必要がある解雇等事件の労働審判の平成26年度の申立件数が1747件なのに、労働局紛争調整委員会のあっせん申請が、これより少ない1392件であることが私には理解しがたいのです。 

 たしかに、労働相談は必ずしも全部が裁判や労働審判となるわけではありません。しかし、解雇された場合には、何らかの手続をしないかぎり、解雇された労働者はただ泣き寝入りするしかありません。 

 弁護士の私のところに相談にこられる解雇事件の相談者の8割は何らかの手続に進みます(弁護士交渉も含めて)。なかには解雇が有効と思われる場合や、解雇を争いたいが家族が反対するからということで手続を断念される方もいますが。 

 労働審判や訴訟は手続や弁護士に費用がかかって労働者にとってはハードルが高いですが、労働局のあっせん申請は、厚労省が行う無料の手続であり、ほかに解決手段がない労働者があっせん申請を躊躇する性質ものではないと思います。訴訟や労働審判と比べてコストがかかりませんから。あっせん手続では、使用者に出頭の義務はありませんが、使用者が出頭しなくてもダメ元ですから、躊躇する理由にはなりません。

 そういう意味では、労働局の解雇等事件の相談件数が3万8966件もあるのに、あっせん申請が1392件しかないのは、労働局のあっせん申請に、何らかのアクセス障害があるのではないかと思います。

 しかも、労働局には、ひどい解雇相談が殺到しているとも言われているのですから。⇒ http://www.jil.go.jp/publication/ippan/koyoufunsou.html

■今後の検討課題

 労働局紛争調整委員会の委員を担当されている弁護士も多くおり、労働局の相談員の知り合いもいますので、労働局の方々とも、是非、勉強会などができたらと思います。労働弁護団でも企画するよう持ち込んでみよう。

 

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2016年1月 6日 (水)

天下大乱

謹賀新年なのに時局ネタ

2016年は、異様に暖かい正月です。


■サウジとイランの国交断絶

サウジアラビアとイランが「国交断絶」というニュースにびっくりぽん。

両国は地域大国で、スンニ派原理主義盟主とシーア派原理主義盟主です。

不倶戴天の敵対関係といってもよいでしょうね。

昔であれば、国交断絶の次は、「宣戦布告」です。

対立の背景にはイランの核開発への対抗という深刻な問題があるはずです。

この対立で得するのは誰か?

それは、IS(イスラム国)でしょう。

ISはスンニ派過激組織だが、カリフを自称するバクダディ師は、サウジ王家を打倒・シーア派を壊滅して、2020年までに「世界カリフ制国家」を樹立すると宣言しているそうで、2016年から全面対決に年となると行動計画もあるそうです(池内恵「イスラーム国の衝撃」)。

スンニ派の有力者らがISを資金・武器援助しているとの噂は絶えないですから、サウジのイランとの対立は嫌な感じです。 中東の「天下大乱」がいよいよ拡大されそうです。

■北朝鮮の水爆実験

と思っていたら、本日は北朝鮮が水爆実験の実施のニュースです。

サウジ・イラン対立の核つながりですが、今の国際的核管理体制(NPT)の瓦解が明白になりました。

実は,年末まで北朝鮮と中国との関係修復の動きで、もう核実験は実施しないかと思われていたのに、突然の予告なしの水爆実験にびっくりぽん。

北朝鮮は核弾頭運搬能力(ミサイル技術)はまだ低いと言われていますが、明確な脅威であることは変わりはない。

集団的自衛権の安保法制、国家緊急権、憲法改正などの安倍首相の動きがもっと露骨になります。

こういう憲法9条=非武装中立主義では対応できない事態が発生していることは否定できない。

具体的な政策として、安倍首相の積極的平和主義に対置できる安全保障政策を野党(民主党右派は自民党と同じ=前原とか長島とか=自民党に行けば良いのに。このままでは民主長は対案を提示できない。)が提案しないかぎり、参議院選では安倍首相の「勝利」は動かないでしょう(日本の民主党と共産党がドイツのメルケルくらいにのリアリストになれば良いのだが。)。それで、本来の非武装中立主義者は、社民党に投票すれば良いのだし。そうすれば社民党は生き残るれるし。

これは日本共産党が党名を変えない限り無理かも(「立憲社会党」や「立憲共和党」とかがイイと思う。とにかく共産はだめね=中国共産党と一緒だし)。そして、共産主義=マルクス主義を修正して、社会自由主義=ジョン・ロールズ=修正主義者エンゲルス的な思想に変えれな理論的にもすごいと思う。個人的には)。

その上で、日本の情勢にあわせて対置すべき、安全保障政策は次のとおり、
①「専守防衛自衛隊の容認」
②「国連の集団的安全保障への協力」
③「米国と集団的自衛権関係否定」

④「中国に対抗できる普遍的理念の構築(イデオロギー戦略=アジアの「王道」は日本がこれからつくるしかないでしょう戦略=新幹線的な下世話な話だけでなく、アジアの陸上・海上・電脳ネットワーク)」

で、どうでしょう。

■「王道」こそ
次の言葉は五族協和(本来は、[五族共和]であるべき)とともに大好きな用語です。
孫文が発した次の言葉がすばらしいですね。ガンジーも同じようなことを言っていた。

「あなたがた日本民族は、欧米の覇道の文化を取り入れていると同時に、アジアの王道文化の本質も持っている。日本がこれから後、世界の文化の前途に対して、いったい西洋の覇道の番犬となるのか、東洋の王道の干城(盾と城)になるのか、あなたがた日本国民がよく考え、慎重に選ぶことにかかっている」。(1924年の神戸での孫文の講演)
宮崎駿著「ナウシカ」から、 「クシャナの王道を歩め。そなたは血で清められた。そなたには王道こそふさわしい。」(by ユパ)。たぶん、これは実は、宮崎駿が日本に本当は期待したことなんだろうと思う。

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