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2015年11月 8日 (日)

派遣と有期契約労働者の2018年問題

労働法の「2018年問題」

■平成27年改正派遣法の「2018年」問題

労働者派遣法が「改正」されて、派遣可能な期間の制限が見直された。 有期雇用の派遣社員(派遣会社と有期雇用契約を締結して派遣されている派遣労働者)は、個人単位で、派遣先で働けるのは3年までとなった。

事業所単位では、派遣社員は同一組織(課単位)単位でも3年までしか、派遣を使用できません。ただし、延長することができて、過半数労組ないし労働者過半数代表の意見聴取をすれば延長できます。

平成27年派遣法改正は、9月30日以降、労働者派遣契約が締結・更新された場合に適用されます。ですから、今年の10月1日から3年後の2018年(平成)30年)9月30日までしか派遣先では働けません。他方、派遣先は、労働者の過半数代表の意見を聴取して、派遣社員を入れ替えて3年間が延長されて派遣社員を使い続けられます。

ただし、無期で派遣会社に雇用されている派遣社員は、この3年の期間制限はありません。

■平成24年改正労働契約法の「2018」年問題

2012(平成24)年8月に労働契約法が改正され、2013年4月1日から、5年無期転換ルール(労契法18条)が施行されました。

ですから、2013年4月1日に有期労働契約を締結・更新した場合には、2018年4月1日以降、有期雇用契約を無期に転換するように申し込むことができます。

有期で派遣会社に雇用されている派遣社員も、いわゆる専門26業務の場合には、契約を更新して3年を超えて働いている派遣社員がいます。

この派遣社員は、2018年4月1日をすぎれば、5年の無期転換ルールの適用を受けることができます。 つまり、2015年4月以降、派遣会社との有期雇用契約を更新してきた派遣社員が、2018年4月1日に以降も、有期雇用契約を更新すれば5年を超えるので、派遣会社に無期転換申込みができます。

そうなれば、派遣会社は無期雇用の派遣社員として雇用しなければなりません。 すると、雇用期間が無期である派遣社員は、3年の期間制限の適用をうけないので、期間制限なく働くことができることになります。多くの派遣社員は、無期転換の申込みをすることでしょう。

派遣会社が、こころよくこの無期転換を受け入れれば良いのですが、しかし、派遣会社は、派遣社員の無期転換を回避するために、2018年4月より前に有期雇用契約を雇止めをする可能性が高い。

■2018年問題

そうなうと、2018年1月から3月にかけて、派遣社員を含めて多くの有期契約労働者が雇止めされるなどのトラブルが生じるおそれがあります。

派遣社員にとっても、2018年は問題は、9月直前に生じるのではなく、2018年の2月から3月がヤマになると思います。


現在26業務の方にとっては、派遣会社との間で無期雇用契約への転換を求めていくといういうことが重要になると思います。

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