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2014年12月26日 (金)

韓国の憲法裁判所が政党解散命令

■「先進国 韓国の憂鬱」の続き

韓国の憲法裁判所が「統合進歩党」を、北朝鮮の「手先」で自由民主主義体制を転覆しようとしたと認定して解散を命じたそうです。

韓国の東亜日報[社説]

憲法裁、大韓民国破壊勢力の統進党に鉄槌を下した

http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2014122012758

憲法裁判所が、憲政史上初の政党解散請求事件で統合進歩党(統進党)の解散決定を下した。朴漢徹(パク・ハンチョル)所長をはじめとする裁判官8人が容認、1人が棄却の圧倒的多数の決定だ。中道や進歩的と言われる裁判官まで統進党の目的と活動が民主的な基本秩序を深刻に害していると判断した。

大韓民国憲法を見ると政党について次のように定めています。この4項に基づき、「政党の目的又は活動が、民主的基本秩序に違背するとき」に憲法裁判所は解散を命じたものです。

第8条

① 政党の設立は自由であり、複数政党制は保障される。

② 政党は、その目的、組織及び活動が民主的でなければならず、国民の政治的意思形成に参与するのに必要な組織を有しなければならない。

③ 政党は、法律が定めるところにより、国の保護を受け、国は、法律が定めるところにより、政党運営に必要な資金を補助することができる。

④ 政党の目的又は活動が、民主的基本秩序に違背するときは、政府は、憲法裁判所にその解散を提訴することができ、政党は、憲法裁判所の審判により解散される。

統合進歩党(国会議員5名)が、どういう政党なのかは、私は知りませんでした。

ネット情報によれば、「進歩的民主主義」を唱えて、労働者保護や財閥批判、米国批判を展開している左翼政党ということです。他方、北朝鮮の独裁については明確に批判しないというスタンスだったようです。そして、この統合進歩党の党員が武装組織(RO)を作っていたことは事実のようです。ただ、東亜日報の社説だとそれを首謀したとして内乱陰謀で起訴された統合進歩党国会議員は二審で証拠不十分で無罪となっています。韓国の裁判所の下級審はリベラルな裁判官が多く、憲法裁判所は年配の保守的な裁判官が多いという指摘を聞いたことがあります。


■「たたかう民主主義」

自由民主主義を破壊するファシスト政党・ネオナチや共産主義政党を解散させるのは旧西ドイツの姿勢でした。東西冷戦が激しいころ、1956年に西ドイツ裁判所がドイツ共産党違憲判決を出したことは有名です。

「アカの手先」、「非国民」、「ファシスト」とか「人民の的」というレッテル
で、時の政府が批判勢力を弾圧した例は、古今東西、よくあることです。


日本の治安維持法による弾圧、スターリニズムの弾圧・粛正、米国のマッカーシズムなどなど。



成熟した立憲主義国家では、「民主的基本秩序に違背するとき」という漠然とした基準によって政党を解散させるのではなく、自由な批判のもとで国民の選択に委ねられるべきと考えられています。

政党などの団体の解散命令が例外的に認められるとしても、それは破壊活動などの暴力行為が現実的で明白な具体的な危険が立証される場合に限られるとするのが立憲主義の立場でしょう。


韓国の場合、それほど切迫した危険な状態だったのでしょうかねえ。


韓国の民主化を、横から見てきた私としてはちょっと意外でした。冷戦時代への逆戻り、昔の軍政韓国みたいとの印象を持ちました。「先進国」なのに。

もっとも、今の日本でも、破壊活動防止法で暴力主義的破壊活動を行う団体に対しては、公安審査委員会が解散を決定することができるとなっています。将来は人ごとではなくなるかもしれませんが。

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