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2014年12月26日 (金)

2014年総選挙の「民意」の有りどころ

今年の衆議院選挙の評価、「議席数」は小選挙区制で歪められているので、議席数を見ては「民意」が分からない。衆議院比例区の「投票率」、「得票率」、「得票数」によって、国民の政党の支持の変化を判断するのが一番、わかるはずです。

2012年と2014年の総選挙を比較すると次のとおり。

 

【衆議院比例区】

 2012年    2014年

投票率    59     52
自民党  27.6(1662)     33.0(1765)
民主党  15.9(962)      18.3(977)
維新    20.3(1262)     15.7(838)
公明党  11.8(711)      13.7(731)
共産党  6.1(368)       11.4(606)
社民党  2.3(142)        2.4(131)
次世代    2.6(141)
生 活    1.9(102)

「勝者」は、自民党と共産党。

「敗者」は、維新と次世代

自民党は、投票率が低いとはいえ、比例区の得票率は33%の得票率です。議席占有率よりも低い。しかし、前回27%より5%アップし、しかも100万票を上積みしています。総議席を減らしたとはいえ「勝利」でしょう。

民主党は、比例区は前回よりも2.4%アップで18.3%となり少し回復したように見えますが、得票数は15万人増えただけ。「踏みとどまった」だけです。

維新は、比例の得票率が20.3%から15.7%に減少し、400万票の減少ですから、議席数にかかわらず「敗北」でしょう。

公明党は得票率を2%アップしていますが、得票数はほぼ変わらずで「現状維持」です。

共産党は得票率も2倍近く増加し、250万票を上積み。「大勝利」でしょう。この政党が将来、政党名をかえて、共産主義から欧州社民路線、非武装中立をやめて「専守防衛」路線になれば、けっこう大きな政党になるかもしれません。

社民党はほぼ同じ。共産党が伸びているのに、なぜ社民党は伸びないのか? 「敗北」でしょう。社民党は性的少数者保護やジェンダーフリー提唱など「市民的リベラル」を売りにしているのですが、なかなか選挙の結果には繋がらないですね。

次世代は、比例で2.6%の得票率で得票数141万。社民党程度の勢力を持っている。右派の国民の票が自民と維新にもとられて、次世代は存在感が示せなかった。田母神氏が都知事選で60万票をとったので、もっと増えるかと思いましたが「大敗」です。この日本版ネオナチ・極右政党が国民の支持を受けずに消えてしまえば良いのですが、維新がリベラル色を強めると、また息を吹き返すかもしれません。

総括すれば、安倍自民党への国民の信任は続いており、もうしばらくアベノミクスの様子を見ようということでしょう。少なくとも民主党の経済政策よりも、アベノミクスを国民は評価している。集団的安全保障や原発再稼動、沖縄倍軍基地問題などは多数派日本人の投票行動には影響を与えない

小選挙区のおかげで、自民党・公明党は議席3分の2を維持している。しかし、国民の支持は比例区選挙結果から見れば圧倒的とは言えない。このギャップを軽視して、自民党が政権運営を誤ると次回は勝利できるかどうか分からないですね。

安倍首相は自信を深めて、2016年参議院選挙で衆議院同時選挙を視野にいれているとの観測があります。10%への消費税値上げ前に、総選挙をして自民党単独3分の2を狙うということでしょうか。


それには何よりも「景気」がどうなるか次第です。景気が悪くなったときには、政権が選挙に勝つことは困難です。
今回、安倍首相は、消費税増税により景気悪化するぎりぎりの局面で、解散総選挙の賭けに打って出て勝利。2016年の参議院選挙は10%消費税アップ前です。今回、安倍首相は2016年秋には必ず10%アップすると断言しました。でも、景気が悪いとウルトラCとして消費税アップ再延期を打ちだすかも?

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韓国の憲法裁判所が政党解散命令

■「先進国 韓国の憂鬱」の続き

韓国の憲法裁判所が「統合進歩党」を、北朝鮮の「手先」で自由民主主義体制を転覆しようとしたと認定して解散を命じたそうです。

韓国の東亜日報[社説]

憲法裁、大韓民国破壊勢力の統進党に鉄槌を下した

http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2014122012758

憲法裁判所が、憲政史上初の政党解散請求事件で統合進歩党(統進党)の解散決定を下した。朴漢徹(パク・ハンチョル)所長をはじめとする裁判官8人が容認、1人が棄却の圧倒的多数の決定だ。中道や進歩的と言われる裁判官まで統進党の目的と活動が民主的な基本秩序を深刻に害していると判断した。

大韓民国憲法を見ると政党について次のように定めています。この4項に基づき、「政党の目的又は活動が、民主的基本秩序に違背するとき」に憲法裁判所は解散を命じたものです。

第8条

① 政党の設立は自由であり、複数政党制は保障される。

② 政党は、その目的、組織及び活動が民主的でなければならず、国民の政治的意思形成に参与するのに必要な組織を有しなければならない。

③ 政党は、法律が定めるところにより、国の保護を受け、国は、法律が定めるところにより、政党運営に必要な資金を補助することができる。

④ 政党の目的又は活動が、民主的基本秩序に違背するときは、政府は、憲法裁判所にその解散を提訴することができ、政党は、憲法裁判所の審判により解散される。

統合進歩党(国会議員5名)が、どういう政党なのかは、私は知りませんでした。

ネット情報によれば、「進歩的民主主義」を唱えて、労働者保護や財閥批判、米国批判を展開している左翼政党ということです。他方、北朝鮮の独裁については明確に批判しないというスタンスだったようです。そして、この統合進歩党の党員が武装組織(RO)を作っていたことは事実のようです。ただ、東亜日報の社説だとそれを首謀したとして内乱陰謀で起訴された統合進歩党国会議員は二審で証拠不十分で無罪となっています。韓国の裁判所の下級審はリベラルな裁判官が多く、憲法裁判所は年配の保守的な裁判官が多いという指摘を聞いたことがあります。


■「たたかう民主主義」

自由民主主義を破壊するファシスト政党・ネオナチや共産主義政党を解散させるのは旧西ドイツの姿勢でした。東西冷戦が激しいころ、1956年に西ドイツ裁判所がドイツ共産党違憲判決を出したことは有名です。

「アカの手先」、「非国民」、「ファシスト」とか「人民の的」というレッテル
で、時の政府が批判勢力を弾圧した例は、古今東西、よくあることです。


日本の治安維持法による弾圧、スターリニズムの弾圧・粛正、米国のマッカーシズムなどなど。



成熟した立憲主義国家では、「民主的基本秩序に違背するとき」という漠然とした基準によって政党を解散させるのではなく、自由な批判のもとで国民の選択に委ねられるべきと考えられています。

政党などの団体の解散命令が例外的に認められるとしても、それは破壊活動などの暴力行為が現実的で明白な具体的な危険が立証される場合に限られるとするのが立憲主義の立場でしょう。


韓国の場合、それほど切迫した危険な状態だったのでしょうかねえ。


韓国の民主化を、横から見てきた私としてはちょっと意外でした。冷戦時代への逆戻り、昔の軍政韓国みたいとの印象を持ちました。「先進国」なのに。

もっとも、今の日本でも、破壊活動防止法で暴力主義的破壊活動を行う団体に対しては、公安審査委員会が解散を決定することができるとなっています。将来は人ごとではなくなるかもしれませんが。

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2014年12月14日 (日)

読書日記「先進国・韓国の憂鬱」大西裕著 中公新書

2014年4月発行、2014年12月14日読了
■先進国としての韓国
 先進国とは、大辞泉によると「政治・経済・文化などが国際水準から見て進んでいる国」と定義されています。経済的に見れば2013年統計で韓国が次のとおり先進国であるのは明らかです。なお、韓国の人口は約5000万人で、日本のほぼ半分です。

名目GDP比較(10億USドル)
1位  米国  16,768
2位   中国    9,469
3位   日本     4,898
14位  韓国    1,304

一人当たりの名目GDP(USドル)
9位   米国  53,000
24位 日本   38,467
30位 韓国  25,975
83位 中国   6,958

 また、韓国は、政治的にみても、1987年の民主化により立憲民主主義体制が確立しています。文化的にも、例えば韓国映画の水準が高いことから見て、国際的にも進んだ国です。

■金大中政権以降の韓国現代政治

 本書は金大中大統領時代から現在まで、政治的対立状況や福祉政策の変遷を概観した韓国比較政治史です。韓国と日本の異質性よりも、韓国が抱える社会問題と、日本が直面する社会問題に共通性があると感じました。

■格差社会-韓国
 本書によると、OECD加盟国(31国、米・豪・露・墨を除く)で、不平等度合い(ジニ係数)で見ると韓国は20位、日本が6位で日本のほうが不平等社会です。相対貧困率で言うと韓国は6位で、日本が4位です。この格差社会を生み出し原因については、通説は次のとおり説明します。

 韓国の経済格差の深刻化したのはアジア通貨危機の際に韓国に緊急融資を提供したIMFが韓国に新自由主義改革を強要し、市場への政府の介入を最小限にとどめて、市場原理を貫徹した新自由主義改革による。韓国経済は競争が激しくなり、生産性が向上したため韓国経済を浮上させて、先進国へとはばたかせた。
 しかしながら、競争は優勝劣敗を引き起こさざるを得ず、経済格差を生み出した。金大中政権は、本来は進歩的であったが、IMFの強要でやむを得ず改革を行い、進歩的な政策を封印した。続く盧武鉉政権も同様であった。

 著者は、この通説を誤りとするわけではありませんが、「進歩派」とされた金大中政権も、盧武鉉政権も、必ずしも福祉と経済の自由化を矛盾するものととらえていなかったしとします。著者は、韓国の政治対立状況には、激しいイデオロギー対立があるとします。

■韓国の「進歩派と保守派」
 韓国での進歩派(左派)と保守派(右派)の対立は、日本と同様です。

 進歩派は、自由競争の結果、勝者と敗者が生まれ、国民間に不平等が広がることを懸念し、所得の再配分など政治の介入でより平等な世界を作ろうとする。他方、保守派は、政府の市場への介入が経済力を削ぐことを懸念し、企業の経済活動の自由をできるだけ広く認める。
 ほとんどの先進国で進歩派と保守派の対立は現在でも存在する。…ところが、韓国では、この対立が今なお先鋭化した状態にある。韓国におけるイデオロギー対立は、経済活動以上に、主権と民族に関する考え方の違いとして表れている。

 この主権と民族の考え方とは、 「進歩派」はアメリカとの同盟は韓国の主権侵害であり、民族分断を固定化させることにつながったと考え、他方、「保守派」は、独裁的な北朝鮮から韓国を守ってくれたのがアメリカと考える。つまり、反米・親北朝鮮が「進歩派」、親米・反北朝鮮が「保守派」なのだそうです。

 米ソ冷戦の終結から、上記のようなイデオロギー対立は、日本ではだいぶ影をひそめています。1980年前半以前は、日本でも「革新=進歩派」である社会党・共産党と「保守」の自民党の対立で、すくなくとも前者が3分の1の勢力を保ち、両者が拮抗する状態でした。今とは大違いです。しかし、 今や「革新派」は消滅寸前で、かわって「保守派」が大きくなって別れて(自民、民主、維新)、今や自民党が保守一強になっています。

■韓国の進歩派・「三八六世代」の特徴

 韓国の政治状況のもう一つの特徴は、地域主義が強く政党支持率や投票率も地域主義に影響を受けていた点だそうです。

 ところが、1987年の民主化以降、この状態が変わったと言います。それを牽引したのが、「三八六世代」とは、一九六〇年代生まれ、八〇年代に大学生、二〇〇〇年代に三〇歳代の世代を指すそうです。彼らが一九八七年の民主化の最前線を担い、二〇〇〇年以降の韓国の政治・経済をひっぱる主力の世代でした。この世代は、ナショナル・アイデンティティにこだわりがあったそうです。

 本書によれば、「北朝鮮は、反植民地・反日闘争を繰り広げて一応自力で独立をかちとっが、韓国は米国の強い関与で建国し、独立後も米国の半植民地状態におかれた傀儡国家で、自主独立の北朝鮮のほうが民族としての正統性に根ざしているのではないか」というナショナル・アイデンティティに関わる疑念が若い世代をとらえていたそうです。
(韓国の建国には「神話」のようなものがないということでしょうか。「李氏朝鮮」との連続性もないからでしょうか。これは初耳でした。)


 そこで、「進歩派」は親北朝鮮・反米的になり、他方、保守派は、反北朝鮮・親米的ということになったのだそうです。

■金大中政権や盧武鉉政権の政策

 進歩派が主力の金大中政権や盧武鉉政権は、政労使合意で福祉政策をすすめようとしたが、労使の対立が激しくなり、中途半端な政策にしか進まなかった。
 この結果、両政権とも、労働者側からは不十分・裏切りとして批判され、使用者側からは過度な政府介入だと批判されるというものになったといいます。結局、盧武鉉政権の導入した福祉政策は、社会民主主義的な福祉政策だが、その給付水準は低いものにとどまったといいます。
 他方、盧武鉉政権は、進歩派が担う政権だったにもかかわらず、米韓FTAを批准して親自由主義的な貿易自由化をすすめようとしました。盧武鉉大統領自身は、FTAによる市場開放によって、企業も人も生産性をあげることで福祉も生産性も向上させることを目指したという。いわばドイツ社民党やイギリス労働党の「第三の道」だったようです。しかし、これは進歩派支持者の目には「裏切り」と映り、社会的合意を得られないまま失敗に帰したようです。

■個人的な韓国体験
 韓国には、2010年前後に2回ほど調査旅行に行ったことがあります(初めて韓国に行ったのは2002年日韓ワールドカップですが、10年経て大分かわっていた)。弁護士会の関連調査です。韓国の弁護士会や、日本の厚生労働省である雇用労働部、中労委、裁判所の方々にお会いしてお話しをお聞きする機会がありました。今から思えば応対していただいた多くの方は「三八六世代」のようです。

 韓国でも司法改革が行われて国民参与裁判やロースクールが導入されており、その調査のために訪韓したのです。弁護士会の役員の方とは、夜一緒に食事をしたり呑んだりもしました。夜楽しく呑んで親しくなると、日本に留学された韓国弁護士が「日本の裁判員裁判はアメリカの陪審制を修正して時間をかけて導入されたが、韓国の場合には、アメリカの言うがままだ」と愚痴ってました。
 私は「イヤイヤそんなことはありません。日本でも同じような批判がありますよ。でも旧来の職業裁判官の刑事裁判よりかは良いんじゃないでしょうか?」って、日本でいるのと同じような議論をしたのを覚えています。

 また、非正規労働者保護法などの実体法は、韓国は日本より先に行っています。その労働法について、韓国でも菅野和夫「労働法」を労働弁護士は読みこなしているとも聞きました。調査で訪れた憲法裁判所では、京大への留学経験がある若手の裁判所調査官から、韓国の労働法や社会システムについて色々なレクチャーを受けることができました。韓国では、労働者の平均勤続年数は6~7年と短いこと、賃金は年功序列制だが、実際には40歳くらいになると労働者は辞めて自営業者になること、韓国では自営業者の比率が高いことなど、日本とは異なる雇用実態があるようです。

 でも、ソウルの地下鉄で移動し、コンビニで弁当やお茶を買うときには、すべて交通系の磁気カードで済ませることができるのです。日本にいるのとまったく同じ感覚で生活できます。

■日本と韓国の比較の重要性

 日本と韓国とも、格差社会や少子化などの課題に直面しています。両国の社会実態は異なりますが、それぞれ様々な政策や法律が施行されて、その結果、どのような効果や影響を生むのか。政治状況を含めて韓国をよく知ることは、日本にとって大いに参考になるように思います。

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2014年12月 9日 (火)

「より悪くない方」という政治選択基準の当否

大学生1年のとき、ゼミの指導教授が、「政治というのは、Less worthで良いのだ。best  を求めると悪い結果を招く」と言っていました。

若かった私は、「つまんない教授だなあ。理想をもとめないと意味が無いではないか」と思ったものです。でも、私も齢50をすぎる頃から、「より悪くない方を選ぶ」のは懸命な策だと理解するようになりました。
先日、東京新聞のコラムで、山口二郎教授が、「鼻をつまんで投票を」って書いていました。

自民党が圧勝する情勢の中で、嫌いな政党であっても、よりマシな政党に投票しようという呼びかけです。要するに、民主党ブレーンの山口教授は、「気にくわなくても、よりマシな民主党にいれてね」っていう意味なのでしょう。
もっとも民主党がよりマシかどうかが問題なのですが。
民主党の海江田党首がテレビ演説で「消費増税反対」とか「集団的自衛権の閣議決定撤回」とか言っても、どうしても「よく言うよ。野田政権のときに民主党が賛成したのに。」と思ってしまうので、よりマシとも思えない。

民主党が人気をとりもどすには民主党政権のふがいなさを忘れるだけの年月が必要なんでしょう。時間が解決するのを待つしかないのかもしれません。
でも「よりマシ」でなく、「より悪くない」の基準で考えると民主党は選択対象に含まれます。
そこで、主な選択肢は、民主党、又は維新の党、あるいは共産党かということになります。他に、次世代の党とか社民党とかありますが、候補者が少ないので検討対象外とします(他意はありませんので、あしからず)。
小選挙区制では比例区とちがって共産党は絶対に死票になりますので選択対象外。選択肢としては、民主党、あるいは維新の党ということになります。
「自民党か、維新の党か」という選択肢になると、私にとっては悩ましい正に究極の選択です。
私個人は、維新の党の橋下代表について「あまりに品性を欠く、最悪なポピュリスト政治家」と思っていますので、彼だけには国会や国政に対する影響力を持たせたくないと心底思っています。
そうなると、「より悪くない方」という基準で考えると、まだ自民党のほうがマシに思えてしまうので困っています。

維新の党でなく、自民党に入れるしかない? 
うーん。死票覚悟で共産党に入れるしかない? 
より悪くない方を選択するのも難しいですな。

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