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2014年9月15日 (月)

2014年司法試験と予備試験の結果。そして、ロースクール制度改革案

■最終合格点と合格者人数

2014年の司法試験合格者が、1810人(合格最低点770点)

2013年の司法試験合格者は、2049人(合格最低点780点)

合格点を昨年よりも下げているのに合格者が減少している。司法試験委員会が意図的に合格者を減らしたわけではないようにも思えます。もし、意図的に減らすのであれば、去年と同じ合格点(780点)にすれば、成績が悪いという理由でもっと減らせたのですから。試験の出来が去年に比べても全体的に良くなかったということなのでしょう。

もっとも、合格点を760点や765点にすれば合格者はもっと増えたのに、そうしなかったという点で意図的でもあります。去年が780点で、今年が760点台ってちょっとおかしい。なお、合格点は各科目ごとに偏差値とされて総合点が作成されるので、去年と比較してもおかくしはない。

■予備試験の合格者

●2014年司法試験
 予備試験組の最終合格者は、163人。(合格者全体の9%)
 予備試験組の最終合格者のうちわけ
  法科大学院在学生・修了者・中退者の合計は、83人(50.9%)
  大学在学生は、47人(28.8%)
  両方あわせると8割になる。


●2013年司法試験
 予備試験組の最終合格者は、120人。(合格者全体の5.8%)
 予備試験組の最終合格者のうちわけ
 法科大学院在学生・修了者・中退者の合計は、46人(33.3%)
 大学在学生は、41人(34.1%)
 両方併せると7割弱となる。

■予備試験組の合格者の特徴

合格した大学生のほとんどは、法学部在学生でしょう。法科大学院在学中の合格者が33人から72人と倍増しています。

つまり、予備試験は、導入当時、危惧されたとおり、法学部在学中の優秀な学生と法科大学院の優秀な院生が早期合格する道となっています。

予備試験の問題は、旧司法試験のようなものです。予備試験は1万1000人~1万2000人が受験をして、予備試験の合格率は2~3%くらい。

これを合格する人たちなので、試験強者で優秀なのでしょう。だから、最終合格する合格率が60%を超えるわけです。2014年には予備試験組最終合格者の5割が法科大学院生、3割が大学在学生(法学部)です。

■予備試験の趣旨からみると

予備試験の趣旨は、「法科大学院に進学する資力のない学生・社会人を法曹にむかえるルート」とするのが共通認識だったと思います。法科大学院生が予備試験を受験するのは、この趣旨と合致しません。

とにもかくにも法科大学院に入学できた者が、法科大学院に進学できない学生や社会人の法曹になる道を狭めてしまっています。

そうなると予備試験の受験資格を制限する(法科大学院生は受験資格なし)こともあり得る。

しかしながら、今の法科大学院は、多額の学費を学生に負担させ、かつ奨学金制度も不十分であり、また、司法修習も貸与制という多額の負担を予定していることから考えると、法科大学院生が経済的な理由から予備試験を目指すのはやむを得ない面がある。

したがって、経済的負担の軽減策を実現しないまま、予備試験の受験資格を制限することは、法科大学院生に二重の不利益(学費負担と予備試験受験資格なし)を与えることになり、適切ではないように思う。

なかなか難しい問題だ。私も結論がでない。

なお、予備試験が隆盛だからといって、法科大学院廃止・旧司法試験に戻せとの意見には賛成できません。その理由を昨年、書きました。法曹増員(激増)問題とロースクールは確かに関連はするが、両者はわけて議論したほうが良い。

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2013/09/2013-97cd.html

■法科大学院制度の改革案?

もう4、5年ほど前ですが、庭山正一郎弁護士(二弁元会長・日弁連元副会長)から、彼の「ロースクール改革」案を聞いたことがあります。

・ロースクールを、大学4年修了後に入学するものではなく、大学の教養課程(2年)を終えてからロースクールに入学できるような制度にする。
・つまり、大学に法学部と並列して、ロースクール(3年課程)を設ける。
・そして、このロースクールを修了すれば、司法試験が受験できる。
・法曹養成は、大学教養課程(2年)とロースクール課程(3年)の5年と、司法研修所1年の6年となる。
・大学を卒業してから、ロースクールに入学しても良い。

法学部生は2年生のとき、ロースクールに進学するか、法学部の専門課程に進学するのかを決めることになる。法学部を選択すれば、会社員や公務員の就職が主な進路となります。

ロースクール入学には、厳格な試験があり、自校の法学部学生を優遇してはならない。
もちろん、他の大学からもロースクール入学試験を認めるようにする。

こうすれば、ロースクール進学しても、4年制大学より1年長くなるだけで、学生の経済的負担もそれほど大きくはない。

また、ロースクール終了後、不幸にも司法試験を合格できなくとも、まだ若いので再就職の道は拡がる。

それでも、力試しに予備試験を受けるロースクール生もいるだろうが、人数は減るのではないでしょうか。減らなければ、そのときは受験資格制限も課題となろう。

なかなか良いアイデアはないかと思います。実現可能性は ほとんどないでしょうが。

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