首相官邸HP・防衛省HPと集団的自衛権
■首相官邸のHPが面白い
集団的自衛権などについてQ&Aがのっています。
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/anzenhoshouhousei.html
●徴兵制について
【問10】 徴兵制が採用され、若者が戦地へと送られるのではないか?
【答】 全くの誤解です。例えば、憲法第18条で「何人も(中略)その意に反する苦役に服させられない」と定められているなど、徴兵制は憲法上認められません。
首相は、「徴兵制が奴隷的拘束に該当する」という解釈にたつのですね。
私は、徴兵制自体を奴隷的拘束という解釈にはたちません。ドイツや韓国の徴兵制が奴隷的拘束というのは常識に反しているように思います。そんなことを言ったら、懲役刑も奴隷的拘束ということになりかねない。徴兵制は、憲法9条に違反する余地があるだけでしょう。もっとも、この解釈も将来、閣議決定で変えるのは簡単でしょうけどね。
●石油のために、自衛隊は海外に派遣される。
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上記二つの質問と答えの意味するところは?
要するに、石油が輸入されない場合には、国民生活が成り立たないから、石油のために自衛隊を派遣すると書いてある、としか読めない。ホルムズ海峡の機雷掃海ですね。
■防衛省のHP 憲法と自衛権
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/seisaku/kihon02.html
(2)自衛権発動の要件憲法第9条の下において認められる自衛権の発動としての武力の行使については、政府は、従来から、①わが国に対する急迫不正の侵害があること②この場合にこれを排除するために他に適当な手段がないこと③必要最小限度の実力行使にとどまるべきことという三要件に該当する場合に限られると解しています。
(4)集団的自衛権国際法上、国家は、集団的自衛権、すなわち、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を有しているとされています。わが国が、国際法上、このような集団的自衛権を有していることは、主権国家である以上当然です。しかしながら、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものであって、憲法上許されないと考えています。
閣議決定により解釈が変更されても、自衛隊法は変わっていないので、上記HPの防衛省の見解を変更すると、自衛隊法3条1項、2項及び同76条に反することになります。
憲法、法律、閣議決定の効力の優先関係は次のとおりです。
憲法 > 法律 > 閣議決定
閣議決定で変更したとはいえ、国会で自衛隊法を改正しない限り、自衛隊は集団的自衛権行使の出動はできませんから。
では、防衛省は、いつこのHPの記載を、「集団的自衛権も憲法上許される」と変更するのでしょうか。
それは自衛隊法が国会で改正されてからでないと困難なのでしょう。もっとも、この憲法と自衛権のHP全体を削除するのかもしれませんが。
ときどき、この防衛省のHPを見てみましょう。
確かに、7月8日頃、防衛省は削除しました。
閣議決定に基づく、新たな集団的自衛権についてどう記載するか、見物です。
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コメント
本日のタブロイド紙ゲンダイによると防衛庁のHPのご指摘の箇所は削除されたようです。
話はそれますが、朝鮮総連の建物の落札・売却の差し止めの請求を最高裁が認容したともゲンダイに書いてありました。日本の司法、ドンドン、ドンドン、歪んて行っていますね。60年安保に至るまでの最高裁の一連の判決のように、司法の自殺行為のように思えます。
司法と行政が結託し、国会が機能しない現在の日本は第二次大戦前夜にウリ二つ。水口先生のご活躍を祈るばかりです。
投稿: S | 2014年7月 8日 (火) 08時59分