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2014年4月14日 (月)

ウクライナの「ナショナリズムの暴走」と日中のナショナリズム

ロシアが軍事的圧力をかけて、ウクライナからクリミアを独立させて編入させてしまった。

国際紛争において武力の恫喝や武力の行使を禁止した国連憲章のもとで、他の主権国家の地域を編入しちゃうって、21世紀になってはじめてのことでしょうね。これは国際法上、ロシアの行為が違法であることは間違いない。

でも、ウクライナの新政府側は、このことを予想していなかったのでしょうか。当然、クリミアの特殊性からロシアの行動は予想できたことだから、これをさけるための外交上の妥協をはかりたかったはずです。でも、できなかった。

ウクライナって、NATOにも加盟しておらず、天然ガスをロシアに依存して、ロシアの債務国であるくせに、ここまでロシアと正面衝突して、自国を統一国家として維持することなど、経済的に見ても、地政学的に見ても、軍事的に見ても、まったく不可能でしょう。

にもかかわらず、一応選挙で選ばれた前大統領をネオナチ連中と組んでクーデター的に追い出して、しかも、ネオナチ党派と一緒になって新政権を樹立するなんて。ウクライナの新政府側は、後先のことを考えていないとしか思えません。もはやナショナリズムの暴走状態なのでしょう。ロシアもそうだけど。

このままいけば、ウクライナは分裂して、西と東に分かれるのでしょう。

ウクライナ新政府のほうも政権を維持するには、反ロシアのナショナリズムに乗るしかない。もはや簡単には後に引けない。

ロシアはロシアで、自国のナショナリズムに応えるために、欧米(NATO)との緩衝地帯としてクリミアや東ウクライナを介入するしかない。

両国の政治家とも、タイミングを見て、どっかで沈静化と妥協をせざるをえないことは分かっているが、チキンレースをまだ続けている、っという感じです。

ウクライナはその地政学的な位置からして、本来、NATOやEUにも、ロシアにも、従属せずに、中立不干渉の国として、欧米とロシアとの間でバランスをとるしかなかったはずです。そうでないと国の分裂を来すのは明白だった。

でも、ウクライナでは、その統一をはかるような政治家がいなかったし、もはや噴出したナショナリズムをコントロールすることができなくなったということです。

ナショナリズムは、その国の政治家や政府指導者も、コントロールできない魔物ということのようです。ウクライナは、自ら呼び出した悪魔に翻弄されるファウストのように、自らのナショナリズムの暴走によって、自国の分裂を招いてしまったことになります。

ナショナリズムがアウト・オブ・コントロールになる悪夢は、他人事ではないですね。日本と中国も、双方その兆しがあらわれています。

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