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2013年12月29日 (日)

安倍晋三総理のアメリカへの挑戦  靖国神社参拝

安倍晋三総理大臣が靖国神社に参拝しました。

■War Shrine
靖国神社のことを英米は「War Shrine」と英訳しています。
http://www.nytimes.com/2013/12/26/world/asia/japanese-premier-visits-contentious-war-shrine.html?_r=0

もともと靖国神社は、官軍(皇軍・旧陸海軍)所轄の軍人追悼の宗教施設(戊申戦争以後の戦闘で死亡した官軍将兵を奉る招魂社)ですから、「戦争神社」が間違っているわけではありません。

■問題は政教分離違反であること

戦争で亡くなった将兵を政府が追悼することは何も問題はない。このこと自体には誰も反対していない(中国や韓国含めて、私も)。

問題は、憲法20条3項の「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」に反することです。内閣総理大臣である以上、その肩書きで靖国神社に参拝することは、私的であろうと内心で何を考えていようと、宗教的活動に該当することになります。

■なぜ政教分離が定められているのか

政教分離を憲法が定めている理由は、政府が到底の宗教を保護したり、優越的な地位を認めれば、個々の国民の信教や思想良心の自由を侵害するからです。また、日本は、第二次世界大戦では、靖国神社を国民を戦争に動員するために最大限に活用され、参拝などが強制されたので、このような「国家神道」の愚行を繰り返さないためです。

日本国憲法なんて占領憲法だから無視しろって人もいます。が、世間に通用しない奇矯な見解なので、よい子は相手にしないほうが良い。

ということで、靖国神社参拝が大きな問題になったのは、中国や韓国が反対しているから、ではありません。中国や韓国が靖国神社参拝に抗議するようになったのは「戦犯の合祀問題」が表面化してからです(1979年以降)。ちなみに国内ではもっと以前から靖国神社参拝憲法違反論は強かったのです。

■戦犯合祀問題と戦争責任問題

もう一つの問題は、靖国神社が戦争指導者であった東条英機らを合祀していることです(1978年合祀)。第2次世界大戦、つまり、日本の中国アジア戦争、そして太平洋戦争が、侵略戦争であったことは、紛れもない歴史的事実です。

個人的には、対米英蘭との戦争は植民地争奪のための帝国主義戦争(帝国主義国家同士の五分五分)、アジア諸国民に対する戦争は征服戦争(120%の侵略戦争)と思っています。

靖国神社は、先の第2次世界大戦を侵略戦争とは考えません。対米英蘭に包囲されたための自存自衛の聖戦だったと考えています。ですから、東条英機らを戦犯とした極東国際軍事裁判自体を否定して、A級戦犯を受け入れず、この汚名を払拭したいと考えています。安倍晋三内閣総理大臣も、まったく同じ信念を持っています。自民党幹部の多くも、これが本音なのでしょう。

自存自衛の聖戦だと強弁する人も確かにいます(世論調査では支持する日本人は少数派ですが)。しかし、これは世界に通用しない独りよがりの見解なので、よい子は相手にしないほうが良い。「ナチスのユダヤ人虐殺は嘘だ」って世界の中で叫ぶのと同じ類いになっちゃうからね。

第2次世界大戦、日本が中国とアジアを侵略し、最後には全世界と戦争をする羽目になった当時の日本の政治指導者と軍部に戦争責任がないのでしょうか。その結果、日本人を含めて何百万人もの犠牲者を出した責任は誰にあるのでしょう。日本人は「一億総懺悔」って言うだけで、結局、昭和天皇をはじめに誰も自ら責任をとらず、自らまだ答えを出していません。極東軍事裁判は戦勝国の外在的裁判であり、これとは別に日本人として自ら内在的に戦争責任を再度、深く考えるべきです。

■戦後「国際秩序」(国際連合)への挑戦

東条英機らの戦争指導者が合祀された靖国神社に内閣総理大臣が参拝することは、この戦争指導者らの戦争責任を免責し、逆に賛美する行為になりかねません。外から見れば、確実にそう見えますし、それは第2次世界大戦の国際秩序に真っ向から反対する意思を表明する愚挙です。

何しろ「国連 UN」(国際連合)とは、まさに「連合国 UN」(英米蘭仏ソ中等)です。日本(東条英機)は、この「連合国UN」(国連)に対して、ナチス・ドイツ(ヒトラー)、ファシズム・イタリア(ムッソリーニ)と軍事同盟を組んでともに戦ったのですから。

「ヒトラーのお墓にお参りするように見られかねない」とテレビでコメントした女性芸能人がいたそうですが、そのとおりです。この発言を非難する人は、ヒトラーと日本が軍事同盟を結んで米ソと戦争していたことを知らないのでしょうか?

■アメリカに対する挑戦状? 米国「失望」コメントは想定内

報道を見ると、安倍晋三内閣にとって、アメリカが「失望」とのコメントを出したことは安倍首相にとって予想外であったかのように書かれています。

しかし、安倍首相にとっては、想定内のことだったのかもしれません。

アメリカ政府が靖国神社参拝をしないようにと幾度もメッセージを送ってきました。
特に、今年10月3日にジョン・ケリー米国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官が連れ添って、東京・千鳥ヶ淵戦没者墓苑を訪れ、献花、黙祷を捧げたのです。このこと自体、すごいことです。米国と日本は戦争した間柄です(リメンバー・パールハーバーの戦争相手国です)。その国務長官と国防長官が日本軍人の墓苑に献花するのですから。

日本の外務大臣と国防大臣が、中国にいって日本軍と戦った人民軍兵士や抗日ゲリラの墓に献花し、黙祷することを想像すれば、相当に思い切った外交パフォーマンスだということが誰にもわかるでしょう。

これは明白に、靖国神社参拝は認めないというアメリカのメッセージです。このことを安倍首相もその側近たちも十分に認識していたはずです。それでも、これを無視して安倍首相は、靖国神社に参拝した。十分な計算を尽くして、タイミングを見ての行動でしょう。

これを無視されたアメリカは面子を潰されたことになります。なにしろ米国務長官や国防長官の世代にとっては、親父たちはこの前の戦で殺し合ったのですから(私の世代もそうです)。憎き敵兵の墓に献花までしてやったのに、と怒り心頭でしょう。

■普天間基地問題と同一タイミング

普天間基地移設問題について、沖縄県知事が辺野古の埋め立てを承認するタイミングとあわせて参拝をしています。民主党政権が実行できなかったことを、俺がやり遂げたというアピールとともに靖国神社に参拝したとしか思えません。

■「信念の人」安倍晋三

安倍首相の以上の一連の行動を見ると「信念の国粋主義者」のようです。アメリカに対しても、腹の中では対抗心を強く持っているように思います。

おそらく、安倍首相は、「日米安保同盟は維持するが、片面的なものから対等の軍事同盟に変更して、アメリカの『使いっ走り』ではなく、独自の外交・軍事戦略を持った国になろう」と本気で考えているのです。「そのために、日本はいつでも核武装できるという体制を維持することが必要であり、脱原発なんであり得ない」と考えいるように思います。

岸信介の孫という個人的な系譜からも、以上の信念を持っていることは間違いないでしょう。利害得失をもっと合理的に計算する普通の政治家だと思っていました。しかし、「信念の人」だったのですね。(「信念の人」って褒めているわけではありませんからね。)

■アメリカ、中国の今後の対日方針

面子を潰されたアメリカ政府は、安倍首相に対しては「危険な国粋主義者」として監視を強めるでしょうね。コケにされたら、外交的には、そのお返しは絶対しなければなりません。倍返しでしょう。当然、政府要人の盗聴もしている。今後、安倍首相がアウト・オブ・コントロールにならないように、経済・政治・軍事・文化の全ルートを使って、硬軟織り交ぜて仕掛けてくるでしょう。

アメリカは、次の自民党首相には、もっと大人しく、親米を貫く人物がなるように希望するはずです。ポスト安倍を目指す自民党議員は、そのあたりのポジションにいることが求められるでしょう。自民党だと誰かなあ? アメリカの国務省あたりは次期自民党総裁選までに何と落とし前をつけようと思っていることでしょう。また、民主党や結いの党は、このあたりのポジションが狙い目じゃないでしょうか。

中国軍部は、いけいけ どんどんでしょう。

中国政府が中国人民軍を完全に掌握しているように見えません。中国軍部は、絶好のチャンス到来だと考えていることでしょう。近い将来、尖閣諸島周辺にて小規模な衝突事件(中国監視船と海保の銃撃や衝突)が起こる可能性が高まったと思います。中国軍部は、アメリカが日本側を支援して武力行使することには、リベラル議員や国内世論が反対すると読むでしょうからね。

これもひょっとしたら安倍首相は計算済みなのかもしれません。武力衝突が起これば、自民党憲法草案による改憲作業がずっとやりやすくになりますから。

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投稿: ちゃちゃ | 2013年12月30日 (月) 09時12分

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