福島原発の下請労働者が東電の団交拒否 救済申し立て
す。
しかし、偽装請負防止や危険手当の下請労働者への支払いをさせるよう発注段階で契約条件を付するなどの防止策は今でも可能。これに違反した元請や下請を契約違反で排除すれば良いのですから。それだけで大幅に改善できるはずです。このような対策をとるように東電も元請らも交渉のテーブルにつくべきでしょう。
声 明
福島第1原発下請労働者の不当労働行為救済命令申立にあたって
1(東京都労働委員会への不当労働行為救済命令の申立)
本日、福島第1原発の事故収束作業に従事した原発労働者が、発注者である東京電力、元請である東京エネシス、1次下請エイブル、2次下請テイクワン、3次下請鈴志工業を被申立人として、派遣ユニオンがなした団体交渉申入れを拒否したことは、不当労働行為に該当するとして、東京都労働委員会に不当労働行為救済命令申立を行った。
2(事案の概要)
本件は、2013年6月10日、労働者Aが、RH工業に期間1年、日当1万3千円で、福島第1原発の事故収束作業に従事するとして雇用された後、偽装請負形態で福島第1原発にて、東京エネシス、エイブル等の指揮の下で高線量作業に従事させられた。Aが、高線量の作業であると聞いてないとしてエイブル等に抗議をしたところ、6月19日、鈴志工業から、「上からAを現場に来させるなと指示された」として解雇すると通告され、翌6月20日、RH工業から解雇された。Aは、派遣ユニオンに加入し、解雇や偽装請負の是正、中間搾取分の支払い、安全確保、偽装請負・中間搾取の再発防止を求めて、元請・下請業者だけでなく東京電力に対しても団体交渉を申し入れた。
直接雇用者であるRH工業は、団体交渉申入に応じて、解雇問題については和解解決をしたが、他の東京電力、元請、下請事業者らは、Aとは雇用関係が存在しないとして団体交渉を拒否をした。
3(元請・下請事業者の責任)
元請・下請事業者らは、Aの基本的な労働条件について決定する直接的な支配を及ぼしており、本件では、人員配置、現場での作業指示等を直接行っている。また、エイブル、鈴志工業は高線量作業に抗議をした労働者を解雇するようにとの指示もしたものであり、団体交渉に応じる義務がある。
4(発注者である東京電力の責任と要求事項)
福島第1原発では、多数の下請労働者が偽装請負や多重派遣にて原発事故収束作業に従事しており、その労働条件は劣悪であり、安全衛生対策も極めて不十分である。
東京電力の広瀬直己社長は、さる11月8日、「福島第1原子力発電所の緊急安全対策」を発表するに当たって、作業員の日当の割り増し分(危険手当)を1日当たり1万円から2万円に増額するとし、「増額した危険手当が正しく下まで届くよう徹底してもらいたい」と述べた。 ところが、高線量作業による危険手当1万円は、実際には、多重下請構造の結果、下請事業者に中間搾取をされて末端の下請労働者には支払われていないのが実情である。
通常、建築工事などの発注者は、多重下請構造の下での下請労働者に対して団体交渉に応じる地位にないとされている。しかし、福島第1原発の事故収束作業の場合には、事故収束作業全体を発注し、管理しているのは東京電力にほかならない。下請労働者の劣悪な労働条件を解消するためには、東京電力が労働環境を整備する責任をもった具体的措置を講ずることが必要不可欠である。
具体的には、東京電力が、元請に発注する際にあたって、下請労働者に日当とは別に危険手当を1万円を支給すること、多重下請を禁止し、少なくとも1次下請が直接雇用することなどを発注の契約条件とすれば、現状を大幅に改善できる。
派遣ユニオンは、このような具体策について、下請労働者の労働組合と団体交渉にて話し合うことを東京電力に求めるものである。
5(団体交渉のテーブルにつくこと)
原発に従事する下請労働者は、多重下請構造の下におかれ、偽装請負など不安定な雇用にさらされている。劣悪な労働環境や労働条件にクレームを述べれば、本件のように解雇され職場から排除される。全国から集められる原発労働者が労働組合に加入することも極めて困難な状況にある。このような中、本件のように労働者が労働組合に加入して声をあげることは極めて貴重な問題提起である。
東京電力及び福島第1原発の事故収束工事を請け負う元請・下請事業者は、今後も続く福島第1原発の事故収束作業に従事する労働者の労働条件維持のために団体交渉のテーブルにつくように強く要請するものである。
2013年11月28日
派遣ユニオン
日本労働弁護団原発労働PT
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