シリア毒ガス問題と国連の軍事行動
シリア内戦での毒ガス使用に関して米、仏の軍事行動が迫っています。
■現段階では、米仏の軍事行動は国際法違反
現段階で、シリア政権側が毒ガスを使用したとの明確な証拠が確認されておらず、安保理の決議なく、米仏が軍事行動を、限定的にせよ、実施することは国際法違反でしょう。
■証拠が明確になったら国連は
では、仮にシリア政権側がサリン使用したことの明確な証拠が存在した場合には、どう対応すべきでしょうか。
それでもシリア政権に対して、国連は軍事行動をしてはならないのでしょうか。
先ず、国連は、シリア政権に毒ガスを再使用しないことの確約及び毒ガス使用を命じた責任者を処罰することを受け入れさせることを交渉で獲得することを目指すことになるでしょう。
■市民をまもるために国連の軍事行動は許容されるべき
しかし、これをシリア政権に受け入れさせるためには、交渉で解決しない場合には軍事行動があるという圧力がなければ、追い込めないでしょう。
したがって国連の安保理は、シリア政権が上記事項を確約しない場合には軍事行動(米仏等の軍事行動)による制裁を課す選択肢を持っていなければならないと思います。
市民に対する毒ガス使用を止めさせるためには国連決議による軍事行動を認める必要性があるでしょう。そうでなければシリア政権が毒ガス使用をやめるとは思えないからです。
もし証拠があるにもかかわらずロシアや中国があくまで軍事行動に反対するとしたら、国際的に批判されるべきでしょう。結局は、中ロは独裁主義国家であり、故にシリア独裁政権を擁護するのだと。
もちろん、米国もイランに支えられたシリア政権を打倒するという自己の国益を実現しようとしているのであり、そのためシリア反政府側を軍事的に支援しているだけです。所詮、国際関係は、自国の利害を維持するためのパワーポリティクスにすぎない。
とはいえ、毒ガスで被害を受けるのは子供も含めて市民なのであり、パワーポリティクスの中でプレイして、毒ガスから市民を守るためには綺麗事ばかりはいってられません。あとは政治的圧力という傍観者になるかです。
■日本は憲法9条により軍事行動に参加不可
なお、この場合であっても、日本は、憲法9条がある以上、その軍事行動に参加できないのは当然です。
私は個人としては、将来的には、「自衛隊は専守防衛」という国民的合意が確立した後、自衛隊が国連決議のもとでPKOレベルの活動に参加することが望ましいと考えています。ただし、それは日本がドイツのように過去の侵略戦争の責任を明確に自覚したあとの話だと思っていますが。
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