ロバート・キャパ スペイン市民戦争 「義勇兵が撃たれた瞬間」
沢木耕太郎 推理ドキュメント
運命の一枚
~"戦場"写真 最大の謎に挑む~
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2013/0203/index.html
日曜日の夜に、途中から観ました。
■あの写真
ロバート・キャパの戦争写真。ファシストとたたかった義勇兵が、フランコ軍の銃弾に撃たれて崩れ落ちる写真として有名です。若かりし頃、世界史の教科書にものっているこの写真をみて感動したものです。国際義勇兵で、市民がファシストに銃を持ってたたかったのかと。
反ファシズムに立ち上がれと鼓舞する写真としてつとに有名な写真でした。ただ、この写真の兵士は、覆面をしたように顔が良く写っておらず、真偽不明という指摘は昔からありました。
でも、右翼ファシストが人民戦線の「国際旅団」をおとしめるための難癖だと思っていました。
スペイン市民戦争は、ファシスト(フランコ)が共和国政府軍(人民戦線政府)に反乱を起こし、ファシズム・ナチズムと、民主主義(自由主義も社会主義)の最初の対立でした。映画も「誰がために鐘は鳴る」、「カサブランカ」でも有名です。小説でもオーウェルの「カタロニア賛歌」などなど。
NHKスペシャルでは、あの崩れ落ちる兵士の写真は、実戦の映像でなく、義勇兵の演習中に、義勇兵がすべって転んだところの写真だということ、しかも、これを撮影したのは、ロバート・キャパではなく、キャパの恋人のゲルダ・タローという女性写真家だったというのです。
どうやら、写真の分析でこれは間違いないようです。
■キャパとゲルダ
ゲルダとキャパ(本名アンドレ・フリードマン)は、ユダヤ系のハンガリー人で、反ナチスの報道写真家。ゲルダは、ゲシュタポに逮捕されたこともある左翼活動家だったそうです。スペイン市民戦争当時、キャパ22歳、ゲルダ24歳。2人とも写真家だったが、売れないために、ゲルダのアイデアで、「ロバート・キャパ」という架空の写真家をつくって(まあ、二人のペンネーム)、2人の写真をその名前で発表し、通信社などに売り込んでいたそうです。
あの写真の発表直前、ゲルダはスペイン市民戦争で戦車にひかれて死亡。その直後に、この写真が報道されて、反フランコ、反ファシズムのたたかいの象徴となったといいます。
スペイン市民戦争で、人民戦線派に与したキャパは、これを訂正できなかったのでしょう。
キャパは、その後、本当の戦争写真を撮るために、ノルマディー上陸作戦の最前線に参加し、有名な会場の兵士という写真をとることになります。
その後、インドシナ独立戦争の取材で死亡。
彼が選んだスペイン市民戦争の写真集には、ゲルダに捧げると記載されており、例の崩れ落ちる兵士の写真は掲載されていないと。
本当に意外な真実です。
キャパとゲルダという20歳すぎの若者が命をかけてスペイン市民戦争に参加し、キャパは栄光の陰に挫折と苦渋を隠して、40歳でインドシナの戦場で死ぬ話し。……
栄光も、挫折も、苦渋も、理想も、恋愛も、すべて歴史の流れにとけこんで消えていく…
ゲルダ・タロー
「ゲルダ」って名前がいいですね(知る人ぞ知る高畑アニメの「太陽の王子」のヒロインがゲルダでしたが、何か関係あるのでしょうか?)
■横浜美術館 写真展示会
横浜美術館で現在、二人の写真展をしているそうですので、是非、行ってみることにします。
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2012/capataro/
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コメント
映画『Head In The Clouds』のメイキングで、主演のスチュアート・タウンゼントが役造りの為に、脚本同様に読み込んだ本とういことで、ジョージ・オーウェルの『カタロニア讃歌』を上げていました。
沢木耕太郎さんの作品も興味深いですね。『カタロニア讃歌』と共に是非、読んでみたいと思います。ブログでのご紹介ありがとうございます。
投稿: ETCマンツーマン英会話 | 2014年1月 8日 (水) 04時45分