2012年12月の衆議院選挙結果に思う
ただ、この自民圧勝は小選挙区効果による結果です。この議席占有率が「民意」を表しているとはとは言えません。
投票で示された「民意」が反映しているのは、比例代表での結果です。
自民党 27.60%(前回26.73%)
共産党 6.10%(前回 7.03%)
投票率 59.3% (前回69.2%)
自民党の比例代表での得票率は、前回を1%程度上積みしただけにすぎません。ですから、自民党が圧勝したわけではない。しかし、維新の会が大躍進で、20%を超えました。みんなの党も倍増して8%です。この三党で56.7%もの支持を得ているのです。
■憲法改正派が過半数を超えた
この3党の基本政策は、ほぼ同一です。憲法改正について積極派です。つまり、憲法改正派の合計が56.7%で過半数を超えた(前回は30.1%)。これが今回の総選挙の最大の特徴だと思います。
安倍自民党総裁は、「憲法改正」、自衛隊の「国防軍」化、「日米関係の修復」、「原発維持」を強調していました。また、デフレ脱却を目指す金融緩和策とインフレ・ターゲット政策、10兆円補正予算による公共事業増大を唱えていることも大きく報道されていました。
維新の石原慎太郎代表による対中国強硬策、憲法改正(破棄)、原発容認の姿勢は明瞭です。みんなの党も、憲法改正派でした。
そして、三党に共通するのは、「小さな政府」志向と、官僚・公務員叩きです。
■「民意」=多数の内容
その「民意」が示すところは、「憲法改正・国防軍化の容認」、「日米同盟への支持」、「官僚(公務員)支配の打破」だと言えます。
特に、「憲法改正、国防軍、日米関係の修復(強化)への支持」に関しては、この間の尖閣諸島での中国の攻勢、北朝鮮の核兵器開発・ミサイル実験などのアジア情勢の緊迫化が大きく影響しているのでしょう。
国民は、中国の経済的・軍事的な脅威に対して、平和主義・協調主義路線では安心できず、米国との軍事同盟と自国の軍事的強化を容認したと言って良いでしょう。
そうでなければ、比例代表での自民党の微増、維新の会やみんなの党の躍進は説明できません。
■戦後民主主義消滅の区切りの選挙
共産党、社民党の得票率は、前回11%あったものが、今回8%に減少をしています。未来の党の5.6%を加えても、13%程度にしかなりません。
もはや戦後民主主義の論理では、中国の経済的・軍事的な急成長、北朝鮮の核武装という東アジア情勢の根本的変化に対して、憲法9条を念仏のように唱える共産党や社民党の
政策では、国民に受け入れられない状況になったと思われます。
■今後
第二次安倍次内閣は、当面は経済政策を集中することでしょう。10兆円規模の公共事業拡大、金融緩和インフレターゲット政策で、少なくとも来年7月までの短期間なら、日本経済を上向きにする可能性は高いでしょう。
その勢いで参議院選挙で、自民党や維新の会、みんなの党が参議院で3分の2を超える勢力になる可能性も高いことでしょう。そして、憲法改正が着手されます。
中国と日本の間で、尖閣諸島衝突は日常化し、軍事衝突に至る危険性が高まっています。数年以内に両国間にて武力衝突が起こるでしょう。これが国防軍化を促進します。
このような事態を想定して戦後民主主義の遺産を少しでも残すような方策は何か。
個人的には危機感を覚えています。
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