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2012年11月 1日 (木)

福島第一原発 関電工の労働安全衛生法違反

■関電工を労働安全衛生法違反で告発

11月1日午後1時に、厚生労働省の記者クラブで記者会見をしました。

ニュースで流れています。

NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121101/k10013179311000.html

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2012110102100003.html

記者会見で報告した概要を張り付けておきます。
                  
1 事案の概要

発注者:東電→ 元請:関電工→ 1次下請:K電設 → 2次下請-労働者                                  

(1) A氏は、関電工の二次下請である企業に雇われ、福島第一原発事故があった2011年3月11日以降の緊急作業に従事していた。
                                                                              
(2) 2011年3月24日、A氏は、関電工の指示により、同僚と福島第一原発の3号機原子炉タービン建屋地下に電源ケーブルを敷設する作業を担当することになった。現場には、関電工の社員2名と一次下請のK電設の労働者1名、二次下請けのA氏と同僚2名の計6名で作業現場に赴いた。

(3) タービン建屋地下の作業現場に入ると線量計の警報が鳴ったが、関電工の社員は、誤作動の可能性があると無視し、作業の継続を指示した。地下に「たまり水」があることを発見したが、関電工の社員2名とK電設の社員1名は作業を中止せずに、「たまり水」に入って作業を行った。その結果、この3名は最大220ミリシーベルトの放射線被曝を受けたという。A氏ら3名は「危険である」として、関電工の社員の指示を拒否して「たまり水」には入らなかった。

(4) 同現場には、東電柏崎からの応援作業チームが別の作業のために現場にいた。このチームが放射線量を測定したところ、毎時400ミリシーベルトの高い放射線を確認したので、同チームは即座に撤収した。しかし、関電工のチームに対しては、撤収するように指示をせず、そのまま作業の指示をした。

2 問題点

(1) 関電工は、労働安全衛生法(安衛法)22条2号、31条1項及び電離放射線障害防止規則7条2項に基づき、下請け労働者についても年間被曝線量を超えないよう防止する義務があるにもかかわらず、これに反したものである。よって、同法119条1号に基づき処罰されるべきである。

(2) 原子力発電所の作業、福島第一原発での緊急作業も含めて、重層的下請構造の下で、多くの下請労働者が働いている。福島第一原発では。、今後も長期間にわたって高線量下での作業に多数の下請労働者が従事することは不可避である。元請企業や下請企業だけに安全管理や雇用管理を委ねていては、下請労働者の安全を確保することはできない。このような重層的下請構造にある原発事業においては、発注者である東京電力に直接に下請労働者の安全確保に責任を負わせるべきである。

(3) 安衛法31条1項は、特定事業(安衛法15条1項)を自ら行う発注者に対して、下請労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じる義務を課している。これに反すれば注文者に罰則が適用される(安衛法119条1号 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)。

(4) 現在の特定事業に関する政令においては、電力会社が行う原子力事業は、特定事業に該当するかは不明確である。ついては、原子力発電事業について、安衛法15条の特定事業に該当することを政令にて明確に定める必要がある。
  東京電力などの電力事業者に、下請労働者の安全管理や雇用管理について直接の責任を負わせることが極めて重要である。

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日本労働弁護団の原発労働対策プロジェクトチームで申告や告発したケースでは3件目です。他の二件も概要をまとめて次のとおりアップしておきます。労基署及び労働局が現在調査中です。

■多重下請、偽装請負、ピンハネ事件

1 事案の概要

(1) 福島第一原子力発電所復旧作業向け契約の締結
   九州在住のA氏は、2011年6月初旬、前田工業から、福島第一原発の瓦礫撤去作業の仕事をしないかと誘われ、福田工業のF氏に紹介された。F工業からは、日当1万1000円と言われたが、M工業と交渉して、日当1万4000円とすると口頭で回答を得た。その後、2011年6月29日、佐世保市内の(株)大和エンジニアリングサービス(以下、「大和エンジニアリング」)の事業所に集合して健康診断を受け、翌日には作業の教育を受けた。その際に、東京電力福島第一原子力発電所構内復旧作業向け契約書」を締結した。同契約書には、大和エンジニアリング(使用者:甲)代表者とA氏(被用者:乙)とが契約当事者と明記され、「賃金については、甲・乙双方で締結した金額とし、取り決めた支払い日に毎月支払うものとする」、「労働時間等については、労働基準法を遵守する中において甲の指定した時間とする」などと定められていた。

(2) 福島第一原発での作業
   A氏は、2011年7月1日に福島第一原発に到着し、日栄動力工業(株)の担当者から原子炉建屋内作業の説明と安全教育を受けた。そして、高線量作業要員として福島第一原発の建屋内の作業に7月末頃まで従事した。現地では、大和エンジニアリングの正社員の現地責任者のもと、A氏を含めて約20名くらいが宿舎に泊まり込んで作業に従事していた。実際の原発建屋内では、日栄動力工業(株)の社員の指揮で作業を行っていた。

(3) 日当の約束違反と危険手当のピンハネ
   A氏は、大和エンジニアリングの正社員から、正社員は危険手当として一日2万円が支払われていることを聞いた。A氏が大和エンジニアリングに危険手当の支払いを要求したが、「創和工業や福田工業が支払うかどうかで、大和エンジニアリングは支払わない」と言われた。結局、前田工業からは日当1万1000円しか支払われなかった。そこで、A氏は、日当も削られ危険手当もピンハネをされている以上、仕事は続けられないと考えて離職した。

東京電力:発注者
 ↓
日立プラントテクノロジー:元請
 ↓
日栄動力:1次下請
 ↓
大和エンジニアリング:2次下請 給料+危険手当2万円
 ↓
S工業
 ↓
F工業
 ↓
M工業
 ↓
労働者   日当1万1000円のみ。危険手当なし                                                                         

2 労働基準法違反で申告

(1) 大和エンジニアリングとの直接労働契約の成立するとして賃金と危険手当を請求。

(2) 大和エンジニアリングは、A氏は、S工業からの派遣労働者として受け入れたと主張し、F工業、M工業の介在は知らないと主張。

(3) しかし、A氏はS工業は知らず、派遣労働契約を締結した事実はない。

(4) 大和エンジニアリングとの直接労働契約成立するとして労基法24条違反で申告するとともに、派遣法違反、職安法違反で申告

■ 鉛カバーによる被曝隠し事件

1 事件の概要

(1) 2011年11月中旬、人出し人夫から「福島第一原発で働かないか?」と声をかけられた労働者約10名が全国から福島に集められ、現場ではビルドアップ社の役員から指揮命令を受け、作業した。

(2) 11月30日、ビルドアップ社の役員は、原発構内において、原発労働者らに鉛カバーを作るように指示した。

(3) 翌12月1日、Jビレッジにおいて、ビルドアップ社の役員は原発労働者約10名を集合させ、「防護服を切って、APD(警報付ポケット線量計)の前に鉛板のカバーを装着しろ」と指示した。さらに、役員は「装着するのが嫌なら、仕事をさせない」と告げた。

(4) 当日、4名の原発労働者は、鉛カバーを装着して現場作業を行った。一方で、装着を拒んだ3名の原発労働者は役員から「今日は宿舎に戻れ」と命じられ、結局3名全員は雇止めとなった。

(5) 2012年7月17日、原発労働者から相談が寄せられ、原発労働PTが代理人となって、富岡労働基準監督署・福島労働局に違反是正申告を行った。

(6) その数日後、マスコミ各社で「被ばく隠し事件」が報道されるに至った(添付資料:7月21日付朝日新聞記事抜粋)

2 「特定事業者」である東京電力に対する違反申告

(1)原発労働PTでは、富岡労基署に対し、下請負人であるビルドアップ社による安衛法22条2号及び電離則8条1項違反を申告するだけにとどまらず、*東京電力に対しても是正措置を求めた。
  * 東京電力は、原子炉建屋の建設物、設備関係の工事を自ら行うものであり、同時に、建設物や設備を請負人に発注する注文者であり、建設業に属する事業(安衛法15条1項の「特定事業」)を行う者に該当する。 したがって、東京電力は、福島第一原発において建設業の仕事を自ら行う注文者として、下請の労働者の労働災害を防止するため必要な措置を講じなければならない義務を負っている(労働安全衛生法31条1項)。

(2)福島労働局には、ビルドアップ社による偽装請負(職安法44条違反)を申告した。

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コメント

人の目に触れない理不尽な事を、法に照らして判断させる場にまで持ち上げる。力仕事と思いますが、正攻法で地道に積み上げる事は、理不尽な事がまかり通るのを妨ぐ力になると信じます。福島原発からの放射能汚染拡大を防ぐ現場作業に従事する人々が、個々に身の安全と失業を秤に掛けること無く、雇い主とは別に一元化された安全管理の元、また現場を離れた将来まで作業時の被曝が担保されて働けるようになる事を願って止みません。(とは言え何も出来ないので、弁護団応援寄附の受け皿口座等ありましたらお知らせ願えませんか?)

投稿: ありたるみこ | 2012年11月 2日 (金) 05時33分

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