民主党政権と議会制民主主義 「政局」床屋談義
■議会制民主主義のルール
消費税を増税(2014年に8%、2015年に10%)すべきか否かはさておき、野田民主党政権が消費増税に邁進することは、代議員制度・議会制民主主義の原則から見て、やはり納得いきませんね。
私自身、民主党を消極的に支持してきました。少なくとも、小選挙区制においては自民党には投票せず、「より悪くない」方を選択していました。民主党への政権交代に、大きな期待をしていました。
しかし、野田民主党政権には、ほとほと愛想がつきます。自民党は、消費税増税・沖縄基地維持・原発推進を政策をとってきたのですから、その政策への賛否はともかく、嘘はついていません。
しかし、民主党は「消費増税はしない」などとマニフェストに謳いながら、これと正反対の政策を民意に図ることなく実施すること自体、許されないことだと思います。小沢一郎が、この点を批判して、新党をつくったことの方が筋が通っていると思います(本音はどうあれ‥‥)。
あれほどマニフェスト選挙を公言した以上、「選挙民に嘘をついたら、次の選挙では打撃を受ける」という議会制民主主義のルールが生きていることを、民主党のみならず政治家たちに示さなければならないでしょう。お人好しの日本国民が、政治家に馬鹿にされて、いつまで我慢するのかは見物です。
■野党7党の野田内閣不信任決議案
みんなの党や、共産党、社民党、生活が第一など7野党の内閣不信任案決議案の提出は妙手ですね。でも、自民党や公明党は棄権するでしょうから、所詮可決する目処はない。結局、政局は不透明感が深まっただけで、結果的に解散時期を遅らす可能性もあります。
ただ、少数野党の存在感を示すパフォーマンスとしては良い手ですね。このアイデアを考案して野党をまとめた政治家は優れていると思います(誰でしょう? 社民党、共産党、みんなの党のうちの誰か?。
消費増税案法案が成立してからであれば、自民党・公明党は、内閣不信任決議案を提出するでしょうから、全野党が賛成し、民主党内の造反グループも応じて、不信任案が可決される可能性が高いように思われます。
しかし、消費増税案成立前だと、自民党・公明党が賛成しないと可決成立にはならない。そして一事不再議の原則から会期内に、再度内閣不信任案は提出できない。
自民党の谷垣総裁は、この状況で早期解散を勝ち取れなかったら、今年9月の自民党総裁選では信任されないでしょう。
そうなると、自民党の谷垣総裁と野田総理が、今国会会期末頃に解散すると合意して、「話し合い解散」をするしかないのではないでしょうか。
なお、違憲状態の衆議院選挙制度は、自民党が提案した「ゼロ増5減」で決着させるでしょう。自民党、民主党の執行部(権力を持った者)が、この二大政党を維持する選挙制度を自ら手放すとは到底、思えません。みんなの党や、維新の会の一大躍進によるしか、選挙制度抜本改正は実現しないでしょう。
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