日弁連 韓国非正規労働者保護法の調査
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22日から、日弁連貧困対策本部の非正規労働者保護法 韓国調査で、ソウルに来ています。
今日まで、ソウル科学技術大学のチョン教授、韓国中央労働委員会、韓国雇用労働部(労働省)、ソウル中央地裁の労働部に訪問しています。私は26日まで韓国です。
■チョン教授
チョン教授は、日本で言えば労働政策審議会の公益委員を担当された教授(社会学)で、非正規労働者保護法制定に関与された方です。
印象に残ったのは、「現時点での総括として、統計的には、2年前に雇い止めされた労働者と、2年を超えて正規労働者や無期契約に転換した労働者の数を、数量的に見れば、マイナスだと思う。しかし、非正規労働者の増加を抑制する法政策や、不合理な差別は許されないという規範を定立したことのほうが重要だと考えている」と述べられたことです。
■韓国 中労委
中央労働委員会では、ここ数年は年間100件くらいの差別是正救済申立事件があり、うち3割強が差別是正命令が出され、このほかに2割くらい調停成立してるとのことでした。中労委では調査官が、申立から二ヶ月くらいで報告書を作成して、1回審問して、審判を行うということです。地労委の平均審理期間が45日くらい。中労委で75日ということでした。
今年の8月2日から、法改正があり、雇用監督庁の雇用監督官(日本の労働基準監督官にあたる)が、事業所を点検して、差別があると、指導監督ができるようになるとのことでした。
■韓国 雇用労働部
韓国雇用労働部(労働省)では、法施行後の2年超で無期契約みなし制の雇用に与える結果の最新統計を聞きました。
2011年一年間
契約終了 49.6%
正規職転換 23.8%
継続雇用 26.1%
2010年4月から12月までの数字
契約終了 45.2%
正規職転換 22.8%
継続雇用 30.9%
調査方法は、1万の事業所(5人以上雇用している事業所)に地方雇用監督局が問い合わせをして、事業者に回答させた結果とのことです。回収率は98%という高回収率。回収には訪問や電話催促で促すそうです。
上記の正規職転換の内容については、労働条件がどこまで正規職員と同等になったかまでは、調べられていないということです。調査は、質問項目として「正規職員を転換」と答えた事業主の数だそうです。正規職といっても、大企業では、新たな職群をつくって、そこに位置づけて正規職と言っていることもあるとのことです。
なお、雇用監督官の見回り点検が、9月から10月にかけて集中取り締まり月間をはじめるということでした。この是正指導を行うことで十分に改善できると言っていました。指導命令を守らない場合には、労働委員会に通告することになると言うことです。
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