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2012年6月18日 (月)

「大飯原発 再稼動」に思う

<この国は何がおきても何も変わらず、何も学ばない>

大飯原発再稼動を政府が決定しました。福井県知事も当然、了解済みです。その理由は、安全性ではなく、経済性を優先させたということでしかありません。関西圏の約15%節電なら、計画停電も何でも行えば十分に節電できるでしょうに。

それをしないのは経済活動に支障を与えるからにほかならない。福井県は、原発稼働による莫大なお金欲しさ。福井県民も、その利益が欲している。背に腹は代えられないというところです。

6月9日に放映されたNHKの「巨大地震Ⅱ(メガ・クウェーク)」という番組は衝撃的でした。約1100年前の869年に貞観地震(今回の東日本大震災と同じ)とそれに伴う貞観津波、おまけに、その数年後に今の東海地震や東南海地震も発生している。日本列島が1000年前と同じく地震活動期に突入した可能性があると言います。

そして、今世紀に発生したマグニチュード9クラスの大地震があった、インドネシア、アラスカ、チリなどでは、その数年後に近くの火山が大爆発をしている。東北沖の大地震により、富士山の噴火の引き金が引かれた可能性がある。富士山下の地殻が引っ張られて、マグマが上昇していくというのです。

1995年の阪神大震災から日本列島の地震活動が活発化したということは、今や定説です。そして、福井と言えば、1948年の福井大震災がありました。

ところが、大飯原発には、免震棟も存在せず、ベントの放射性物質除去のフィルターも未整備という有様です。しかも大飯原発の地下には、活断層が存在するとの指摘もあります。

この大飯原発を再稼動するのであれば、素人が考えても、

①免震棟を完成させること、②ベントのフィルターをつけること、③地下に活断層があるかどうかの地質検査を関電以外の第三者に行わせること、④津波対策の防波堤を作ること、⑤新しく政府が設置する原子力安全機関が新たな安全基準に基づいて徹底的に審査をすること

が最低限必要でしょう。

これらの条件が一つもそろっていないのに、再稼動とは、理解に苦しみます。

その理由はただ一つでしょう。経済優先・企業活動への影響を避けるということしかないように思います。原発がないと日本の企業活動・経済活動が持たないという理由でしょう。果たして本当にそうなのでしょうか。また、福島第1原発と同じ事故が起これば、今度こそ日本全体が大打撃を受けます。それを回避する万全の方策をとることが何よりも先決でしょうに。

結局、最終的には、選挙で国民が意思表示をするしかありません。それと、裁判所が原発訴訟で画期的な判決をすることを、(僅かであっても)期待しましょう。

■6月15日官邸前デモ

6月15日官邸前には、大飯原発反対1万人が集まったそうです。ツイッターでの呼びかけデモです。

来週6月24日もツイッターデモがあるそうです。次のような呼びかけがありました。

6/24【そうだ船橋、行こう 電車でGO!野田退治デモ!!!】
予定コース:西船橋駅⇒船橋駅。黄色い電車をオキュパイして野田首相のお膝元で再稼働やめろデモ!船橋の有象無象も大集合ー!!#脱原発杉並 #脱原発中野も #原発やめろデモ #野田退治デモ

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2012年6月16日 (土)

福島第1原発緊急作業の原発労働者の健康管理

■福島第1原発の緊急作業

福島第一原発の復旧作業を担当した下請労働者2名の方からの相談を受けています。

一人は、2011年3月11日以降の緊急復旧作業を担当した下請労働者です。緊急対応作業にて訳20ミリシーベルトを被曝し、これ以前の数年にわたり全国の原発の作業に従事してきたものとあわせて累積被曝量が30ミリシーベルトを超えます。

30ミリシーベルトを超えると、原発の下請企業も雇用しなくなり、この労働者も、それまでの原発下請企業から仕事をもらえなくなったということです。しかも、その原発作業従事者は、どうやら下請企業からは非労働者(個人請負者)扱いをされています。

■厚労省の指針

厚労省は、「東京電力福島第一原子力発電所における緊急作業従事者等の健康の保持増進のための指針」を発表しています。

○緊急作業従事者等には、国が設置するデータベースへの登録証が送付され、国の支援窓口に登録証を提示することにより、被ばく線量や健康診断結果等の記録の写しを受け取ることができる。
○緊急作業における被ばく線量が 50mSv を超える者は、被ばく線量等が記載された手帳の交付を受けることができる。、

しかし、私が相談を受けて、既に離職した下請労働者には、登録証は届いていません。また、50ミリシーベルト以下の低い労働者は、長期的健康管理からは除外されています。

■どっちの専門家を信用したら良いのやら

放射線障害については、最近でた新書本を読んでも異なる意見が述べられています。

東大病院放射線科准教授の中川恵一氏は、その著書「放射線医が語る被ばくと発がんの真実」(ベスト新書)で、100ミリシーベルトより低い被ばくで発がんの増加は確認されていない(科学的証拠がない)と断言しています。閾値がないとして、直線閾値なし仮設をポリシーとして安全に配慮して採用しているだけと言います。

これに対して、東大先端科学技術センター教授・東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦氏は、その著書「内部被曝の真実」(幻冬舎)で、放射線障害に関して「100ミリシーベルト閾値論」はおかしいと批判します。放射線障害が統計的に有意に証明されたのは、チェルノブイリ事故の20年後だったとして、証明されるのを待っていては、遅すぎることを強調します。

しかし、人間の生命・健康に関しては、セーフティ・サイドに立って、予防原則のもとで、証明されていないとして、後手を踏んではいけないというのが、水俣病等の悲惨な公害被害の教訓でしょう。

少なくとも、福島第1原発に作業した下請労働者については、長期的な健康管理の対象として、検診費用を東電や国が負担するのは当然のように思います。

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