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2012年1月29日 (日)

労政審「有期労働契約の在り方について」(建議)

昨2011年12月26日、労働政策審議会は「有期労働契約の在り方について」の建議を発表しました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z0zl-att/2r9852000001z112.pdf

有期労働契約の締結自由を合理的な理由がある場合に限定する締結事由規制(入口規制)は見送りました。しかし、有期契約労働者の不安定な地位と低処遇を改善するためには、入口規制を行うことは必要不可欠です。労働弁護団も2009年に入口規制を中心とする立法提言をしています。

http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/gen091028c.php

建議は、入口規制に代わる「目玉」として「有期労働契約の長期にわたる反復・継続への対応」を提案しています。

有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出により期間の定めのない労働契約に転換させる仕組みを導入する

この5年を超えた場合に無期契約に転換する仕組みとは、どういう仕組みなのか、具体的方法は建議(報告)では記載されていません。

考えられる方法としては、①労働者に無期契約への転換請求権を付与する方法、②使用者が労働者に無期契約の申込みをしたとみなす方法、③労働者の申出に関わりなく無期契約とみなす方法もあります。

建議は、あくまで労働者の申出によるとしていますから、上記の①か②のどちらかになるのでしょう。

そうすると、この建議は、労働者が無期契約への転換を申し出ない場合には5年を超えても有期契約が反復更新して続けることを許容するようです。

このような利用可能期間の上限を定めると、使用者は無期契約への転換を阻止するために5年に達する前に労働者を雇止めをすることになります。これが「副作用」です。

あるいは、使用者は「5年を超えた段階で無期契約への転換を求める者については雇止めをする。しかし、有期契約のままで良いとい者については、5年を超えても有期で反復更新して雇用を継続する」と労働者にアナウンスをすることが考えられます。このようなアナウンスを聞いた労働者は、無期への転換を申出ることもなく、有期での反復更新を選択することになるでしょう。このような使用者のアナウンスは脱法行為にほかなりません。これでは利用可能期間を決める意味がないことになってしまいます。

このような副作用を抑止しなければ、5年ごとに有期契約労働者の入れ替えが行われるだけになり、使用者が許容する極く一部の者しか無期契約に転換することができません。

そこで、脱法行為を禁止する規定を設けるとともに、副作用を抑止するために次のような法的措置をとるべきです。

(1)使用者が有期契約労働者を利用可能期間到達を理由に雇止めした場合には、同一事業場及び同一業務において、新たに別の有期契約労働者を雇用することを禁止する。また、利用可能期間到達前の1年前に雇止めした場合には、利用可能期間到達を理由に雇止めをしたものと推定する。
(2)使用者が、(1)の禁止に違反した場合には、雇止めされた有期契約労働者は、使用者に対して、無期労働契約として継続雇用を請求することができる。

入口規制が無理だとしても、最低限、次のような立法を行うべきでしょう。

第1に、労働契約は無期契約であることを原則とする規定を設けること(労働契約法3条の原則規定)

第2に、利用可能期間到達前の雇止めの抑止策をもうけること(同一事業場及び同一業務に別の有期契約労働者を雇用することの禁止する)

第3に、脱法行為の禁止規定を設けること

労働側は少なくとも上記の要求で一致しないでしょうか。不十分であるからといって、批判して反対するだけでは、派遣法の二の舞になってしまいます。

建議には、「雇止めの法制化」の問題、「有期契約を理由とする不合理な処遇の解消」という論点もあります。これについては今後、検討してみようと思います。

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