トンネルじん肺救済法案
■トンネルじん肺救済法案
トンネルじん肺訴訟は、国賠請求事件で東京地裁をはじめ5地裁で勝訴判決を得ました。2007年6月に国との間でトンネルじん肺防止についての合意書を締結し、粉じん許容濃度の見直し、エアラインマスクの検討などの改善を合意して決着しました。
他方、50社を超えるゼネコンとの間では、裁判所の和解ルールを合意して、今年5月27日には、東京地裁にて、ゼネコンは、法的責任を認め、被害者に真摯な謝意を表明して和解をしました。現在、あと260名の原告が全国12地裁で和解手続きをしています。
1997年以降、2200名を超えるトンネルじん肺被害者に対しての和解が成立しています。しかし、和解が成立するまでには、訴訟開始から2年の期間がかかっています。一人ひとりのトンネル建設工事場所、機関を認定して、ゼネコン各社の負担割合を決めているからです。症状に応じて、原告の賠償金額は決まっているので、この作業はもっぱらゼネコン側の負担割合を決めるためです。
この2年の間に亡くなる原告もいます。裁判で職歴の確定するには弁護士が関与しなければなりません。原告は、貴重な時間がなくなり、裁判の負担も大きい。
そこで、トンネルじん肺救済法にて、ゼネコンからお金を拠出させて基金を創設して、簡易迅速に補償を行う。それだけでなく、全国各地のトンネル建設工事を転々とするトンネル建設労働者の就労、職歴、健康、安全衛生教育を、会社の枠を超えて、一元的管理を行って、じん肺を予防するという法律が検討されています。
http://www.myrmt.info/archives/675
トンネルじん肺、救済基金で調整 民自公、法
Date:2011-06-24Author:adminCategory:社会ニュースComment:0
民主、自民、公明3党は15日、トンネル工事で「じん肺」にかかった労働者らの救済に向け、ゼネコンなど企業の拠出により給付金支給のための基金を創設する方向で調整に入った。今国会中に議員立法を提出し、成立を目指す。ただ、企業側の反発に加え、民主党内にも慎重論があり、調整に時間がかかりそうだ。
この基金には、衆参国会議員580名の賛同署名を得ています。民主党、自民党、公明党、共産党、社民党にも議員連盟や、プロジェクトチームがあり、積極的に賛同してもらっています。ところが、日本建設業連合会が、6月22日反対の決議をあげたのです。
■基金に反対するゼネコン
http://www.decn.co.jp/decn/modules/dailynews/news.php/?storyid=201106230104001
日建連/じん肺基金創設に反対/民主PTが法案要項、工事受注での資金拠出盛る
日本建設業連合会(日建連)は、民主党の「トンネルじん肺救済法プロジェクトチーム(PT)」が、トンネル工事のじん肺被害者を救済するため新たな基金の創設を盛り込んだ新法の要綱案をまとめたのに対し、反対する方針を表明した。22日の理事会で決定した。
PTが21日の会合でまとめた「トンネルじん肺救済法案要綱(案)」には、新規の工事受注者が資金を拠出する基金の創設などが盛り込まれている。これに対し日建連は、過去の工事による被害者は、その工事を実施した企業の負担によって救済するべきだと指摘。無関係の企業が基金に拠出することは受け入れ難いと主張している。
さらに、トンネル工事で建設会社は国のガイドラインなどに沿って適正に粉じん対策を講じており、そうした状況下でじん肺被害者が発生した場合は国が救済を行うべきだとの考えも示した。加えて、被害者の迅速な救済が望ましいものの、就労履歴などが明確でないケースもあり、裁判所による和解スキームが不可欠だとも指摘。信頼性の面からも、裁判所の厳格な判断に沿って和解を進めるべきだとした。日建連は、21日のPTの会合でヒアリングを受けた際にも、基金の創設を受け入れるのは難しいとの意向を表明している。
ゼネコンは今後も裁判で決着するつもりなのでしょうか。でも、基金法案は補償金は訴訟上の和解基準の6割です。これにもろもろの訴訟対応費用を抑制できることを考えれば、基金による会社負担は軽くなるはずです。
他方で、トンネルじん肺の被害者にとっては、補償金は少なくなるが、訴訟をせずに簡易迅速に救済が受けられます。ゼネコンの役員が、この救済法案にあくまで反対すれば、かえって会社に大きな負担をかけることになるのではないでしょうか。
今も苦しむ被害者を早期に救済し、就労や健康管理を一元的に管理する法案を早期に成立させて、じん肺の根絶に踏み切るべきでしょう。
今は第3陣訴訟が全国12地裁で約260名が訴訟をしています。提訴してから3年経過しようとしていますが、まだ18名しか和解解決できていません。この間に亡くなった原告もいます。
また、基金ができなければ、今後も2~3年に一度300名近くの訴訟が延々と続いていくことになります。
国会議員(特に与党民主党議員)には、ゼネコンの不合理な反対を抑えて、救済法案の成立に尽力してもらいたいと思います。
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