菅直人総理の英断 浜岡原発停止要請
■菅直人総理の英断を評価する
一昨日、浜岡原子力発電所の稼働中の原子炉停止を要請している菅総理の記者会見を見ました。
東海地震などの大地震の危険性が高く、防潮堤の工事ができるまで停止を要請していました。大英断です。
東日本大震災と同様の地震がおきれば同じように16メートルを超える大津波に襲われることが確実でしたから。
しかし、これに反対する政治家がいるのには驚きました。「なぜ、浜岡だけなのか。」とか言う、知事や国会議員には、あきれてしまいます。
もし、あと1年、2年のうちに、で東海地震、東南海地震の連動地震が起こり、浜岡原発が福島原発のように大事故を起こした場合には、日本はいよいよお終いになってしまいます。
それだけ東海地方では大地震の確率が高い以上、浜岡原発は停止するしかないでしょう。
知事や政治家は、文句を言っている暇があれば、他の原発についても耐震性や津波への対策を早急にすすめるべきですね。
■浜岡原発の東京高裁の差し止め訴訟の行方
静岡地裁で差し止め請求を敗訴させた判決があります。判決文を読んでみましたが、まあ酷い内容ですね。結論ありきです。裁判官は、裁判長宮岡章、裁判官男澤聡子、同戸室壮太郎らの3名でした。
http://www.geocities.jp/ear_tn/
東京高裁では、どう判断をするのでしょうか。志賀原子力発電所の差し止め訴訟を認めた金沢地裁判決もありました(井戸謙一裁判長)。高裁、最高裁で覆されたが。
経産省、原子力・保安院自身が今までの安全対策が不十分であったと言っているのですから、一審判決は全面的に見直されることは必至だろう。
■中部電力の対応
中部電力は、本日、まだ結論を出していない。
いま、すぐ決断しない姿勢を見せているのは、政府の強い要請で停止に追い込まれたというポーズをつくり、財政的支援を得ようとする底意、株主からの批判をかわすためである。日本の事なかれ主義の経営者や天下り官僚っていのうは必ずそう考えています。手に取るようにわかります。結果的には、採れるものはとって、そのあと停止をすることになるでしょう。
今回のM9クラスの連動した大地震は、世界的に見ると、近くの場所で連続して起こる確率が高いことをアメリカの地震学者が報告していると新聞で読みました。危機は近いといえます。
あと数年後に東海で東北大震災のような大地震が来て、もし福島原発のような事故がおきた場合に、中部電力取締役は責任をとらされることになります。自己保身のかたまりの中部電力の取締役らがそのようなリスクを負うとは考えられない。
「我が亡き後に洪水よ来たれ」というのが常に支配階級の思いです。そのうち自分が死ぬ前には、けっして洪水はこないと思いこんでしまうのでしょう。
■津波のせいか、地震のせいか
また、福島原発は大地震に耐えた(制御棒が機能した、地震に原子炉が壊れなかったとか)。だが、大津波で電源をすべて失ったための原発事故であると言われています。
しかし、これはまだ福島第一原発では確かめられていない。確かに、原子炉が緊急停止はできた。電源を失い冷却機能がダメになり燃料棒がメルトダウンした。原子炉の格納容器も損傷して水が漏れている。
可能性としては、地震の震動によって、原子炉のどこかに破断などの損傷が生じた可能性も否定できない。津波のせいのみだと結論づけることはできないでしょう。
したがって、防潮堤ができたと言って、耐震設計が十分であり浜岡原発が再稼働できるかどうか、東京高裁は正面からの判断を迫られるはずです。
■司法の役割とは
司法の厳しいチェックがあれば、東電や経産省、原子力・保安院が、より厳格な安全対策をして、今回のような大津波による電源喪失という事態は避けられたかもしれません。
結果論であることは承知していますが、裁判官のいつもいつもの行政よりの姿勢にはうんざりです。このような司法官僚の思考パターンが今回の事態を招いた一因というべきでしょう。
大勢順応、同調思考、秘密指向でどっぷり浸かっている日本においては、司法の役割は、透明性、自立・独立した判断、批判精神を発揮することだと改めて思いました。
■反原発か、脱原発か、原発容認か、原発推進かという冷戦思考はもう止めよう。
反原発とか、脱原発か、原発容認か、原発推進かという対立的思考はもう止めようね。
残念ながら、今すぐ原発を廃止できない。では、安全な原発をつくることができるか。日本のような地震国ではそれも不可能。とすれば、代替エネルギーを開発しながら、5年か、10年か、20年かけて原発を廃止する努力をするしかないし、その間にできるだけ安全性を高めることを努力するしかない。
反原発運動側は、原子力の安全対策をすることは、原子力容認派で、隠れ推進派だというような、幼児的な対応だけはしてほしくないですね。今ある、原発をすぐ止められない以上、少しでも安全対策を強化していくことしかないのですから。
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