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2011年4月 5日 (火)

原発震災と情報公開 中東や中国並みになった日本

■気象学会が放射性物質の拡散予測を自粛要請

朝日新聞

福島第一原発の事故を受け、日本気象学会が会員の研究者らに、大気中に拡散する放射性物質の影響を予測した研究成果の公表を自粛するよう求める通知を出していたことが分かった。自由な研究活動や、重要な防災情報の発信を妨げる恐れがあり、波紋が広がっている。

 文書は3月18日付で、学会ホームページに掲載した。新野宏理事長(東京大教授)名で「学会の関係者が不確実性を伴う情報を提供することは、徒(いたずら)に国の防災対策に関する情報を混乱させる」「防災対策の基本は、信頼できる単一の情報に基づいて行動すること」などと書かれている。

http://www.asahi.com/national/update/0402/TKY201104020166.html

■気象学会HP

気象学会の会員へのメッセージでは、「ここでは、放射線の影響予測については、国の原子力防災対策の中で、文部科学省等が信頼できる予測システムを整備しており、その予測に基づいて適切な防災情報が提供されることになっています。」としています。

http://www.asahi.com/national/update/0402/TKY201104020166.html

独立した学問研究の学会に求められるのは、上記の政府の防災情報が適切であるかどうかを科学者の自由な研究で検証すること自体です。このようなメッセージを出すことは、国際的にみて、日本の立場を悪くするだけで、良くするものではありません。

■気象学会が「想定外」はおかしいでしょう。

また、上記のメッセージには、災害は想定を越えた激しい現象によって起きると言っていますが、これも気象学者や地震学者は、今回の大津波を想定していたはずです。

これは石橋克彦神戸大学名誉教授の1997年10月論文でも明らかです。

■日本人も外国人も、日本の科学者や政府を信用しなくなる

ロイター通信では、東電が、2007年7月、米国フロリダ州マイアミの国際会議で、福島原発をモデルにして、スマトラ沖地震と道程の大津波の危険性があると発表していたことを報道しています。今は、インターネットで、どんどん情報は伝わっています。

 <埋もれた4年前のリポート、福島原発モデルに巨大津波を分析>

 「津波の影響を検討するうえで、施設と地震の想定を超える現象を評価することには大きな意味がある」。こんな書き出しで始まる一通の報告書がある。東京電力の原発専門家チームが、同社の福島原発施設をモデルにして日本における津波発生と原発への影響を分析、2007年7月、米フロリダ州マイアミの国際会議で発表した英文のリポートだ。

 この調査の契機になったのは、2004年のスマトラ沖地震。インドネシアとタイを襲った地震津波の被害は、日本の原発関係者の間に大きな警鐘となって広がった。

 とりわけ、大きな懸念があったのは東電の福島第1原発だ。40年前に建設された同施設は太平洋に面した地震地帯に立地しており、その地域は過去400年に4回(1896年、1793年、1677年、1611年)、マグニチュード8あるいはそれ以上と思われる巨大地震にさらされている。 その報告には次のような可能性を示すグラフが含まれている。

 ―福島原発は1―2メートルの津波に見舞われる可能性が高い。

 ―9メートル以上の高い波がおよそ1パーセントかそれ以下の確率で押し寄せる可能性がある。

 ―13メートル以上の大津波、つまり3月11日の東日本大震災で発生した津波と同じ規模の大災害は0.1パーセントかそれ以下の確率で起こりうる。

 そして、同グラフは高さ15メートルを超す大津波が発生する可能性も示唆。リポートでは「津波の高さが設計の想定を超える可能性が依然としてありうる(we still have the possibilities that the tsunami height exceeds the determined design)」と指摘している。 

 今回の大震災の発生を「想定外」としてきた東電の公式見解。同リポートの内容は、少なくとも2007年の時点で、同社の原発専門家チームが、福島原発に災害想定を超えた大津波が押し寄せる事態を長期的な可能性として認識していたことを示している。 

http://jp.reuters.com/article/wtBusinessNews/idJPJAPAN-20331920110330

■気象庁の放射姓物質の公表規制

読売新聞も、次のように報道しています。

東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。

 ドイツやノルウェーなど欧州の一部の国の気象機関は日本の気象庁などの観測データに基づいて独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。日本政府が公開しないことについて内外の専門家からは批判が上がっており、政府の原発事故に関する情報開示の在り方が改めて問われている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110404-00000603-yom-soci

■欧州では、日本の福島原発の放射性物質の予測発表

HPでは、フランスやノルウェーでは放射性物質の予測は既に公表されています。

http://www.irsn.fr/EN/news/Documents/irsn-simulation-dispersion-jp.pdf

http://www.dwd.de/bvbw/generator/DWDWWW/Content/Oeffentlichkeit/KU/KUPK/Homepage/Aktuelles/Sonderbericht__Bild4,templateId=poster,property=poster.png

■原発被災にあたって情報規制は国家の信用を失う

これが今のインターネット社会です。にもかかわらず、気象学会や日本政府が情報提供を制限しようとするのは、中東の独裁国家や中国、北朝鮮のように規制しようとすることは信じがたいことです。

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コメント

ようやく政府は原発事故の国際基準に基づく評価をチェルノブイリと同じ「レベル7」にしました。
しかし、放射能の放出状況はいきなり悪化したわけではないはずです。
選挙後になって評価を上げるというのはどうなんでしょうか?
選挙前に「レベル7」とすると、原発を推進してきた候補が苦戦に追い込まれる、とでも考えたのでしょうか?
情報操作をせずに、政府には、すべての情報を、きちんと開示してもらいたいものです。

投稿: 蒼い彗星 | 2011年4月13日 (水) 02時06分

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いまだに政府は福島原発の事故による放射線の値などをスピーディに公表していない。今のような上から目線の情報公開ではいずれ政府発表の情報を誰も真剣に受け取らなくなる。今すぐに原発関連の情報はすべて公開すべきだ。... [続きを読む]

受信: 2011年4月 7日 (木) 10時45分

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