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2011年1月22日 (土)

読書日記「労働契約と法」 西谷敏・根本到編 旬報社

■労働契約と法

西谷敏先生、根本到先生編の「労働契約と法」をご送付いただきました。ありがとうございました。

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早速、西谷先生の巻頭論文の「労働契約法の性格と課題」をざっと読ませていただきました。実定法の労契法と、実質的な労働契約法を区別し、後者の労働契約法を、判例法理や政治的情勢と切り離して議論が展開されるべきことを強調されています。

■実質的な合意原則

労働契約における合意とは何かという論点を、原理的に掘り下げられている点が印象に残りました。実質的な対等な合意でなければならない。そのためにの法規制が必要ということです。シンガー・ソーイング・メシーン事件最高裁判決の退職金債権放棄の有効性について、「労働者の自由な意思に基づいてなされたものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき」という法理を重視されます。

■債権法改正との関係の指摘

西谷論文では随所に現在、債権法改正で審議されている改正点、現代的暴利行為や約款規制、民法の雇用規定と労契法との関係が議論されている点も注目されます。

その中で、民法と雇用規定と労契法との関係について次のように指摘されています。

「民法上の雇用にあたるかどうかも、単なる契約形式によってではなく、その実態から判断することを前提とすれば、契約類型として雇用契約と労働契約は基本的に重なり合うと考えるので、現行民法の雇用に関する規定は労働契約法に吸収して一元的に規制すれば良いと考える。」
これから各論文を読んでいきたいと思います。


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