外国人実習生事件 労働弁護団賞
■労働弁護団総会(54回)
今年11月12日、13日、広島の宮島で日本労働弁護団総会が開催されました。特別講演は、名古屋大学の和田肇教授に、「労働契約と民法(債権法)改正」をテーマに講演していただきました。
■労働弁護団賞
労働弁護団賞というものがあり、労働事件を担当した弁護士に対して、労働者の権利確立に特段に寄与した活動を行った弁護士を表彰するものです。
今年は、JR不採用事件弁護団と外国人実習生事件弁護団(三和サービス事件弁護団、スキール事件弁護団)が対象となりました。
JR不採用事件では、国労不採用弁護団の石井将弁護士にスピーチしていただきました。また、外国人実習生事件では、若手の小野寺信勝弁護士に弁護団を代表してのスピーチをしてもらいました。
労働弁護団賞っていっても賞金が出るわけでもない表彰なのですが、対象となった弁護団のスピーチを聞いて、実は私はいつも感銘をうけています(労働弁護団総会の秀逸のイベントだと個人的には楽しみにしています。・・・表彰状を書くのが大変なのですが。・・・ちなみに「幹事長報告」なんかは誰も聞いていないのだと思いますが)。
■外国人実習生のおかれた過酷な状況
外国人研修生事件の小野寺信勝弁護士のスピーチには、現代の日本で外国人実習生が「女工哀史」のようなひどい取扱いを受けているということを知り、あらためて衝撃を受けました。同時に、多くの若手の弁護士が全国各地で奔走されていることを知り、感銘を受けました(近頃の若い奴は・・・ってオヤジ愚痴を言うのは辞めます。)
JITOの統計では、1992年から2009年までに241名が死亡、うち76名が脳・心臓疾患、24名が自殺とされています。詳細は、熊本の小野寺信勝弁護士のブログを是非、ご参照下さい。
http://ononobu.exblog.jp/
小野寺信勝弁護士の担当された事件で、中国人実習生が9名が狭い部屋に閉じ込められ縫製業に従事させられていた。ネズミの糞が散乱し、テレビさえない部屋に閉じ込められていました(外出は、月1回の買い物のみ)。与える食事は、養豚場の豚の餌の飼料を与えられていたといいいます。パスポートもとりあげられ、救済を求めることもできません。この場所の写真も見せてもらいました。縫製業や農業など中小零細企業が、格安の労働力として使用しており、古典的な搾取と収奪です。奴隷的な強制労働といって良いと思います。
そのような労働条件の中で、上記のように、20歳~30歳代の若い外国人労働者が、241名も死亡し、うち76名が過労死、24名が自殺しているという事実は、私にとっては衝撃でした。
■外国人実習生救済のネットワークと弁護士
このような外国人実習生を救済するために全国各地にNPOがあり、それに協力する若い弁護士が全国(九州から北海道)で奔走し、全国のネットワークを作っていることを、遅ればせながら知りました。この活動は若手の弁護士を中心に発展しています。外国人実習生制度の抜本的な改善が実現するにちがいないと思います。
表彰状
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外国人実習生事件弁護団
JR不採用事件
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