労働者派遣法改正法案の成立を
■労働者派遣法改正
継続審議となっている、労働者派遣法改正法案を今臨時国会で早期に成立させる必要があります。
労働弁護団は、昨日、厚労省で記者会見をしました。
http://mainichi.jp/life/job/news/20101006k0000m040068000c.html
http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/post-2.php
労働弁護団の声明の言いたいところは次の点です。
3 派遣の規制強化を前進させ、違法派遣における派遣先との直接雇用を求める労働者救済のために今臨時国会での改正法案の成立を 2010年7月の参議院選挙により与党が参議院で過半数割れとなったが,今臨時国会で派遣規制を強化する内容で労働者派遣法が改正されなければ、相次ぎ規制緩和されてきた現行の労働者派遣法がそのまま維持されてしまい、不安定雇用と低賃金に苦しむ派遣労働者の救済はさらに先延ばしされることになる。 今回の改正法案は、上記のとおり、1985年に労働者派遣法が成立して以来ほぼ一貫して規制緩和の改正が重ねられ不安定な労働者派遣が拡大してきた流れを変えて、問題点は多数あるが、派遣労働者保護のための規制強化に一歩踏み込むものである。 特に、違法派遣の場合に派遣労働者と派遣先とのみなし雇用の成立を可能にする規定が定められているので、これにより派遣労働者が派遣先との直接雇用を実現することが可能となる。現在、日本労働弁護団の弁護士は、違法派遣の派遣先の雇用責任を求める多くの訴訟を全国で取り組んでいるが、裁判所の厚い壁を突破し派遣労働者の派遣先への直接雇用を実現するためにも、この規定を含む法改正を今臨時国会で成立させることは、派遣労働者の救済のために重要な意味がある。 以上の点から、今臨時国会で、改正法案について十分な審議を尽くしたうえで、改正法を早期に成立させるよう強く求める。
現行法がそのまま存続することが最悪の事態です。参議院が過半数割れした以上は、現行改正法を基本に早期に成立させるしかないと思います。
■改正しないほうが良いのか、したほうが良いのか。
派遣法改正法案については、労組の一部から強い批判があったところです。しかし、その批判は改正法案が不十分であるというものであって、現行法を改悪するという批判ではなかったはずです。
労働弁護団は、改正法案の違法派遣のみなし雇用の成立を認める規定は画期的と評価してきました。また、登録型派遣については常時雇用するものでなければならないとします。常時雇用する意義については、派遣業務要領では、有期雇用を許容するとはいえ、事実上、期間の定めのないような状況を意味すると解釈できるものです。大きな意味があると評価してきました。例外扱いなどは不十分とはいえ、現行法を派遣労働者保護に向けて一歩すすめるものです。
■派遣業界の巻き返し
派遣業界は、派遣規制が行われると、派遣労働者の職が失われるとの宣伝を行っていますが、派遣労働を使用できなくっても、仕事があれば、企業は有期雇用とはいえ、直接雇用で労働者を採用します。職業紹介でミスマッチ問題も克服できるはずです。
このあたり、派遣労働者が誤った情報により、派遣法改正に不安に陥っています。間接雇用よりも、有期であっても直接雇用のほうが労働者にとって雇用と生活の安定が図られることはまちがいないです。
■国会審議-公明党の対応が焦点か
国会審議がどうなるのか。自民党は強く反対を唱えています。公明党の対応が焦点になります。特に、派遣の原則自由化した当時の坂口力元厚生労働大臣が公明党だから、かたくなになっているのかもしれません。
しかし、本来、非正規のなかで最も地位が不安定な派遣労働者の保護を実現するのは公明党の政策に合致するはずです。原則自由化した結果、リーマンショック以降の派遣切りで、多くの派遣労働者が路頭に迷った事態をうけて、公明党は過去のいきさつを離れて、派遣労働者の保護に踏み出すべきエド省。
■院内集会の開催
労働弁護団は、10月中に派遣法改正を求める国会議員院内集会を企画しています。
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