韓国大法院が偽装請負の直接雇用みなし判決
■韓国大法院判決
2005年7月1日以前に入社した社内下請労働者が2年以上勤務したら、元請会社が正規職員として直接雇用したとみなすとの判決を韓国大法院(最高裁)が言い渡したそうです。
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2010/1280162002859Staff/#content
■韓国の改正派遣労働者保護法
2006年に、韓国では非正規労働者保護関連法(期間制及び短時間労働者保護法制定、派遣労働者保護法改正、労働委員会改正)が制定され、2007年7月1日から施行されているそうです(呉学殊氏・社会政策第1巻3号「韓国労働政策の動向と非正規労働者」から)。
関連法律の主要な内容は
①使用者は2年を超えて有期労働者を使用することができない。2年を超えて使用した場合には、期間の定めのない労働者とみなす(期間制及び短時間労働者保護法)
②2年を超えて派遣労働者を雇い続けた場合、当該労働者を直接雇用しなければならない。その際、労働条件は同種・類似業務労働者と同水準、類似労働者がいない場合、派遣のときより下回ってはならない(派遣労働者保護法)
③非正規労働者が当該事業所で同種・類似業務に従事している通常労働者に比べて差別的処遇を受けた場合、その是正を労働委員会に申請できる。労働委員会は60日以内に調停・仲裁などの決定しなければならない(労働員会法)
大法院の判決は、②の派遣労働者に関連したもののようです。請負労働者にも、これが違法である場合には、派遣労働者保護法4条の適用をしたということのようです。
韓国では上記法律が施行されて2年を経過したのが2009年7月1日です。上限規制で、その前に、多くの非正規労働者が契約を打ち切られてしまったようです。他方で、無期労働契約で採用された労働者も30%ちかくいるとも言われています。
入口規制がなく、有期の上限規制だけを導入すると、上限前に雇用を打ち切られる副作用が生じるとも言われています。韓国での実態はどうなのでしょうか。是非、調査をしたいと考えています。
■日本の派遣法改正の行方
日本の継続審議中の派遣法改正案にも、違法な偽装請負の場合、派遣先が直接雇用申し込みとみなすという制度になっており、この派遣法改正案が成立すれば、韓国大法院と同様になります。
しかし、松下PDP事件最高裁判決が出てしまったので、一般的には「みなし直接雇用」は無理になっています。
次期国会では、抜本改正が無理でも、せめて違法派遣については、「みなし直接雇用」を盛り込んだ改正法案が成立させたいものです。
| 固定リンク
「労働法」カテゴリの記事
- フリーランス新法と労働組合(2023.04.28)
- 「労働市場仲介ビジネスの法政策 濱口桂一郎著(2023.04.13)
- 「フリーランス保護法」案の国会上程(2023.02.26)
- 働き方開殻関連法の労組向け学習会(出版労連)(2018.10.07)
- 改正民法「消滅時効」見直しと年次有給休暇請求権の時効(2018.06.06)
コメント
いつも楽しく観ております。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
投稿: 派遣社員 | 2010年8月 8日 (日) 13時18分