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2010年8月25日 (水)

有期労働契約研究会 最終報告書案

■有期労働契約研究会報告書(案)

2010年8月24日付けで、有期労働契約研究会の最終報告書案が発表されています。


第18回有期労働契約研究会 資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000mrxr.html


この中でわが国の有期契約労働者の数について、中間とりまとめよりも詳細な説明が加えられています。


有期契約労働者の数を総務省「労働力調査(基本集計)」における「臨時雇(1ヶ月以上1年以内の期間を定めて雇われている者)」「日雇(日々又は1ヶ月未満の契約で雇われている者)」の合計で見たとき、1985(昭和60)年の437万人から2009(平成21)年には751万人(雇用者総数の13.8%)に量的に増加した。

さらに、この部分の注には次のような補足があります。

このほかに、有期契約労働者数の全数を把握する調査は存在しないが、総務省{労働力調査(基本集計)」の雇用者数5460万人(平成21年)に「実態調査(事業所)」における常用労働者に占める有期契約労働者の割合(22.2%)を乗じることにより、推計(1212万人)する方法もあり得るが、2つの調査では、母集団、サンプル構成、調査項目の定義は異なっており、大まかな推計にとどまる点に留意する必要がある

前回のブログで記載した疑問点に答えてもらったという感じです。

ということで、やはり有期契約労働者数が751万人というのは少なすぎるように思います。

■この最終報告書については、まだ全体を読めていません。今週中に読んでみたいと思います。

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2010年8月16日 (月)

日本の有期契約労働者の人数・比率は?

 厚生労働省の有期労働契約研究会の中間とりまとめには、有期契約労働者の人数を次のように記載しています。

 有期契約労働者は1985(昭和60)年の437万人から2009(平成21)年には751万人(雇用者総数の13.8%)に量的に増加し、また、特にこの間の2,000(平成12)年から3年ほどその増加のピッチが上昇した後、高止まりしている(「労働力調査」)

 「有期労働者数の実数が751万人とは少なすぎないか?」という疑問を持ちました。非正規労働者の実数は2009年で1721万人です。うちパート・アルバイトが1153万人、派遣社員が108万人、契約社員・嘱託で321万人です。(これも労働力調査)
 契約社員はもちろん有期契約ですし、派遣社員のほとんどが有期派遣労働契約を締結しているはずです。また、パート・アルバイトも、ほとんどが有期契約を締結していると思われます。パートで有期契約でないというケースは先ず例外的だと思います。そうすると少なくとも、1500万人位は有期契約のはずです
 
  厚労省に有期契約労働者数の統計上の根拠を電話をして聞いてみました。すると、この有期契約労働者数は、労働力調査のうち、臨時雇・日雇の人数を根拠にしているそうです。確かに、総務省統計局の労働力調査に発表されています。次の平成21年基本集計の14頁に非農林業の常雇い、日雇い、臨時雇い別の実数と比率が掲載されています。

http://www.stat.go.jp/data/roudou/report/2009/pdf/summary1.pdf

 この労働力調査は、4万世帯10万人に基礎調査票や特定調査票に記入してもらって回収するものだそうです。その基礎調査票に従業上の地位に関する質問項目項があります。常雇、臨時雇、日雇について、次のような定義が調査票に明示されて、その中から回答者が選んで記入しています。

 常雇:雇用契約期間が1年を超える者又は雇用契約期間を定めないで雇われている者
 臨時雇:雇用契約期間が1ヶ月以上又は1年以下の者
 日雇:雇用契約期間が1ヶ月未満の者

 正規と非正規を調べる調査でも、同じく労働力調査のうち特定調査票に質問項目があり、職場でどのように呼称されているかを択一の中から選択肢を選んで記入させて集計しています。

 とすると多くの回答者が「常雇」を選んでいることになります。

 ひょっとすると、多くの人は雇用契約期間の意味を取り違えて回答している可能性があります。つまり、雇用期間が1年を超えて働いている人は、雇用契約期間が1年以下であっても常雇として回答しているのではないでしょうか。
 これは労働相談で同一企業で5年以上働いているパートの人は、有期契約を締結しているという意識がない場合がまま見うけられるという私の経験とも合致します。

 ちなみに、イギリスでも同じような問題が指摘されています。JILPTの労働政策フォーラム(2010年3月8日開催)で、国際比較・有期労働契約の法制度にて、イギリスのケンブリッジ大学の研究者が、統計上の有期労働の把握が困難であるとして次のように指摘しています。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/05/dl/s0527-4d.pdf

  この労働力調査の有期労働の定義には問題がある。調査に回答した労働者自身、自分を有期労働者と定義している場合と、そうでない場合がある。実際にかなりの有期契約労働者が自分をパーマネント(無期雇用)と称していたことが分かった。雇用契約は有期であったとしても、契約が更新されるので、自分は無期雇用労働者だと考えているわけである。

 同じことは日本でもあてはまると思われるのです。

 日本が14%程度というのは実態とは異なっているのではないでしょうか。この比率はもっと高く(25%くらいか)、今後も広がっていくでしょう。だからこそ、有期契約労働の濫用防止の法政策(継続雇用の保障と均等待遇の実現)が喫緊の課題となっているのだと思います。

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2010年8月 8日 (日)

韓国大法院が偽装請負の直接雇用みなし判決

■韓国大法院判決

2005年7月1日以前に入社した社内下請労働者が2年以上勤務したら、元請会社が正規職員として直接雇用したとみなすとの判決を韓国大法院(最高裁)が言い渡したそうです。

http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/knews/00_2010/1280162002859Staff/#content

■韓国の改正派遣労働者保護法

2006年に、韓国では非正規労働者保護関連法(期間制及び短時間労働者保護法制定、派遣労働者保護法改正、労働委員会改正)が制定され、2007年7月1日から施行されているそうです(呉学殊氏・社会政策第1巻3号「韓国労働政策の動向と非正規労働者」から)。

関連法律の主要な内容は

①使用者は2年を超えて有期労働者を使用することができない。2年を超えて使用した場合には、期間の定めのない労働者とみなす(期間制及び短時間労働者保護法)

②2年を超えて派遣労働者を雇い続けた場合、当該労働者を直接雇用しなければならない。その際、労働条件は同種・類似業務労働者と同水準、類似労働者がいない場合、派遣のときより下回ってはならない(派遣労働者保護法)

③非正規労働者が当該事業所で同種・類似業務に従事している通常労働者に比べて差別的処遇を受けた場合、その是正を労働委員会に申請できる。労働委員会は60日以内に調停・仲裁などの決定しなければならない(労働員会法)

大法院の判決は、②の派遣労働者に関連したもののようです。請負労働者にも、これが違法である場合には、派遣労働者保護法4条の適用をしたということのようです。

韓国では上記法律が施行されて2年を経過したのが2009年7月1日です。上限規制で、その前に、多くの非正規労働者が契約を打ち切られてしまったようです。他方で、無期労働契約で採用された労働者も30%ちかくいるとも言われています。

入口規制がなく、有期の上限規制だけを導入すると、上限前に雇用を打ち切られる副作用が生じるとも言われています。韓国での実態はどうなのでしょうか。是非、調査をしたいと考えています。

■日本の派遣法改正の行方

日本の継続審議中の派遣法改正案にも、違法な偽装請負の場合、派遣先が直接雇用申し込みとみなすという制度になっており、この派遣法改正案が成立すれば、韓国大法院と同様になります。

しかし、松下PDP事件最高裁判決が出てしまったので、一般的には「みなし直接雇用」は無理になっています。

次期国会では、抜本改正が無理でも、せめて違法派遣については、「みなし直接雇用」を盛り込んだ改正法案が成立させたいものです。

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