首都圏建設アスベスト訴訟 森裕之教授証言
■建設作業従事者のアスベスト被害
石綿が含まれる建材を使用したことで、石綿疾患(肺がん、中皮腫、石綿肺等)に罹患した建設作業者(大工、配管工、解体工等)が、国と石綿建材メーカーに対して損害賠償を求めた裁判が続いています。東京地裁(1次訴訟、2次訴訟)の合計原告は約300名です。
■森裕之教授の証人尋問
立命館大学の森裕之教授(財政学・都市経済論)に、日本での建設アスベスト被害と国・建材メーカーの責任について証人尋問(120分)が東京地裁で実施されました。
公共経済学の立場から我が国のアスベスト建材の被害拡大と政府と企業の責任について、詳細の意見書を作成していただき、それを踏まえて詳細に証言していただきました。
日本が輸入した石綿のうち7割が建材に使用され、我が国では建設業に大量の石綿疾患被害者が発生していることを数値に基づいて明らかにされています。
■ダブル・スタンダード
特に、アスクなどの日本の代表的石綿建材製造企業が、石綿規制が厳しい海外には、ノンアスベストの製品を輸出しながら、規制がなかった日本では石綿含有建材を従来どおり新製品も含めて販売していることを、会社側の資料に基づき明らかにされました。
アスベスト代替化は可能であり、きちんと公的規制があれば、アスベスト代替品開発を企業に促し、早期の脱アスベスト化は可能であったと証言されました。
この証言には、裁判長や右陪席裁判官が、頷きながらメモをとっていたのが、印象的でした。
■訴訟は中盤の山場を迎えて
泉南アスベスト訴訟で敗訴した国は、3名の証人申請をしてきました。原告側は、後半戦の原告患者・遺族による被害立証にはいっていきます。いよいよ後半戦に入っていくことになります。生存している患者原告も重症の石綿疾患です。一日も早い判決、解決が求められています。
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