「詭弁」と「陰謀史観」について
■陰謀史観
陰謀史観とは、歴史的な出来事の背景には何らかの陰謀があるという考え方です。典型的な例は、「太平洋戦争はルーズベルトの謀略である。アメリカ国民を第二次世界大戦への参戦に賛成させるため、あえて日本軍に真珠湾攻撃をさせた。」という手の考えです。このほか、ユダヤ陰謀論とかフリーメーソン陰謀論とかが有名な「陰謀史観」です。
■詭弁
詭弁って、広辞苑によれば「道理にあわぬ弁論。理非を言い曲げ、こじつけの弁論」ということだそうです。陰謀史観は、この詭弁の典型のように思います。
■陰謀ではなく、あやなすベクトルの合力では?
物事は一部の者の陰謀で進むほど単純なものではないのではないかと思います。
どちらかというと、様々な思惑をもったグループが各々がばらばらに動き、それが様々な方向のベクトルとなる。右へ向かうベクトルもあれば、左へ向かうものもある。中には、上や下に向かうベクトルもある。また逆方向の力もあらわれる。そのベクトルの合力が結果が、物事の進む方向になるということなんだと思います。もちろん、その背景には個々のグループの利害にからむ大状況(経済情勢、政治情勢)がある。(この大状況が、個々のグループを動かすんですって言うと、やっぱ唯物史観じゃと言われますかね。)
陰謀史観で何でもかんでも割り切ってしまうと、視野狭窄になり、変化する物事に対して新しい対応ができなくなるように思います。特に、「左翼小児病」と「陰謀史観」が結びつくと重症になります。
■左翼小児病
左翼小児病とは、広辞苑によれば「労働運動や革命運動で、極端な公式論に基づいて過激な言動をなす傾向」とされています。(以前、私のブログで触れました。http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2008/07/post_9f30.html)。
最近、左翼は流行りませんが、この傾向は左翼に限りません。ですから「原則論と理想論を振り回して机上の空論を好む傾向」(机上の空論病)と言えばよいように思います(もちろん私にもこの傾向が大いにありますが・・・)。
上記の<労働運動や革命運動>というところを、さまざまな「○○運動」と読み替えることが可能です。例えば、反・司法改革運動とか、環境保護運動とか、平和運動とか・・。
司法改革賛成論者の中にも、この傾向をもった人がいたことも否定しません。(仮に、法曹一元が獲得できると本当に思っていた人たちがいたとしたら、まさにこの「机上の空論病」にかかっていたというべきでしょう)。
■妥協と現実主義はいつの世も不人気
以前のブログで、ル・モンド・ディプロマティークの記事に掲載されたスペイン内戦で敗れた共和派の言葉を紹介しました。
我々はすべての闘いで負けたが、いちばん美しい歌を歌ったのは我々だった
でも、すべての闘いで負けたくない凡人は、「詭弁」と言われようと、「妥協」と言われようと、物事が少しでも良くなる方向に希望をつなげるくらいしか考えつきません。
もっとも、原則論を強く唱えるグループが強力(内弁慶でなく、外に向けてという趣旨ですが。。。)でないと、良い妥協も獲得できないのも事実ですが(戦術的ベクトル論)。・・・ご都合主義で、すみません。
●追記
以上、何のことかわからない方で、もし知りたいと思う方がいたら、次のブログをご覧ください(長文です)。
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