労働弁護団 3/5 派遣法の抜本的改正を求める集会
■集会案内
日本労働弁護団主催「労働者保護の派遣法改正を目指そう!」
日時 2010年3月5日(金) 18時30分~20時30分(18時会場)
場所 総評会館2階大会議室
このたび、日本労働弁護団では,派遣法改正案の内容を検証し、国会審議に向けた討議の場として、下記集会を企画しました。各界各層からの多数の御参加を得たく、御案内申し上げます。
詳細はこちらをご覧ください。
↓
http://homepage1.nifty.com/rouben/images/pdf/sympo100305.pdf
■法案要綱の内容
登録型派遣を原則禁止という方向性を出したことは、無制限に広がった派遣を再規制することで一歩前進ですが、まだまだ踏み込み不足です。
労政審の答申の問題点については、労働弁護団の意見書が指摘するとおりです。
http://homepage1.nifty.com/rouben/
この答申にそった法案要綱が発表されています。
改正法案要綱は要するに
(1)常用型派遣については業務制限をしていない。しかも、常時雇用される派遣労働者といっても、1年を超えて雇用される見込みがあれば、派遣会社との間の有期労働契約も許容される。
(2)登録型派遣は原則禁止といいながら、問題のある専門26業務を例外として広く認めている。
派遣労働の最大の問題は、派遣先がなくなれば、即、雇用が打ち切られる不安定性です。だから登録型派遣は原則禁止されました。
登録型派遣の例外とされる専門26業務は「事務機器操作」や「ファイリング」などで一般事務系が含まれることになり、多くの派遣労働者、特に女性派遣労働者が、不安定雇用・低い労働条件にとどめおかれることになります。
派遣会社に「期間の定めのない労働契約」で雇われていれば、次の派遣先が見つかるまで給料が支払われます。しかし、有期労働契約だと、派遣会社から雇い止めされてしまいます。これでは派遣労働の欠陥が是正されません。
また、常用型派遣で業務制限がないと、企業は、労働者を直接雇用しないで、管理コストの低い派遣労働者に置き換えてしまいます。
派遣労働という形態を認めるとしても、派遣会社に期間の定めのない労働契約を締結し、しかも、許される派遣業務は専門的業務に制限されるべきです。
企業が労働者を使用して事業を行う場合には、直接雇用を原則とする労働法ルールを徹底させるべきでしょう。
■派遣法を規制すると失業が増えるという俗説
これに対して、相変わらず、派遣労働を規制強化すると、「①派遣労働者に失業を増加させ、就労機会を減少させる。②国際競争力を低下させる。③派遣を禁止しても有期雇用にシフトしてしまい不安定雇用や賃金格差を解決しない」と反対意見が叫ばれています。
しかし、失業が増加するかどうかは、派遣禁止の結果ではなく、いうまでもなく経済的パフォーマンスの問題です。派遣労働が禁止されていた時代でも、景気がよければ失業率は低かったのです。派遣規制強化は、失業率増加に関係がありません。国際競争力云々は、まったく裏付けのない話です。国際競争力を高めたいのなら、もっと技術開発などほかにやるべきことがあるでしょうに。
③の「派遣を規制したら企業は有期雇用にシフトする」という点はそのとおりでしょう。でも、派遣労働よりも直接有期雇用のほうがまだましなのです。そして、不安定雇用と賃金格差を是正するためには、有期労働契約の規制で解決すべきです。
派遣の再規制の後は、有期雇用の再規制が課題です(有期を合理的な理由にある場合に限定する)。今後、有期雇用の再規制をはかるためにも、派遣という企業の逃げ道をふさいでおくのです。
これに対して、「この不景気の時代に、派遣を規制し、有期を規制して、経済がもたない。」という反論が出てくるでしょうね。しかし、公正な労働ルールのもとで経済活動を行う基本こそ確立すべきでしょう。そのための資金は、社会全体で公正に配分されるべきでしょう。この間の株主や企業が巨大な富を蓄積をしてきたのですから、これからはバランスをとり戻す時期でしょう。
■経済がよくない時代の労働法ルール
日本経済の退潮は今後も続くことでしょう。
祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらはす。
パイが小さくなればなるほど、まともな社会の維持していくためには、公正な労働法ルールこそ求められると思います。それができない場合には、悲惨な暗い社会がまちうけていることでしょう。新自由主義で突っ走ってきたこの国の20年がそれを証明していると思います。
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