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2009年12月21日 (月)

労働者派遣法についての労政審部会の公益委員案についての緊急声明/労働弁護団

12月18日、労働者派遣法について審議をしている労政審労働力需給制度部会に、公益委員案骨子が提出されました。

各紙では、登録型派遣労働者、製造業派遣を原則禁止と報道されています。

○労働者派遣制度の改正を議論する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の労
働力需給制度部会が18日開かれ、公益委員が報告書の原案を提示。焦点の製造業
派遣は、長期の雇用契約を結び、雇用が安定している「常用型」に限って認め、仕
事がある時だけ雇用契約を結ぶ「登録型」は3年以内に禁止することを盛り込んだ
と報じる共同通信配信記事。

http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121801000350.html

日本労働弁護団は次のように緊急声明を出しました。いろいろ注文をつけたいところですが、3点に絞って指摘をしました。12月22日、25日、28日と部会が予定されています。是非、部会審議で十分に審議してほしいものです。

   労政審労働力需給制度部会の12月18日付
          「公益委員案骨子」に対する緊急声明

                                                          2009年12月21日
                                                              日本労働弁護団  
                                                              幹事長  水口洋介
                                                                               
1 2009年12月18日に開催された第140回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会において、公益委員から「部会報告に向けての公益委員案骨子」(以下、「骨子」という。)が提案された。これによれば、2008年11月に提出した法案(20年法案)の内容に追加・変更すべき点として8項目があげられている。
  ところで、今年8月の総選挙を経て成立した民主・社民・国民新党の3党連立政権は「雇用対策の強化」を重点課題とし、その一環として、『登録型派遣』の原則禁止、製造業派遣の原則禁止、違法派遣の場合の『直接雇用みなし制度』の創設、マージン率の情報公開など派遣法の規制を強化し、『派遣業法』から『派遣労働者保護法』に改めることを内容とする「労働者派遣法の抜本改正」を政策合意として確認している。
   このような政策合意がなされた理由は、わが国の労働者派遣法がもたらした不安定雇用と劣悪な労働条件という問題が、製造業で働く派遣労働者に最も激しく現れたためである。その最たる例がスポット派遣・日雇い派遣であり、昨年秋から猛威を振るった派遣切りであった。
   本来、雇用は、直接・無期限であることが原則であり、間接雇用・有期雇用は、それを客観的に必要とし、かつ合理的にする特段の事情がある場合に限り許されるものでなければならない。製造業派遣において現れた深刻な派遣切りなどの問題は、直接雇用、無期限雇用という2つの原則を踏みにじった結果である。派遣法抜本改正にあたっては、この点に十分留意し、派遣労働の規制が実効的なものとなるとしなければならない。

2 日本労働弁護団は、派遣労働者保護の観点にたった労働者派遣法の抜本的改正を実現するため、骨子が提案するうち、ここでは以下の3点に絞って当弁護団の見解を緊急に発表し、同部会に十分な審議を求めるものである。

(1) 登録型派遣の原則禁止について

   骨子は、常用雇用以外の労働者派遣を禁止するとしつつ、禁止の例外として、「①専門26業務、②産前産後休業・育児休業・介護休業取得者の代替要員派遣、③高齢者派遣、④紹介予定派遣」をあげる。登録型派遣の原則禁止を打ち出したことは評価できるが、従来の専門26業務を禁止の例外として漫然とあげる点は不十分と言わなければならない。専門26業務は、現在においてはもはや専門職とは言えない職務も含まれている。特に、派遣労働者が就業している業務の多数を占めるファイリングや電子機器操作等については、労働者の圧倒的多数が女性であり、女性の登録型派遣労働者化に繋がっている。そこで、禁止の例外として専門業務について、あらためて全面的に見直し、専門業務の範囲を厳しく限定すべきである。
 
(2) 製造業務派遣の原則禁止について

   骨子は、「製造業務への労働者派遣を禁止」を打ち出しているが、「常用雇用の労働者派遣」を禁止の例外とした。この「常用雇用」に関しては、厚生労働省が作成した「労働者派遣事業関係業務取扱要領」では、「①期間の定めなく雇用されている者」だけでなく、「②一定の期間(例えば、2か月、6か月等)を定めて雇用されている者であって、その雇用期間が反復継続されて事実上①と同等と認められる者、すなわち、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者」も含むとされている。骨子の言う「常用雇用」の定義が、上記業務取扱要領と同じであれば、3ヶ月や6ヶ月という極めて短い雇用期間の派遣労働者も「常用雇用」とされ、製造業務に派遣されることになってしまう。これでは製造業務派遣労働者の雇用安定は絵に描いた餅にすぎなくなり、「製造業派遣の原則禁止」が「看板に偽りあり」ということになりかねない。したがって、この製造業務派遣の「常用雇用」とは、上記取扱要領とは異なり、長期的な雇用を前提とするものでなければならない。部会報告には、常用雇用は長期雇用であることを明記すべきである。

(3) 違法派遣の場合における「直接雇用申込み」の「みなし規定」について

   骨子は、「違法派遣の場合における直接雇用の促進」策として、「違法派遣の場合に、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす規定を設ける」ことを提案している。この違法派遣とは、「①禁止業務への派遣受入れ、②無許可・無届の派遣元からの派遣受入れ、③期間制限を超えての派遣受入れ、④いわゆる偽装派遣の場合、⑤常時雇用する労働者でない者を派遣労働者として受入れ」の場合であるとしている。そして、違法派遣により「みなされた労働契約の申込みを派遣労働者が受諾したにもかかわらず、当該派遣労働者を就労させない派遣先に対する行政の勧告制度を設ける」とする。
   上記の「労働契約の申込みのみなし規定」の実効性を確保するためには、行政の勧告制度を設けるだけでは十分ではなく、「みなし規定」は民事的効力を有するものとされなければならない。しかし、民事的効力の有無については骨子では明記されていない。ただ、部会での説明の中では、民事的効力があることが当然の前提とされていた。だとすれば、解釈上の争いを生まないためにも、「派遣労働者の保護」という法の趣旨目的に沿って、民事的効力を有することが明記されるべきである。
   また、「直接雇用」がみなされる場合の雇用期間について、前述したとおり、長期雇用であることが前提とされるべきである。

3 日本労働弁護団は、2008年11月総会において、「実効性ある派遣労働者保護を実現できる労働者派遣法改正を求める決議」を採択した。また、2009年10月には「労働者派遣法規制強化反対論に対する意見」を明らかにしてきた。上記骨子を受けて、私たちは、部会に対して、あらためて実効性ある製造業派遣禁止と派遣労働者保護の観点に立った労働者派遣法の抜本改正を求めるものである。
                                                                            以上

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