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2009年12月22日 (火)

防大出身 阿久根市長さん 【好鉄不打釘,好人不当兵】

■障害者に関連しての阿久根市長の講演

「要は、社会をつくるということは、命の部分にふみこまないと駄目。表現としてきびしいが刈り込む作業しないと全体が死ぬ。壊死(えし)した足は切り取らないと。」

http://www.asahi.com/national/update/1221/SEB200912210037_01.html

講演会は福岡市の経営情報誌主催で、企業経営者ら約30人が出席。「刈り取り発言」は、「NICU(新生児集中治療室)」のドキュメンタリー番組の内容に触れた後に飛び出した。社会づくりを「木」にたとえて「枝が腐ってきたら、切り落とさないといけない」とも語り、差別的記述問題については謝罪する意思がないことを改めて強調した。

http://mainichi.jp/seibu/news/20091222sog00m040002000c.html

■阿久根市長

竹原信一氏(1959年生まれ)の経歴

「1977年に、防衛大学へ進学、1983年卒業(第27期)。航空自衛隊に幹部候補生として入隊。1988年に退官。」

私と同い年です。私の高校の同級生にも、防大や防衛医科大に進学した者がいました。結構、「普通」でしたけどね。入学した後は知りませんが。

■好鉄不打釘,好人不当兵

一言、感想を言えば「良鉄釘にならず、良人兵にならず」です。

中国の諺はやはり正しかったのですね。そういえば、田母神さんという方もいました。

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■蛇足

「武士道」から遠く離れた人物ですね。権力を振り回すのがうれしいという心境なのでしょうか。こういう人物が日本のある地域では人気があるということなのですね。

西郷ドンなら「弱い者いじめは、武人の風上にもおけんでごわす。」と諫めるのではないでしょうか。

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2009年12月21日 (月)

労働者派遣法についての労政審部会の公益委員案についての緊急声明/労働弁護団

12月18日、労働者派遣法について審議をしている労政審労働力需給制度部会に、公益委員案骨子が提出されました。

各紙では、登録型派遣労働者、製造業派遣を原則禁止と報道されています。

○労働者派遣制度の改正を議論する労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の労
働力需給制度部会が18日開かれ、公益委員が報告書の原案を提示。焦点の製造業
派遣は、長期の雇用契約を結び、雇用が安定している「常用型」に限って認め、仕
事がある時だけ雇用契約を結ぶ「登録型」は3年以内に禁止することを盛り込んだ
と報じる共同通信配信記事。

http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121801000350.html

日本労働弁護団は次のように緊急声明を出しました。いろいろ注文をつけたいところですが、3点に絞って指摘をしました。12月22日、25日、28日と部会が予定されています。是非、部会審議で十分に審議してほしいものです。

   労政審労働力需給制度部会の12月18日付
          「公益委員案骨子」に対する緊急声明

                                                          2009年12月21日
                                                              日本労働弁護団  
                                                              幹事長  水口洋介
                                                                               
1 2009年12月18日に開催された第140回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会において、公益委員から「部会報告に向けての公益委員案骨子」(以下、「骨子」という。)が提案された。これによれば、2008年11月に提出した法案(20年法案)の内容に追加・変更すべき点として8項目があげられている。
  ところで、今年8月の総選挙を経て成立した民主・社民・国民新党の3党連立政権は「雇用対策の強化」を重点課題とし、その一環として、『登録型派遣』の原則禁止、製造業派遣の原則禁止、違法派遣の場合の『直接雇用みなし制度』の創設、マージン率の情報公開など派遣法の規制を強化し、『派遣業法』から『派遣労働者保護法』に改めることを内容とする「労働者派遣法の抜本改正」を政策合意として確認している。
   このような政策合意がなされた理由は、わが国の労働者派遣法がもたらした不安定雇用と劣悪な労働条件という問題が、製造業で働く派遣労働者に最も激しく現れたためである。その最たる例がスポット派遣・日雇い派遣であり、昨年秋から猛威を振るった派遣切りであった。
   本来、雇用は、直接・無期限であることが原則であり、間接雇用・有期雇用は、それを客観的に必要とし、かつ合理的にする特段の事情がある場合に限り許されるものでなければならない。製造業派遣において現れた深刻な派遣切りなどの問題は、直接雇用、無期限雇用という2つの原則を踏みにじった結果である。派遣法抜本改正にあたっては、この点に十分留意し、派遣労働の規制が実効的なものとなるとしなければならない。

2 日本労働弁護団は、派遣労働者保護の観点にたった労働者派遣法の抜本的改正を実現するため、骨子が提案するうち、ここでは以下の3点に絞って当弁護団の見解を緊急に発表し、同部会に十分な審議を求めるものである。

(1) 登録型派遣の原則禁止について

   骨子は、常用雇用以外の労働者派遣を禁止するとしつつ、禁止の例外として、「①専門26業務、②産前産後休業・育児休業・介護休業取得者の代替要員派遣、③高齢者派遣、④紹介予定派遣」をあげる。登録型派遣の原則禁止を打ち出したことは評価できるが、従来の専門26業務を禁止の例外として漫然とあげる点は不十分と言わなければならない。専門26業務は、現在においてはもはや専門職とは言えない職務も含まれている。特に、派遣労働者が就業している業務の多数を占めるファイリングや電子機器操作等については、労働者の圧倒的多数が女性であり、女性の登録型派遣労働者化に繋がっている。そこで、禁止の例外として専門業務について、あらためて全面的に見直し、専門業務の範囲を厳しく限定すべきである。
 
(2) 製造業務派遣の原則禁止について

   骨子は、「製造業務への労働者派遣を禁止」を打ち出しているが、「常用雇用の労働者派遣」を禁止の例外とした。この「常用雇用」に関しては、厚生労働省が作成した「労働者派遣事業関係業務取扱要領」では、「①期間の定めなく雇用されている者」だけでなく、「②一定の期間(例えば、2か月、6か月等)を定めて雇用されている者であって、その雇用期間が反復継続されて事実上①と同等と認められる者、すなわち、過去1年を超える期間について引き続き雇用されている者又は採用の時から1年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者」も含むとされている。骨子の言う「常用雇用」の定義が、上記業務取扱要領と同じであれば、3ヶ月や6ヶ月という極めて短い雇用期間の派遣労働者も「常用雇用」とされ、製造業務に派遣されることになってしまう。これでは製造業務派遣労働者の雇用安定は絵に描いた餅にすぎなくなり、「製造業派遣の原則禁止」が「看板に偽りあり」ということになりかねない。したがって、この製造業務派遣の「常用雇用」とは、上記取扱要領とは異なり、長期的な雇用を前提とするものでなければならない。部会報告には、常用雇用は長期雇用であることを明記すべきである。

(3) 違法派遣の場合における「直接雇用申込み」の「みなし規定」について

   骨子は、「違法派遣の場合における直接雇用の促進」策として、「違法派遣の場合に、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなす規定を設ける」ことを提案している。この違法派遣とは、「①禁止業務への派遣受入れ、②無許可・無届の派遣元からの派遣受入れ、③期間制限を超えての派遣受入れ、④いわゆる偽装派遣の場合、⑤常時雇用する労働者でない者を派遣労働者として受入れ」の場合であるとしている。そして、違法派遣により「みなされた労働契約の申込みを派遣労働者が受諾したにもかかわらず、当該派遣労働者を就労させない派遣先に対する行政の勧告制度を設ける」とする。
   上記の「労働契約の申込みのみなし規定」の実効性を確保するためには、行政の勧告制度を設けるだけでは十分ではなく、「みなし規定」は民事的効力を有するものとされなければならない。しかし、民事的効力の有無については骨子では明記されていない。ただ、部会での説明の中では、民事的効力があることが当然の前提とされていた。だとすれば、解釈上の争いを生まないためにも、「派遣労働者の保護」という法の趣旨目的に沿って、民事的効力を有することが明記されるべきである。
   また、「直接雇用」がみなされる場合の雇用期間について、前述したとおり、長期雇用であることが前提とされるべきである。

3 日本労働弁護団は、2008年11月総会において、「実効性ある派遣労働者保護を実現できる労働者派遣法改正を求める決議」を採択した。また、2009年10月には「労働者派遣法規制強化反対論に対する意見」を明らかにしてきた。上記骨子を受けて、私たちは、部会に対して、あらためて実効性ある製造業派遣禁止と派遣労働者保護の観点に立った労働者派遣法の抜本改正を求めるものである。
                                                                            以上

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2009年12月20日 (日)

松下PDP事件最高裁判決を読んで

松下PDP偽装請負事件について、2009年12月18日、最高裁は労働者敗訴の判決を言い渡しました。

最高裁HPではもう判決文が見られます。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=38281&hanreiKbn=01

原審の大阪高裁は、偽装請負として派遣されていた労働者と、派遣先企業(松下PDP・現パナソニックPDPが企業)と労働者との黙示の労働契約関係を認めていました。しかし、最高裁は、請負契約は違法は労働者派遣契約であると認定しながら、派遣先と派遣労働者との間に黙示の労働契約関係は成立しないとしたのです。

この法律論については議論百出でしょう。私には、専門的な判例評釈をする力量はありません。そこで、感想だけ述べておきたいと思います。

■派遣先と派遣労働者の黙示の雇用契約を一切否定したものではない

最高裁も、違法派遣の場合、派遣先との労働契約の成立を一切否定したわけではありません。最高裁は、少なくとも、派遣先が派遣労働者の採用に関与(採用面接での派遣先従業員の立会)していたり、給与額を派遣先が事実上決定したいたという事情が存在したり、あるいは、派遣先と派遣元との間に資本関係や人事関係があるとか、専ら派遣だとかという事情がある場合には、(派遣元と派遣労働者の間の雇用契約が無効にならなくとも?)、派遣先と労働者との間の雇用契約関係が黙示的に成立すると言っているようです。

最高裁の上記「要件」は狭すぎると思います。全国各地でたたかわれている派遣労働者の地位確認の裁判でよって、是非、最高裁を克服して欲しいと思います。

■全体として見て「正義」に反するじゃないか。

最高裁でさえ、本件について次のような事実があったことを確認し、しかも松下PDPに対して損害賠償支払いを認容認めているにもかかわらず、労働者の地位確認を認めなかったということです。まさに「木を見て森を見ず」、「全体として不正義」、「合理的な愚か者」というか・・・

①松下PDPは、違法な派遣労働者を受け入れていたこと(いわゆる偽装請負)を認めたこと。
②松下PDPは、派遣法違反の申告(内部告発)をした労働者を敢えて有期の労働契約を締結したと認定していること。
③有期労働契約は更新を予定しない短期のもので、しかも、労働局申告(内部告発)したことの報復として、リペア作業という過酷な作業を担当させ、更新を予定しない有期契約を締結して雇止めをしと認めていること。

今井功裁判官は、この点を次のように的確に整理しています。

「上告人は、被上告人が、大阪労働局に偽装請負であるとの申告をしたことに対する報復として、被上告人を直接援用することを認める代わりに、業務上必要のないリペア作業を他の従業員とは隔離した状態で行わせる旨の雇用契約を締結したと見るのが相当である。」

ところが、この今井裁判官も、「大阪労働局への申告に対する不利益取扱いとして、不法行為を構成する」とするにとどまるというのです。その理屈は、有期契約は更新を予定されていない契約だという形式論だけなのです。

松下PDPとしては、たかが90万円程度の金を払って、会社の施策に楯突いた青年労働者を企業から放逐できたのですから、誠に万々歳でしょうね。企業は派遣法規制を脱法しようとしていたわけです。このような悪巧みを最高裁は、金を払えば人は放逐しても仕方がないと容認したというわけです。

しかし、司法に携わる裁判官が、上記の不条理な事態(労働者の地位を向上しようと内部告発をした労働者を、あえて過酷な作業に従事させ、有期雇用を締結して、最後は端金を払って切り捨てるという日本企業の十八番芸)を容認すべきなのでしょうか。
 これは法律解釈の問題ではなく、司法の使命を、裁判官がどう考えるのかという裁判官の哲学の問題です。

最高裁判決を見れば、形式的な契約論に拘泥して、全体として不正義を容認した判決だと思います。まさに、官僚司法裁判のお手本のようです。

裁判所に期待できないとなると、やはり派遣法に違法派遣の直接雇用みなし制度を立法化する必要性が高まったということになります。

戦後直後の下級審裁判官たちは、民法で解雇自由とされてきた中でも、労働者の訴えを受け止めて、解雇権濫用法理を確立しました。そして、今や、この解雇権濫用判例は、労働契約法16条として立法化されました。今の最高裁判事や裁判官連中には、そのような気概も時代感覚もないのでしょうか。
 
我が国の最高裁判所裁判官は、もはや「保守の牙城」になったというべきです。長年、自民党と蜜月であった司法官僚が事実上、任命してきた者たちですから。

民主党政権に、司法官僚、行政官僚や保守的な企業法務弁護士も排除して、社会の実態を踏まえた新しい判断ができる最高裁判事を任命してもらいたいものです。

【追記】

日本労働弁護団が最高裁判決についての声明を出しました。

「PPDPsaikouhanketu091218.pdf」をダウンロード

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2009年12月13日 (日)

読書日記 「なぜ若者は保守化するのか」 山田昌弘著

2009年12月3日発行
2009年12月13日読了

■それをいっちゃあ おしめいよ。おいちゃん。

「パラサイトシングル」、「希望格差」、「婚活」など現代社会の実相を一言で、あらわすキイワードをつくってきた山田昌弘教授のエッセイです。

保守化する日本の若者。既存の社会を批判し、自由で自律的な生き方を主張し行動するのが若者。終身雇用制を社畜と批判し、女性の自立、男女平等を主張するのがいつの世も若者の特権・・・のはずが、今時の若者は逆保守化している。

著者によれば、若い女性は高収入で安定した正社員男性と結婚して専業主婦になるのを望んでいる。伝統的性別役割賛成率が20代女性の40%に達している。女性の自立やフェミニズムを実践して専門職のキャリアを追求するのは、高学歴の女性の中の極少数の者でしかない。若い男性も、公務員や大企業の正社員に新卒で就職することを一番に望んでおり、転職や起業などは望んでいない、とのことです。

この傾向は世論調査などで明確です。確かに、個人的な実感と一致します。でも、それをいっちゃあお終い・・・・夢も希望もない(というのが現実か)。

■少子化論議のタブー

著者は、少子化は、若い女性の未婚が原因であるとします。

彼女たちは、なぜ結婚しないのか。理由は単純で、彼女たちに豊かな生活を保証できる未婚男性が少なくなっているからである。

このことは、私は10年以上言い続けているが、大きく取り上げられることはなかった。こんなことを言ったらクビが跳ぶと、ある官僚に言われたこともある。多くの人は薄々知っているが、公に言ってはならないタブーなのだろう。

ということで、少子化対策には、保育所を増やすことも重要(それは結婚した人への援助)だが、もっと重要なのは非正規社員でもフリーターでも安心して結婚できる社会をつくるしかないと言います。そのとおりでしょうね。

■フランスの調査団との懇談話し

著者は、フランスの経営大学院の日本視察団と、日仏の労働状況について次のように懇談したそうだ。

彼らは日本の最低賃金を聞いて驚き、また、200万人を超すフリーター数を聞いて驚く、そんな賃金ではまともな暮らしができないではないか、どうして日本の低収入の若者はデモや暴動を起こさないんだと質問してきた。私が日本の若者は学卒後も親と同居して生活を支えてもらっているから低収入でも暮らしていけるというと、「日本の経営者がうらやましい。母国語を話せて文句も言わない若者がそんなに低賃金で雇えるんだ」と言っていた。

確かに外国人の経営者から見れば、うらやましいことでしょうな。

■「意識は存在が規定する」

労働者と活発なインテリが結び付いた「革命」の20世紀の時代は遠く過ぎ去り、今や、資本主義を前提として、格差をなくすの手段として、福祉国家理念(社会民主主義)なのか、自由市場経済理念(新自由主義)なのかが問われている時代です。

若者の保守化は、現実に自己を適応させるためのやむを得ない防衛策なのでしょうね。

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