W3 (ワンダースリー) 手塚治虫著
最近は、堅い労働関係の話しが多くなっています。
本屋をのぞいたところ、手塚治虫漫画文庫全集というのが平積みになっていました。懐かしいW3(ワンダースリー)がありました。今日は、仕事で夜遅く帰ってから家で呑みながら久々に読みました。そこで、手塚治虫の「W3」の話しを書きます。
■ワンダースリー
スパイ活劇漫画とSF漫画がごったになって、正義感だけが強いはちゃめちゃな男の子「星真一」が登場し、いかにも昭和の女の子の「カノコ」がいて、「坊ちゃん」風の青春物語が展開されるストーリーです。娘達に読ませたいと思って購入しました。
40年前に、たしか私は雑誌連載で読んでいます。今でも漫画のセリフと絵を覚えています。だから、漫画のイメージの威力って凄いと思います。
野蛮な人類を滅ぼすべきかどうか、宇宙人(銀河連盟)から派遣されて地球調査に来たワンダースリー。彼女・彼らが星真一と出会って1年をすごす。最終的に、反陽子爆弾で地球爆破の命令を受けたワンダースリーだが、ワンダースリーは命令に背いて地球を救う。しかし、命令違反で流刑に処せられる。
他方で、地球は、反陽子爆弾が地球に残っているという恐怖の下、銀連盟に滅ぼされないように戦争をやめて世界連邦ができるということになる。まさに、アーサー.C・クラークの「幼年期」です。
流刑に処せられた、ワンダースリーは、流刑地として地球を選択して、人間に変身して地球におりたつ。光速の何倍というスピードでもどったのでタイムスリップして過去にさかのぼり、3匹の宇宙人は人間の姿で真一と出会う。このタイムパラドクスは、素晴らしい「おち」です。へそのない3人というつながりです。
ボッコ隊長が「カノコ」になり星真一を励まし、ノッコ技師が「馬場先生」になり星真一を教育し、プッコ中尉が「発明家」になり星真一を助ける。
■カノコ 漫画のヒロイン
なかでも、戦後民主主義の理想の女性を体現する「カノコ」が素敵です(私がオジサンだからそう思うのでしょうが)。
女性らしく、同時に勝ち気で、芯が強く、しかも、心優しく、言葉遣いが端正な女性です。孤独な真一に折り鶴のプレゼントをするシーンなど印象に残る場面が数多くあります。
漫画家のヒロインの描き方は、その作者の人間観、女性観をあらわしているのかもしれません。
手塚治虫のヒロイン(ウラン、サファイア、ピノコ、どろろ、奇子)、宮崎駿のヒロイン(ナウシカ、シータ、ラナ、クラリス)、ちばてつやのヒロイン(オチャラ)、石森章太郎のヒロイン(003)を比較すると共通性がありそうです。
現在の漫画のヒロインはちがっていることでしょうね。私は娘達が10年以上前に夢中になっていたセーラームーンしかしりませんが。
この漫画ヒロイン像を比較をすると面白いかもしれません。
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