« 読書日記「最高裁判所は変わったか」滝井繁雄著 岩波書店 | トップページ | 民法(債権法)改正と労働法(その4) »

2009年10月13日 (火)

「東アジア共同体」に思う

鳩山首相が、中国で開催された日中韓の首脳会談で、東アジア共同体を提唱したとの報道がありました。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20091010AT3S1000U10102009.html

日経新聞  2009年10月10日
東アジア共同体「長期目標」 日中韓首脳合意、経済連携を強化
【北京=藤田哲哉】鳩山由紀夫首相、中国の温家宝首相、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は10日午前、北京市内の人民大会堂で日中韓首脳会談を開いた。3首脳は金融危機の打撃を受けた世界経済の回復に向け、3カ国が連携を強めていく方針を確認。北朝鮮の核問題では、北朝鮮に6カ国協議への早期復帰を促すことで一致した。鳩山首相は東アジア共同体構想を提起、3カ国は長期的な目標として検討することで合意した。

もう10年前でしょうか、森島通夫教授の東アジア共同体を提唱した本を読んだことを思い出しました。日本の没落は必至だ、しかし、抜け出せるとしたら東アジア共同体をつくる道しかないという内容だったと思います(うろ覚え)。

Morishimanihon

森嶋教授曰く、日本の経済成長は、成熟段階を迎えた以上、もはや一国での成長はむり。経済発展には大きなエンジンが必要である。そのエンジンとは経済のグランドデザインを描くことであり、政治的エンジンなければ経済発展はない。これは日本の政治家の使命であると書いてあった(うろ覚え)。

で、森嶋教授は、「漢字文化圏の日中韓の東北アジア共同体が核になる。EUが、当初はヨーロッパ石炭共同体から出発したように、政治体制が異なるアジアでは、経済協力からはじめるべきだ」として、その出発点を「アジア高速鉄道共同体」を創設するようにと提言していました。

東アジアの「高速鉄道共同体」を創設して、日本の新幹線技術を基盤にして中国内陸部と沿岸部を鉄道で結び、そこから日本、台湾、韓国というネットワークをつなげて、アジア規模で経済発展を行うというものでした。

しかも、国家の単位ではない経済単位をつくる必要があるとして、日本を東日本と西日本地域経済に分割、朝鮮半島は南の韓国と北の共和国を地域経済単位とする。そして、中国も、台湾を含めて4つの地域経済に分ける。そして、この東アジア経済共同体の中枢・首都を、「琉球」におく。沖縄を日本から独立させて「琉球国」とするというものでした。各経済単位に一票をもたせ、中国だけに決定権を持たせないというものです。

壮大で小気味よい構想です。

ちなみに、東京は、日本中央政府とする。そして、アメリカも一枚かませて安心させるという配慮をするという内容だったと思います。

日本の最大の貿易相手国は既に中国です。好もうと好まざるをと問わず、歴史の大きな流れは、東アジア共同体の方向に流れていくことでしょう。

|

« 読書日記「最高裁判所は変わったか」滝井繁雄著 岩波書店 | トップページ | 民法(債権法)改正と労働法(その4) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「東アジア共同体」に思う:

« 読書日記「最高裁判所は変わったか」滝井繁雄著 岩波書店 | トップページ | 民法(債権法)改正と労働法(その4) »