リゾートソリューション アスベスト訴訟 9.14勝訴判決 高松地裁
■高松地裁のアスベスト訴訟 勝訴
リゾートソリューション(旧日本エタニットパイプ)の高松工場で働いていた元労働者29名と労働者の妻4名が、アスベスト被害にあったとして会社を訴えた裁判で元労働者25名の勝訴判決が出されました。
昭和33年から、アスベスト(石綿)の危険性は予見できたとして、会社に元労働者に対する安全配慮義務違反を認めました。石綿肺の重傷度(管理区分)に応じて1000万円から2500万円までの損害賠償を命じました。
しかし、昭和33年以前に退職していた労働者4名については請求棄却です。ただ、2名の時効対象者については、会社の時効援用を権利濫用として退けました。
また、4名の労働者の妻が、夫のアスベスト(石綿)粉じんにまみれた作業着を洗濯したことによってアスベスト疾患に罹患したという点は、工場からのアスベスト粉じんによる被害である可能性は否定しきれないが、証拠上は明白でないこと、また、近隣曝露や作業着の洗濯などの間接曝露によって家族に被害がでると予見できる時期は昭和50年だとして、安全配慮義務ないし不法行為責任(民法709条)、工作物責任(民法717条)を否定しました。
不服の点はありますが、集団訴訟で、裁判上の最高水準の損害賠償金額、時効についての権利濫用を認めた点など、画期的な勝訴判決です。
判決要旨
「etapaihanketu090914.pdf」をダウンロード
声明
■会社の責任を断罪と全面解決
29名の原告のうち半数は遺族原告であり、提訴後に患者生存原告のうち4名が死亡されており、生存原告は現在12名となってしまっています。命あるうちの早期の解決をする責任が企業にはあると思います。
命あるうちの早期解決を求めて、判決を契機にして、原告団は全面解決をもとめて要請行動や交渉を続けているところです。一日も早い解決を目指しています。
■ちなみに予見可能性の時期
高松地裁判決は、企業の石綿粉じんの危険性の予見可能性を昭和33年としました。その根拠は当時の労働省が「職業病予防のための労働環境の改善等の促進について」「労働環境における職業病予防に関する技術指針」(昭和33年5月26日付基発338号)を発していたことを根拠にしています。
他方で、戦前からの国の石綿粉じんの危険性を調査した結果は重要としながら、これが公刊されていないことから、企業の予見可能性の証拠としてはできないとしています。他方では、国の予見可能性については、昭和33年より遡ることを示唆していることになります。
国家賠償請求訴訟では、国の予見可能性はもっと早くからということになります。古い時代の国家賠償請求を求めている泉南アスベスト国家賠償請求について、大阪地裁はどう判断するか、注目されます。
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