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2009年7月 3日 (金)

制度改革訴訟について

■法律時報81巻8号(2009年7月号)

「制度改革訴訟と弁護士の役割」が特集されています。トンネルじん肺根絶訴訟も弁護団の須納瀬学弁護士が報告しています。

http://www.nippyo.co.jp/magazine/maga_houjiho.html

なお、制度改革訴訟については、以前、政策形成訴訟として取り上げたことがあります。

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/12/post_f6ee.html

■制度改革訴訟

早稲田大学の淡路剛久教授が社会運動という視点から次の論文で整理されています。

「被害者救済から権利拡大へ」
 - 弁護士による社会運動としての「制度改革訴訟」」

弁護士は、基本的には訴訟活動を中核とし、一方で、世論の支持を背景に、立証活動を通じて勝訴判決を勝ち取る努力をするとともに、他方で、メディアを通じた世論形成、政治家へのロビーイング、立法提案などにより、被害者救済の普遍化、すなわり権利化をはかり、さらに被害の再発防止の仕組みをつくろうとする。これらは訴訟活動であるとともに、「法運動」ないし「社会運動」である。

■制度改革訴訟の歴史

淡路教授は、歴史的に3期に分けて振り返っています。

第1期は、「1960、70年代に展開された四大公害訴訟などの公害訴訟、あるいはスモン訴訟などの薬害訴訟は、被害者の被害を権利として救済することを目指した訴訟・運動」であったとします。(ちなみに、四大公害訴訟とは、熊本水俣病訴訟、新潟水俣病訴訟裁、イタイタイ病訴訟、四日市ぜんそく訴訟です。)

第2期は、「1970、80年代を中心に展開された「新しい権利」訴訟・運動は、環境権、嫌煙権、静穏権、入り浜権、納税者権、そして各種の人格権などの「新しい権利」の生成と確立を目指す訴訟と運動であった」とします。

そして、第3期として、現在があるという整理です。特に、第3期の特徴として、個別の被害から出発して、その権利を実現して制度改革につなげる指向が強くなっていると指摘されています。

第1期の公害訴訟や薬害訴訟のたたかいは、私が弁護士にあこがれた主要な理由でした。大学でも、これらを学ぶための自主的な勉強会が複数あり、弁護士や当事者の話しを聞きに行くという企画もけっこうありました。

■労働訴訟への活用

なお、この制度改革訴訟の取り組みを労働訴訟でも活用すべきです。労働訴訟は、集団的訴訟も、どうしても単産とか、ナショナルセンター別のものになってしまいます。

もっと、争点別の訴訟を幅広く取り組んで社会的にアピールするということに力を入れることも必要です。現在は、メーリングリストやインターネットで、全国的な情報交換が可能です。

同じ争点をもつ事件ごとの情報交換も、全国的な弁護団組織(労弁とか、自由法曹団)のメーリングリストで容易になっています。これらの情報交換や弁護団組織の討議によって、同一争点の訴訟を一斉提訴するなどで工夫すれば、大きな取り組みになると思います。

現に、違法派遣に関する訴訟や、名ばかり管理職などの訴訟で既に実践されつつあります。

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