人間らしい労働と生活を目指す日弁連決議に反対する裁判員裁判反対派の面々-「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」
■5月29日日弁連第60回総会での出来事
日弁連は今年、60周年を迎えるので、司法改革について決議をあげました。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/ga_res/2009_1.html
裁判員裁判に反対派(高山俊吉先生とお仲間たち)は、この決議には絶対反対です。少人数ですが、結構、大きな声と汚いヤジをとばしますので、総会騒然という感じですね。まあ、反対派が自由に発言するのは弁護士会が健全な証ですけど。
■もう一つの決議にも反対
驚いたいたのは、もう一つの決議にも反対したことです。
もう一つの決議とは、「人間らしい労働と生活を保障するセーフティネットの構築を目指す宣言」というものです。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/ga_res/2009_2.html
この決議は、要するに現状を踏まえて次の3点について、今後、弁護士会の重要な課題とすることを宣言するものです。
①労働、社会保障、教育などの社会政策をについて積極的に提言すること
②労働と生活の問題の総合的な相談窓口を弁護士会が設置し、行政・自治体連携すること
③民事法律扶助制度の抜本的改革を目指すこと
■裁判員反対派はこの決議にも反対
裁判員裁判反対派の方々は、上記決議にも反対意見を述べて、討議打ち切り動議に対しても野次と罵声をあびせていました。
裁判員裁判反対派の方々にとっては、この日弁連決議の内容は、新自由主義と小泉・竹中流の構造改革派に対する厳しい批判をすることなく、単にセーフティネットでごまかそうとしているものなのだそうです(シャミンの偽善者ってわけですな!)。欺瞞に満ちた内容なので反対するのだそうです。
裁判員裁判反対派の弁護士は、次のような、立派な革命的気概に満ちあふれた炎のごとき反対意見を述べられダラ幹たちを批判されておいででした。
この先生曰く、
資本主義300年の歴史の中で、最大の危機を迎え、まさに今、資本主義が崩壊しようとしてる。ル・モンドでさえ、革命を礼賛している時代なのに、そのような認識をまったく持っていない日弁連の決議はごまかしでしかないのだ。
このル・モンドの記事ってこれですね。
「革命を讃える」
セルジュ・アリミ(Serge Halimi)
ル・モンド・ディプロマティーク編集総長
http://www.diplo.jp/articles09/0905.html
弁護士会って、弁護士全員が加盟しなければならない強制加入団体である公的団体です。ですから、特定の政治的・社会的価値観に立て!というのは、もともと無理があります。任意団体である自由法曹団とか、青年法律家協会とはちがうのですから。任意団体であれば、仲間内の好きな理念や価値観を自由勝手に言っていれば良いのでしょうが。
仮に、心底に革命を目指したいなら、「なんとか実現党」でもつくって自由に弁護士会の外で政治活動でもされれば良いのにねえ。弁護士会に、自分の特定の政治的価値観を押しつけて、それに賛成してもらえないから反対するって、何だか、おかどちがいというか、大人げないように思います。
大声をあげて、この決議に反対する裁判員裁判反対派の言動を見ながら、全国にたくさんいる裁判員裁判を反対する弁護士、自由法曹団や青法協の中にいる強硬な裁判員裁判反対派の弁護士さんたちが全部が全部、まさか、彼ら・彼女らと一緒の考えじゃないとは思うのですけど・・・・きっと。
裁判員裁判に賛成する日弁連執行部の言うことは何でも反対する、ということなのでしょうか。まさに「坊主憎けりゃあ袈裟まで憎い」っていうわけです。
上記のル・モンド・ディプロマティークの記事にスペイン内戦で敗れた共和派の言葉を紹介してます。
我々はすべての闘いで負けたが、いちばん美しい歌を歌ったのは我々だった
古今東西かわりなく、サヨクって、下手な歌でもできるだけ多くの人が歌うことで多数派を目指すことよりも、誰が最後まで純粋に教義をまもっていたとか、あるいは、誰が一番、美しい歌を歌っていたかの方が重要なのですね(まあ、ロマンチックだこと)。
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コメント
辛らつな批評ですね。
A弁護士が,反対の1番手というのは,正直私も驚きましたし,総会参集者も想定外のことだったでしょう。
セーフティネットについて,私は,賛成にも反対にも棄権にも手を挙げませんでした。B先生は棄権でした。
その後総会反省会をやりましたが,別に「裏切り者」などとは言われませんでした。
サイサイ君の質問や,「日弁連敗北宣言」については,どのように思われましたか?
投稿: Barl-Karth | 2009年6月 3日 (水) 01時10分
サイサイ君の質問は素晴らしい質問でした。執行部の動揺が会場に伝わりましたね。
あの質問をした弁護士さんの法廷での反対尋問はさぞかしオモシロイ(良い意味で)と思います。是非、一度、法廷傍聴してみたいと思いました。
敗北宣言って、それもありえないし、勝利宣言なんてものも、あり得ないのではないでしょうか?
国会議員の3分の2が弁護士、しかも、その多くが官僚司法に反対する人権派弁護士という国会が誕生したなら、日弁連が勝利宣言することになるのでしょうね(冗談ですよ。念のために)。
国会議員の3分の2が人権派弁護士だったら、それも怖いかも。
投稿: 水口 | 2009年6月 3日 (水) 13時22分