« 労働法学会中止! | トップページ | 定年制は、定年までの有期雇用? »

2009年5月20日 (水)

裁判員制度と企業の労務管理セミナー

■東京都労働相談情報センター池袋事務所にて

5月19日、使用者向けセミナーとして、「裁判員裁判と企業の労務管理セミナー」で同テーマについて講義をしてきました。

http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/ibento/kyoiku/seminar/09003/index.html

100名くらいの企業の人事担当者の方々が参加されていました。盛況なのにおどろきました。労基法7条、裁判員法100条など基本的なことを解説しました。2時間のうち3分の1は、刑事裁判手続(無罪の推定の原則や検察官の立証責任)や、裁判員裁判の趣旨を話しました。そして、労働者が裁判員になった場合に、企業がどう対応すべきか、次のようなQをたてて話しました。私もこのテーマで話すのははじめてでした。

【Q】選任手続で、当社の労働者は、午前中で終了しました。にもかかわらず、午後、会社に戻らず、帰宅してしまいました。このような場合には、当該労働者を無断職場放棄として懲戒処分してもよろしいでしょうか。
【Q】派遣社員が裁判員で休むと言ってきました。認めなければならないのでしょうか。この場合に使用者は派遣先ですか、それとも派遣元でしょうか。
【Q】有給休暇の取得などの計算にあたって、裁判員裁判で欠勤した日を出勤したものとみなさなければならないのか。
【Q】賞与の出勤率の計算では、裁判員として欠勤した場合に欠勤控除して良いか。
【Q】労働者が裁判員裁判への出頭等の理由を会社に届け出ることは問題ないか。
【Q】裁判員裁判で休むという労働者に対して、裁判員になった証明書を見せろと言ったところ、裁判員法101条で禁じられていると言われたが、呼び出し状や証明を要求してはいけないのか。
【Q】わが社で、鈴木君が初めて裁判員裁判に選ばれました。社長が朝礼で、鈴木は裁判員になって、休むが、立派に務めを果たしてきて欲しいと激励をしたいと言っています。許されますか?
【Q】
裁判員裁判にて欠勤した場合に賃金を支払わなければならないのか。
【Q】当社では裁判員有給休暇制度を定めましたが、裁判員として裁判に参加した証明書の提出を義務づけたいと思いますが、証明書を裁判所は発行してくれるのでしょうか。
【Q】当社では裁判員の有給休暇制度を定めたのですが、労働者は裁判所から日当が出るそうです。有給なので、その日当を会社に納めろと請求しても良いでしょうか。
【Q】また、会社から有給をもらう労働者が日当を得るのは二重取りで許されず、日当は国に返還すべきと思いますがどうでしょうか。
【Q】
裁判員裁判で休暇を申し出た労働者に対して、業務の都合上で裁判員裁判を辞退するようにと指示することができるか。

【Q】労働者が裁判員で裁判所に出頭すると言ってきたので、年次有給休暇の申請をしろと命じたいと思いますが、問題ありませんか。

今日、使用したレジュメです。

「saibanintoroumukanri.doc」をダウンロード

■生協労連の「裁判員休暇制度」の労使協定書

ちなみに、裁判員の特別休暇制度の就業規則もテーマになりました。生協労連が「裁判員休暇制度」の労使協定書(労働協約)の案をインターネットで発表しています。大変に参考になりますので、次をご覧下さい。

http://cwu.jp/assertion-cms/files/2008/11/seisaku_014.pdf

519aamv75ql__sl500_aa240_

////////////////////

また、弁護士安西愈先生の「社員が裁判員に選ばれたらどうするか?」(労働調査会)を参考にさせていただきました。

//////////////////////

■無罪の推定

ちなみに、無罪の推定を説明をしたときに使用した図です。これは被告人・弁護側と、検察官を天秤にのせて、どっちの言い分が正しいかを考えるというのでは無罪の推定ではありません。最初から、被告人が無罪というように天秤は傾いています。他方の天秤に検察官が正しい証拠を積み重ねていき、被告人・弁護人が批判をしても、十分な重さがあるかどうかを見極めるのが裁判員の仕事というわけです。

Tenbin2

|

« 労働法学会中止! | トップページ | 定年制は、定年までの有期雇用? »

裁判」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 裁判員制度と企業の労務管理セミナー:

» はじまる裁判員制度、企業の対応は? [総務ではたらく女性のブログ*総務ウーマン]
すっかりウーマン日記をご無沙汰してしまっておりました このところ暖かい日が続いていますね 今日はさっそく、明日(21日)から施行される裁判員制度についての ニュ... [続きを読む]

受信: 2009年5月20日 (水) 07時46分

« 労働法学会中止! | トップページ | 定年制は、定年までの有期雇用? »