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2009年5月21日 (木)

定年制は、定年までの有期雇用?

■正社員は、定年までの有期雇用か?

いわゆるわが国の正社員の「終身雇用」って「定年までの有期雇用」という考え方(おそらく比喩)という説明があることを知りました。

実は、私も大学生のころ、定年制が定まっているのに、何故、期間の定めのない契約なのかって、とても不思議に思ったことを覚えています。

当時、次のように考えて、自分としては納得しました。

■期間と期限

民法に期間と期限、条件について定められています。期間は、1時間とか、60分とか、30日とか、1年という一定の時間を定めたものです。そして、その期間の計算方法は、民法138条から143条に厳格に定められています。

他方、条件と期限について、民法127条から137条に定められています。そして、条件とは将来の事実であるが、生じるかどうかが不明な事実である。期限は、将来の事実であるが、必ず生じる事実である、と定義されています。

ということで、年齢65歳を定年とするというのは、あくまで期限を定めたものであって、期間ではないということになります。

■40年間と雇用期間を定めたらどうなるのか?

他方、25歳の労働者を雇用するときに、「40年間にわたり雇用する」と契約すれば期間を定めた労働契約ということになるのでしょう。ところが、民法626条1項は、雇用期間が5年を超えた場合又は終身続くと定めた場合には、5年を超えたらいつでも自由に解約できるとしています。

労働基準法14条は、ご承知のとおり、労働契約期間を原則3年としています。で、これに反した期間は、労基法の強行的効力により、3年と規制されます。

というわけで、65歳になったら労働契約を終了すると定める定年制は、期間の定めのある労働契約ということは民法や労基法の規定上、間違いということになると思います。

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