「百年に一度」の大不況 への違和感
■1929年世界恐慌は80年前
現在の世界的不況について、「百年に一度の大不況」と良く言われています。でも、このフレーズには違和感があります。
1929年の世界恐慌は、100年前でなく、80年前の出来事ですよね。百年に一度って、世界恐慌より、今回の大不況の方が深刻だということが含意されているように思います。
でも、現在の大不況は1929年の世界恐慌より深刻な状況なんでしょうか。少なくとも現時点では、そこまでの悲惨な状況にはなっていないようです。(もっとも、今後、さらに悲惨な状況におちこむのかもしれませんが・・・・)
1929年の世界恐慌は、その後、ブロック経済、ファシズム、第二次世界大戦と、全世界を破局まで引きづりこみました。今回の「百年の一度の大不況」って言う人は、そのような事態を予測して言っているのでしょうか。そう発言する人も、そこまで覚悟して言っているようにも思えません。
■政府と経営者の便利な言い訳
「百年に一度」ってフレーズは、大企業経営者や政府の言い訳になっているんじゃないでしょうか。「百年に一度の大変なことなんだから、どうしようもないですよ。私のせいじゃない。」というエクスキューズのようです。
そもそも、資本制経済(市場経済)なんて、不安定なんだから、不況と好景気があって当たり前なのです(それが発展の原動力でもあったりします)。恐慌が繰り返されることも、ごく自然なことなのでしょう。経営者と政府は、「百年に一度あるかないかの大不況」なんて言い訳などしてないで、しっかりやるべき対策をしろって言いたいですね。
他方で、「それみろ。資本主義はやっぱりダメだ。」って、左翼的に、はしゃがないように自制したいと思います。
■雇用と福祉に関する「社会的合意」の形成
当面の失業・貧困対策のための緊急対策の実務的取り組みを強めながら、今回のような構造的な不況が続いても、失業や貧困に陥らないような雇用システムと福祉システムの社会的な合意を形成し、その合意内容を実現していくべきなのしょう。
その社会的な合意がなかなか・・・
正規労働者と非正規労働者の対立をあおって、またぞろ「解雇を自由化しろ。」なんて言う人が復活しつつあるようです。彼ら・彼女らは、「同一価値労働同一賃金の原則の実現こそが重要だ」なんて付加価値をつけてヴァージョンアップしています。目くらましにあう人も出るのかもしれません。(株主と企業経営者こそが「痛み」を負担しろってならないのが不思議です。)
合意の内容(政策)で一致すれば、今の政治的条件の下では、合意成立は可能のように思います。問題は、その合意内容をすりあわせるのが難しいのでしょうね・・・
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