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2009年3月 8日 (日)

労働審判の成果の公表を

■労働審判三年の統計結果

* 平成18年は4月~12月
 地裁 平成18年 平成19年 平成20年
 全国   877   1494  2052
 東京   258    485    711
 横浜    77     96    155
 さいたま    25     64     92
 千葉    26     70     69
 大阪    84    105   139
 京都    24     31    44
 神戸    33     72     80
 名古屋    54    111    124
 広島    15     18     35
 福岡    29     66    121
 仙台    16     35     32
 札幌    34     49     69
 高松     3      2      3

全国的には、平成20年は、前年に比較して1.3倍強の増加です。東京地裁では1.5倍弱の増加となっています。とはいえ、全国的にはムラがあり年間申立10件未満の地裁は珍しくありません。3年たっても新受件数10件未満の地裁は福井、佐賀、釧路、高松、高知の4地裁です。その原因は、申立側にあるのだと思います。当該地域に労働審判を活用しようとする意欲と体制が不足しているということなのでしょう。

既済事件の平均審理期間(全国)は75.2日で、既済事件の終局事由ごとの比率は下記のとおりだそうです。

  総計 審判

異議
申立

調停成立 24条終了 取下 却下・移送等
全国 3967件 19.2% (62.1%) 69.3% 3.2% 7.9% 0.5%
東京 1289件 17.1% (63.6%) 73.9% 2.7% 6.4% 0.3%

■労働審判の解決結果は社会的公共物

労働審判の内容が報告されているのは、労働判例での労働審判ダイジェストのコーナーと、Jurist2008年12月増刊号の「労働審判 事例と運用実務」(菅野和夫教授監修、日本弁護士連合会編)が参考になります。この増刊号には、実際に労働審判として係属して終結した事例が34ケースが掲載されています。

一部には、労働審判法16条が、「労働審判手続は、公開しない」と定めていることから、労働審判の解決内容なども非公開であると主張する方がいます。しかし、16条はあくまで審判手続が公開されないというものであって、その労働審判の結果について公表を禁じる趣旨ではありません。個別労働民事紛争事件が、労働審判でどのように解決されているのかは、もっと公表されてしかるべきです。

法律で定められ、国民の税金で労働審判が運用されている以上は、その成果、つまり個別労働紛争の解決ルールは社会的公共物にほかなりません。もっと積極的に労働審判の解決内容はオープンにされるべきです。もちろん、当事者のプライバシーを配慮するのは当然です。

■労働審判の解決結果の情報公開を

具体的には、裁判所は、労働審判の統計を各地裁ごとに公表すべきでしょう。そのような広報の努力を裁判所が行うべきです。また、労働審判の審判書、調停条項を、当事者名を伏せた上で、公表されるべきです。裁判所は、判例については、HPで当事者名を匿名にして公表しているのですから。

裁判所は、裁判の公開が定められた判決手続と手続を非公開とされた労働審判とで異なる取扱いをしているようです。しかし、労働審判は、実質的には訴訟事件であり、形式的に非訟事件として取り扱われているだけです。

何よりも、労働審判の解決結果は個別労働紛争解決の貴重なルールを形成していくものです。その意味で、解決という成果は、当事者だけの果実ではなく、社会公共物であるはずです。もっと情報公開がされてしかるべきです。

「労働審判は、司法改革の中で唯一の成功事例」と言われています。であれば、もっと、裁判所も情報公開に努力してほしいものです。

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コメント

当方は、労働審判にて、解雇撤回を獲得し、完全復職した者です。

しかも、その労働審判の申し立て人は、当方を解雇した会社でありました。会社は自ら申したてした労働審判結果により、解雇は無効になったのです。

労働審判史上レアケースであると思い、調べていたら、先生のブログに当たりました。先生の意見に賛成です。労働審判は結果公表し、労働者の助けとなるべきです。

投稿: 大森茂 | 2013年4月 3日 (水) 12時55分

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