非正規労働者たちの「逆襲」
■新自由主義者の陥穽
20年にわたり、雇用の流動化を旗頭にして、雇用形態を多様化するのが、労働法制・労働政策の基調でした。派遣労働法の規制緩和、有期雇用の拡大(有期雇用期間の延長)、請負労働の拡大・導入です。多様な働き方を望む、労働者の選択の幅をひろげるなどと喧伝されましたが、企業の本音は、労務費コストの低減と、景気の変動に対して雇用調整をしやすくするためのシステムです。
2008年9月の金融危機による景気悪化は、企業にとっては、いままで準備したことを実行する好機であったはずです。
ところが、逆に、企業は思わぬ逆襲を受けています。新自由主義そのもを根本的に批判する「世論」と「行動」が世界中に広がっています。人間を「モノ」あつかいしてきた新自由主義者=市場原理主義資本主義の信奉者らの失敗です。人間の「心」を無視してきたから、その痛みを和らげる対策をとることを怠った。これが彼らの本性の帰結であり、逃れられない陥穽にほかなりません。1980年のサッチャー・レーガン以降の流れが大きく変わることになると期待しています。
日本でも、非正規労働者への派遣契約解約、雇い止め、解雇を実行することに、社会的な大きな批判が起きています。まるで、津波のような社会的非難の広がりです。
大企業さえ、思わずたじろいでいるようです。
いすゞ自動車の臨時工の期間中途の解雇を一旦、撤回しています。もっとも、解雇を一旦撤回しながら、期間中途の合意退職と一定の金銭補償を提案していますので、これからが労働組合の交渉の正念場でしょう。越年闘争ですが、JMIUには是非、頑張って貰いたいと思います。
トヨタの経営幹部が共産党の志位委員長に会うことなんてもビックリですし、それがNHKニュースで報道されるのも驚きです。
団結して、声をあげれば大企業にさえ、譲歩を勝ち取れる。このような労働争議にマスコミが光をあて、労働者のアピールが成果をあげ、そして、このような取り組みが全国各地に広がるように期待します。
■「路頭に迷う」が比喩でなくなる
今までの労働相談と比較しても、今回の事態は状況が厳しくなっています。
「失業保険ももらえない」「寮から追い立てられて住む場所がない」るという切羽つまった相談は、過去20年の労働相談では一般的ではありませんでした。これも非正規労働を拡大してきた政策の結果です。
今までも景気が悪化して雇用不安はありましたが、明日の住むところがないというのは一般的ではありませんでした。
今までは、寮に入っている労働者でも、解雇されても、解雇を無効として争っている間は、会社に対しては、寮の入居は労働契約の付随契約として有効と主張して交渉できました。また、会社が第三者の大家からの借り上げ社宅をしている場合には、大家と交渉して解雇は無効であり、今、争っているのだから、勝手に賃貸借契約を解除しても、労働者に対抗できないとかなんとか言いながら、交渉して1~2ヶ月間、時間を稼ぎました。
ところが、派遣労働者の場合には、派遣先とは労働契約関係にないとされますから、もっと法的に不利な立場に置かれています。この点からみても、派遣労働者を拡大してきた政策が間違っていることは明白です。こうなると、労働組合の出番です。労働者がステイインするしかないのではないでしょうか。
■青年ユニオンのカンパの呼びかけ
青年ユニオン( http://www.seinen-u.org/ )が緊急の呼びかけをしています。私も呼びかけに応えようと思います。
是非、皆さんもお願いします。
雇用危機とたたかう首都圏青年ユニオンにご支援を
── 専従4人体制、緊急確保のための特別カンパのお願い──「首都圏青年ユニオン」に関心をもって下さっている皆さまへ
現在、大量の「派遣切り」「契約切り」など、急拡大してきた非正規雇用を中心に、かつてない雇用危機・生活危機が進行中です。大企業の大規模な雇用削減計画は、経営危機ではなく「減益予想」にもとづくものがほとんどで、本来ならば、ただちに大規模なストライキによる労働側の反撃がなされておかしくない状況です。
首都圏青年ユニオンは、2000年秋に非正規雇用の若者を中心として発足し、多くの若者の切実な要求・期待と皆さまのご支持に支えられ、大きく発展してまいりました。現在では、社会的にある程度の実際的影響を与えられる存在に成長しつつあると思います。現在の危機にたいしてもユニオンは、労働・生活相談への対応はもとより、たくさんの対企業交渉、雇用・住宅・当座の生活資金確保などでの政策提言・交渉、深刻な状況の社会的発信など、全力でこれとたたかっています。
<専従4人の体制をいそぐ>
現在の専従オルグは河添さんと山田さんの二人で、お二人とも「ほぼ限界」という水準の激務に耐え続けてこられました。しかし、現在の雇用危機は、青年ユニオンにいっそう多くの活動と社会的役割を課しています。要請される時代の課題にこたえ、力をつけてきたユニオン組合員の多面的なたたかいを十分に援助するには、どうしても専従オルグを大きくふやさなければなりません。
首都圏青年ユニオンは、財政的見通しが十分でない場合でも、早く専従4人体制を実現し、走りながら財政を確保したいと言っています。今の専従オルグのお二人の当座の生活費減もありうるというかまえです。
時代と正面から格闘しようとするこの意気込みに、わたしたち「首都圏青年ユニオンを支える会」も全力で応えたいと考え、その活動を急いで強化しているところです。
首都圏青年ユニオンに関心をお寄せになり、支援して下さっている方々に、二つのことをお願いしたいと存じます。
<緊急特別カンパのお願い>
専従オルグ4人体制を立ち上げる当座の資金として、2009年2月までに1000万円を集めたいと思います。どうかこのカンパの主旨をご理解いただき、ご協力いただきますよう心よりお願い申し上げます。
<支える会への加入のお願い>
「首都圏青年ユニオンを支える会」は、現在1000人を超えたところです。しかし、こうした状況に応えるためには、まだまだ力が足りません。支える会の会費で1200万円が安定的に確保できる状態を、2009年6月までに確保したいと思います。皆さまにも、支える会の会員になっていただければ幸いです。
これまで想像もできなかったような速さで、社会状況が悪化しています。今のまま進めば、次の世代は荒涼とした砂漠のような社会に生まれ、暮らすことになるでしょう。この流れにできうる限り抵抗し、次の世代に少しでも闘いやすい環境を残しておけるよう、できることは何でもやりたいと思います。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
<カンパ送付先・口座1>
郵便振替口座
口座番号 00170-0-12987
口座名義 首都圏青年ユニオン
※郵便局の窓口・ATM、ゆうちょダイレクトから振込ができます。<カンパ送付先・口座2>
銀行名 ゆうちょ銀行
金融機関コード 9900
店番 008
預金種目 普通
店名 〇〇八 店(ゼロゼロハチ店)
口座番号 8012448
口座名義 首都圏青年ユニオン
※銀行・労働金庫からの振込ができます。(銀行・労働金庫からのネットバンクからの振込もできます)
※口座2が使用できるのは、09年1月5日(月)からです。
※口座2へのお振込後は、お手数ですが首都圏青年ユニオンの以下のアドレスまで振込をしたことをお知らせください。
union@seinen-u.org
2008年 12月
首都圏青年ユニオンを支える会 共同代表
後藤眞生(元久留米高校教員)
後藤道夫(都留文科大学教員)
笹山尚人(弁護士)
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