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2008年11月11日 (火)

読書日記 「合衆国再生」 バラク・オバマ著 

2007年12月発行、2008年1月読了 棚橋志行訳 ダイヤモンド社

合衆国再生―大いなる希望を抱いて

■オバマ新米合衆国大統領

今年の正月に読んだ本です。民主党大統領候補を目指しており、シカゴの貧困地域で活動する黒人弁護士。これを購入したときには、まさか本当に大統領になるとは思いも寄りませんでした。

■印象に残ったエピソード-イリノイ州の死刑事件の自白ビデオ録画法案

オバマがイリノイ州の議員のとき、死刑事件の取調と自白にビデオ録画を課す法案の発起人になったとして次のようにことを書いています。

死刑制度はほとんど犯罪の抑止力にならないとわたしは思っているが、そのいっぽうで犯罪のなかにはあまりに極悪で常軌を逸していて、極刑を与えることで地域社会が最大限に憤怒を表現してしかるべきものもあると考えている。だが、当時のイリノイ州の死刑事件の裁きには、過失や警察のいかがわしい戦術や人種的偏見や不誠実な法の実務がはびこっていて、13人の死刑囚が容疑を晴らして釈放され・・・たほどであった。

死刑に反対する人々は人種差別や警察の職権濫用を繰り返し口にし、法を執行する側はわたしの法案は犯罪者を甘やかすことになるのではないかと言う。

話し合いのテーブルで、わたしは深刻な意見の相違には焦点を定めず、全員が共有しているはずの共通の価値観について話をした。つまり、無実の人はけっして死刑囚監房にいるべきではなく、死刑に相当する罪を犯した人は決して自由の身になるべきではないということだ。警察の代表からこの法案のどこが彼らの捜査の妨げになるのか具体的に指摘がなされたとき、わたしたちは法案を修正した。警察の代表から、録画するのは自白のところだけにしてはどうかと提案されたときには、この法案の目的は強要されて自白したのではないという確信を一般市民に与えることにあるのだと指摘し、断固譲らなかった。こういう過程を経て、最終的にこの法案は関係するすべての陣営の支持を得た。法案はイリノイ州上院を全員一致で通過し、署名を受けて成立した。

日本でも、現在、取調過程の可視化(録画)の法制化を日弁連が取り組んでいます。イリノイ州と同様に、警察・検察は反対しており、また、裁判員裁判反対勢力は取調の可視化の取り組みを批判しています。オバマ氏が直面した状況と似通っています。

■貧困弁護士(貧困者のための弁護士)

オバマ氏は、シカゴの市民権専門の小さな弁護士事務所で仕事をしていたようです。貧困者のための弁護士=貧困弁護士だったのでしょう。

ジョン・グリシャムの「路上の弁護士」という小説がありました。オバマは、このようなストリ-ト・ロイヤーズ(町弁)だったのでしょうか。

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あるいは、アメリカの著名な労働弁護士のアーサー・キノイ(「ある民衆の弁護士の物語」菅野昭夫訳)の末裔なのかもしれません。http://www.amazon.co.jp/%E8%A9%A6%E7%B7%B4%E3%81%AB%E7%AB%8B%E3%81%A4%E6%A8%A9%E5%88%A9%E2%80%95%E3%81%82%E3%82%8B%E6%B0%91%E8%A1%86%E3%81%AE%E5%BC%81%E8%AD%B7%E5%A3%AB%E3%81%AE%E7%89%A9%E8%AA%9E-%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%83%BC-%E3%82%AD%E3%83%8E%E3%82%A4/dp/4535579458/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1226417556&sr=1-1

■人間も、少しは進歩しているんだなあ

オバマ氏が大統領になっても、すべてがよくなるわけはありません。そうはいえども、あのアメリカで、黒人が、しかもビジネス・ロイヤーでない人権派弁護士が大統領になるなんて。人間も少し進歩するんだと久しぶりに感銘をうけました。アメリカでのお話しであって日本ではないのが、少し残念ですが。

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