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2008年8月11日 (月)

「労働契約」問題解決・労働法第1巻 旬報社

■問題解決・労働法シリーズ・第1巻「労働契約」

8月11日、旬報社から問題解決・労働法」シリーズ第1巻として、「労働契約」を出版します。私が書いた第1巻は、労働契約法の制定を念頭においた本で、労働契約の成立、変更を扱うものです。

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http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/467

このシリーズは、10巻物です。労働弁護団の弁護士が著者になっています。

http://www.junposha.com/catalog/news.php/news_id/15

労働契約法は、労働側でも賛否両論があった法律です。私は、公正な働くルールを形成する一歩として評価する立場から論じています。労働契約法は、即効性はないが、労働契約法理にボディーブローのような形でじんわり効いてくる法律ではないかと思います。労働契約法を生かすも殺すも、法律をいかに実践で活用できるかにかかっています。

■変更解約告知と「労使対等合意原則」(労働契約法3条1項)

労働契約法の活用例として、「変更解約告知」に影響をあたえる条文があると思います。労働契約法3条1項の労使対等合意原則(「労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする」)が定められています。この規定は直接的な私法的効力はないとされており、解釈の指針となるにすぎないとされています。

でも、労働契約法3条1項の下で、変更解約告知はどう考えられるでしょうか。

変更解約告知とは、「使用者が労働条件を不利益に変更することを通知し、これを承諾しなければ解雇する旨を告知すること」とされています。社長が「来月からお前の賃金を3割下げる。これを承諾しないなら解雇する」との通告してきました。これを拒絶したら解雇されるのですが、このような通告が許されるのでしょうか。また、解雇が怖くて不本意ながら拒絶できませんでしたが、賃金切り下げを争えないのでしょうか。

東京高裁の裁判例(日本ヒルトン事件)は変更解約告知は日本でもできると判断しています。他方、大阪高裁(大阪労働衛生センター第一病院事件)では、留保付き承諾制度が整備されていない日本では、変更解約告知を独自の類型として認めることはできないとしています。このように高裁レベルでも解釈は分かれています。

「拒絶したら解雇する」と解雇を脅しにして労働条件の不利益変更の承諾を求めるやり方は、労使が対等の立場で労働契約を変更したとは到底、言えないのではないでしょうか。しかも、労働条件を不利益に変更することを拒絶したことを理由に解雇をすることはできません(労働契約法16条は「客観的で合理的な理由があり、社会通念上、相当である」場合に解雇が有効となると定める)。

そうである以上、変更解約告知は、労使対等合意原則に反して許されないと解釈するのが自然ではないでしょうか。少なくとも、労働条件の変更を争う余地を残した「留保付き承諾」を認めるべきです。

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