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2008年7月18日 (金)

「匿名と顕名(実名)」考

匿名と、顕名(実名)に関しては様々な議論があります。

犯罪報道で、被疑者・被告人は匿名でよいか。顕名(実名)とすべきか?

政府の審議会での発言は匿名でよいか。顕名(実名)にすべきか?

インターネットでの発言は匿名でよいか。顕名(実名)にすべきか?

2002年、司法制度改革審議会の労働検討会を毎回、傍聴していたころ、第1回目の労働検討会で次のような議論がありました。当時の東京地裁労働部の裁判長であった某判事が、労働検討会の場の公表について、「発言者は匿名にすべきだ」と主張しました。

これに対して、高木剛・連合副会長(当時)は、「審議会で匿名にする理由はない」と強く反論をされました。某判事は、「審議会での私の発言が公になると、実際の裁判で当事者からクレームを受けるなど影響を受けるかもしれないので発言しにくい。」などと述べていました。

高木剛氏は、「審議会で発言したから、裁判がやりにくくなるという程度の裁判官では困る。そういう裁判官は審議会に出る資格はない。交代することも検討してもらうしかないのでは」という趣旨の発言をされました。

というわけで、労働検討会では顕名が実現しました。(高木剛氏・現連合会長の「毅然」とした態度に感銘を受けました。)

実は、当時の司法制度改革審議会の下、多数設けられた各検討会で、判事らは一斉に匿名主義を主張していました。おそらく、これは最高裁事務方の意向でしょう。この労働検討会の高木氏の反論を突破口にして、ほとんどの検討会で顕名主義が採用されました。
(なお、この某判事は、実際の労働裁判で何度もお会いしたことがありますが、この程度のことで発言がぶれるような方ではありません。「名前が出るのが怖くて、裁判官なんかつとまるか!」という心意気の方だと思います。そういう人でも最高裁の指示には従うしかなかったのでしょうね。)

犯罪報道については、私は被疑者・被告人については、(本人が顕名を希望しない限り)匿名報道が適切だと考えています。裁判員裁判が実施される現時点ではなおさらです。

インターネットでは、顕名か匿名かは、所詮、任意の世界なので、どっちでも良いということでしょう。ただし、匿名での発言は、「空っぽの洞窟の中での叫び声」(品悪く言えば「トイレの落書き」)と同じ程度の扱いをうけるものと思います。もっとも、日本では、落書(らくしょ)や落とし文は後世になって、二条河原落書のように歴史教科書にも載るような傑作になるという伝統があります。子どもの落書きということで捨て置けばよいようにも思ってしまいます。

しかし、小倉秀夫弁護士の「落書」や「落とし文」の連中と果敢に正面対決する熱意と正義感には本当に敬服するばかりです。

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