憲法と貧困/新自由主義経済と雇用の崩壊・森永卓郎氏 講演会
5月17日、日弁連と東京三弁護士会の憲法記念行事の講演シンポジウムがあります。
- 【日 時】
- 2008年5月17日(土) 午後1時~〔終了午後4時30分(予定)〕
《第一部》 基調講演「新自由主義経済と雇用の崩壊」
森永 卓郎氏(経済アナリスト・獨協大学教授)《第二部》 原告・弁護団からの報告
マクドナルド残業代訴訟原告 他《第三部》 パネルディスカッション
金澤 誠一氏(佛教大学教授 公共政策学)
遠藤 美奈氏(西南学院大学准教授 憲法)
藤井 威氏(元駐スウェーデン特命全権大使)
http://niben.jp/info/20080517.pdf
http://niben.jp/info/event20080517.html
パネルディスカッションの司会を、なぜか私が担当します。
日弁連の今年の人権擁護大会「貧困と労働」のプレシンポでもあります。
ちなみに、経営側は、【グローバル競争を勝ち残るためには、日本の労働者の高賃金を下げるしかない。企業は必死に国際競争を勝ち抜くために努力している!】などと主張しています。森永氏の「年収崩壊」(角川新書)では、そのような経営側の主張に、次のように痛快に反論しています。
一見もっともらしい理屈ですが本当にそうでしょうか。
GDP統計で見ると、興味深い事実が浮かび上がります。
2001年度から2005年度にかけて雇用者報酬が8兆5163億円減少したのに対して、企業の利益に相当する営業余剰は10兆1509億円増えているのです。このことは、企業が人件費の節約を製品価格の引き下げに振り向けたのではなく、全額利益の上積みに振り向けたことを意味しています。財務省の「法人企業統計」を見ると、興味深いことがわかります。2001年度から2005年度にかけての4年間で、企業が株主に払った配当金の総額2.8倍に増えています。株式の配当金だけで暮らしている大金持ちは、4年間で所得が3倍になったことになります。もう一方で、大金持ちになった人がいます。それが大企業の役員です。「法人企業統計」で役員報酬を見ると資本金10億円以上の企業では役員報酬が4年間で88%も増えています。(同書60~61頁)
つまり、労働者の賃金が2001年から2005年まで8兆5163億円も減少しているのに、株主と大企業の役員の報酬は逆に2倍以上増加しているということです。いやあ、判りやすい<収奪と搾取>ですね。
ところが、善良な日本人は、グローバル競争に勝つためには臥薪嘗胆という話を真に受けているわけです。でも、これを真に受けないのは若い「ワーキング・プア」です(「反貧困」 湯浅誠著・岩波新書)。貧困とたたかう労働運動と市民運動のネットワークが貧困と克服する新しいウエーブになることを応援したいと思います。
リーガリズムの立場からは、憲法25条の生存権と、同27条1項の労働権、同2項の勤務条件法定主義を定めた憲法条項の規範性の強化が課題です。
伝統的な労働運動が弱いとき(強くなることが、今後あるのだろうか?)には、憲法規範を援用するリーガリズムが「資本」に対する社会的障壁にならざるをえないということですね。
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