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2008年5月25日 (日)

アクセス数の分析

■アクセスの多いページ・トップ20

2008年2月1日から同年5月23日までのアクセス数が多かったページは次のとおりです。総アクセス数が、おかげさまで14万件になりました。なお、赤字は労働法関係。青字は法曹人口関係です。

1) 日本マクドナルド店長残業代請求事件判決
2) 2/17朝日新聞社説:弁護士増員 抵抗するのは身勝手だ
3) 橋下徹大阪府知事 あんさん正気かいな?
4) 再論:改正パートタイム労働法と丸子警報器事件
5) 松下PDP事件 全面勝訴!-大阪高裁が地位確認請求を認容
6) 法曹人口3千人増員の見直し
7) 日本の自殺率-驚愕の国際比較
8) 成果主義賃金による降級・減額措置を違法とした東京高裁判決-マッキャンエリクソン事件
9) 首都圏建設アスベスト訴訟
10) 労働者派遣法の「見直し」の見直し
11) 会社分割・労働契約承継法と「在籍出向」

12) 予想された反応/弁護士増員問題
13) 改正パート労働者法8条の影響
14) 東京都「君が代」嘱託教職員再雇用拒否事件 東京地裁判決 勝訴
15) 司法試験と労働法の今昔
16) 弁護士大増員時代-ドイツ弁護士事情
17) またまた「法曹増員」論
18) 労働法の復権と「隔差社会」
19) 二年目も順調 労働審判手続

20) 歌わせたい男たち

■見てくれている人たちの傾向

労働法関係のテーマを多く見ていただいています。「日本マクド」がトップなのは、判決要旨をアップしたからでしょうね。「パート労働法」は、極めて地味なテーマにもかかわらず、アクセスが多い。これは意外です。けっこう、労使関係の実務担当者(それも、使用者側?)の来訪者が多いということだと思います。

ほかには、法曹人口関係のテーマにアクセスが多いです。法曹人口テーマの閲覧数が多いのは、同業者が結構、見てくれているということでしょうね。また、「日本の自殺率」は、一番長く常に10位以内にあります。

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2008年5月23日 (金)

松下PDP事件-大阪高裁判決全文

■大阪高裁判決全文

松下PDP事件の判決全文を村田浩治先生から送っていただき、ご了解を得ましたので、原告名・証人名をマスクしてアップします。

「matsushitahanketu08425.pdf」をダウンロード

■大阪高裁判決のポイント(黙示の労働契約の成立を認定)

松下PDP(1審被告)は、パスコ(請負会社)と形式的には業務委託契約を締結しています。1審原告はパスコと形式的には労働契約を締結して、パスコは1審原告を1審被告会社の事業に従事させていた。1審原告は、1審被告の担当者の指揮命令を受けて、業務に従事していたのです。

大阪高裁判決は次のように判断しています。

 1審被告・パスコン間の契約は、パスコが1審原告を他人である1審被告の指揮命令を受けて1審被告のために労働に従事させる労働者供給契約というべきであり、1審原告・パスコ間の契約は上記目的達成のための契約と認めることができる。

 脱法的な労働者供給契約として、職業安定法44条及び中間搾取を禁じた労働基準法6条に違反し強度に違法性を有し、公の秩序に反するものとして民法90条により無効というべきである。(判決文30~31頁)

 したがって、1審被告・パスコ間、1審原告・パスコ間の各契約は締結当初から無効である。(判決文31~32頁)

 労働契約も他の私法上の契約と同様に当事者間の明示の合意によって締結されるばかりでなく、黙示の合意によって成立し得るところ、労働契約の本質は使用者が労働者を指揮命令及び監督し、労働者が賃金の支払いを受けて労務を提供することがあるから、黙示の合意により労働契約が成立したかどうかは、当該労務供給形態の具体的実態により両者間の事実上の使用従属関係、労務提供関係、賃金支払関係があるかどうか、この関係から両者間に客観的に推認される黙示の意思の合致があるかどうかによって判断するのが相当である。(判決文32頁)

 1審被告は、1審原告を直接指揮監督をしていたものとして、その間に事実上の使用従属関係があったと認めるのが相当であり、また、1審原告がパスコから給与等として受領する金員は、1審被告がパスコに業務委託料として支払った金員からパスコの利益等を控除した額を基礎とするものであって、1審被告が1審原告が給与等の名目で受領する金員の額を実質的に決定する立場にあったといえるから、1審被告が、1審原告を直接指揮、命令監督して本件工場において作業せしめ、その採用、失職、就業条件の決定、賃金支払等を実質的に行い、1審原告がこれに対応して上記工程で労務提供していたということができる。
 そうすると、無効である前記各契約にもかかわらず継続した1審原告・1審被告間の上記実体関係を法的に根拠づけ得るのは、両者間の使用従属関係、賃金支払関係、労務提供関係等の関係から客観的に推認される1審原告・1審被告間の労働契約のほかなく、両者の間には黙示の労働契約の成立が認められるというべきである。(判決文32~32頁)

①パスコと1審被告の業務委託契約は、脱法的な労働者供給契約として無効とする。

②パスコと1審原告との「労働契約」も公序良俗違反として無効とする。

③その上で、1審被告と1審原告との間では使用従属関係があることから、黙示の労働契約の成立を認める。

1審原告はパスコから「給与」をもらっているのすが、大阪高裁は、1審原告とパスコとの間の「労働契約」は無効であるとした上で、1審被告が採用、失職、就業条件の決定、賃金支払い等を実質的に決定する立場にいたとして、使用従属性を肯定して、黙示の労働契約の成立を認めました。この「実質的に労働条件決定する立場にある」ことを強調する点は、朝日放送事件の最高裁判決を意識しているように読めます。

あとは、1審被告と1審原告との労働契約の成立が認められた以上、雇い止めの権利濫用ということになります。

大阪高裁は、松下PDPの主張が、著しく労働法を無視し、身勝手な主張だと判断して、このような画期的な判決となったものだと思います。

大阪高裁は「強度の違法性を有し、公の秩序に反する」と判示しています。これは高裁の裁判官たちが、1審被告の措置に対して、心底怒っているという感じです。

この高裁判決によれば、偽装請負のケースのほとんどは、受け入れ企業と労働者との間で黙示の労働契約が成立しているということになります。まあ、当然の帰結です。もっとも、では製造業の派遣労働者になれば良いのか、というとそうではありません。この高裁判決により偽装請負問題の全て解決するわけではないですが、大きな前進であることは間違いないです。

■川口美貴教授(関西大学法科大学院)の鑑定意見書

日本労働弁護団の「季刊・労働者の権利」273号54頁以下に、川口美貴教授・弁護士の本事件についての鑑定意見書が掲載されています。この川口鑑定意見書は大阪高裁に1審原告の証拠として提出されたものです。大阪高裁判決の基本は、川口先生の意見書の枠組を踏襲していると思います。

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2008年5月16日 (金)

首都圏建設アスベスト訴訟提訴 08.5.16

■2008年5月16日 提訴

国と建材メーカー46社を被告として、本日、東京地裁に東京、埼玉、千葉在住の原告172名(原告単位)が裁判を提訴しました。日比谷野音に3600人が結集して提訴集会を開催し、その後、霞ヶ関の官庁街をデモ行進しました。提訴の段階で、これだけの取り組みをする運動は、私も初めてです。それだけ東京土建などの建設関連労働組合がこの問題を重視していることのあらわれです。

読売新聞 2008年5月16日夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080516-OYT1T00313.htm

6月30日には、横浜地裁で41名の原告が提訴する予定です。

■原告団・弁護団声明

「seimeiasubesuto.rtf」をダウンロード

■国及び企業の責任論

訴状は本文だけで153頁。責任論の項目立ては、次のようなものです。

●日本における石綿含有建材
   - 石綿建材使用推進政策
●建築と原告らの作業内容及び石綿粉じん曝露の実態
●石綿関連疾患の知見について
●国の責任
  第1 国の規制権限不行使の違法
 第2 労働関係法令に基づく国の責任
    1 石綿粉じんによる労働災害防止のために国が行ってきた規制の概要
    2 労働関係法令に基づく労働大臣等の規制権限とその趣旨・目的
    3 国が規制権限を行使すべきであった石綿粉じん曝露防止対策
    (1) 石綿の製造等の禁止措置義務と義務違反
    (2) 石綿吹付け作業の禁止措置
    (3) 石綿曝露防止の規制措置 
    ア 警告義務 
    イ  定期的粉じん測定義務
    ウ 石綿含有建材加工時における曝露防止規制措置
    エ 吹付石綿の剥離・除去対策(改修作業)
    オ 換気・局所排気装置の設置 
    カ 石綿関連疾患についての特別教育義務と義務違反
  第3 毒物及び劇物取締法に基づく国の責任 
 第4 建築基準法に基づく国の責任 
    1 はじめに 
    2 建基法(制定時)における石綿含有建材の位置付け 
    3 石綿に関する建基法・同施行令・告示・通達の変遷 
    4 建築関連法令による石綿含有建材に対する規制 
    5 建基法に基づく規制権限と趣旨・目的 
    6 内閣総理大臣・建設大臣の規制権限不行使の違法
●石綿含有建材製造企業の責任
 第1 不法行為責任 - 石綿の危険性警告義務違反、石綿使用中止義務違反
 第2 製造物責任
 第3 因果関係と被告メーカーらの共同不法行為 

■被告企業46社

被告とした建材メーカーは次の46社です。長期間にわたり石綿含有建材を製造・販売してきた代表的企業です。

1) 旭硝子㈱、 2) 旭トステム外装(株)、 3) (株)INAX、 4) ウベボード(株)、 5) 永大産業㈱、 6) (株)エーアンドエーマテリアル、 7) (株)クボタ、 8) クボタ松下電工外装(株)、 9) 倉敷紡績(株)、 10) クリオン(株)、 11) 神島化学工業(株)、 12) 壽工業(株)、 13) 小松ウォール工業㈱、 14) JFE建材(株)、 15) 昭和電工建材(株)、 16) 新日鐵化学(株)、 17) 住友大阪セメント(株)、 18) 積水化学工業(株)、 19) 大建工業(株)、 20) ダイソー㈱、 21) 太平洋セメント(株)、 22) タカラスタンダード(株)、 23) チヨダウーテ(株)、 24) DIC(株)、 25) 電気化学工業(株)、 26) 東洋テックス(株)、 27) 東レACE(株)、 28) トステム(株)、 29) ナイガイ(株)、 30) ニチアス(株)、 31) ニチハ(株)、 32) 日東紡績(株)、 33) 日本インシュレーション (株)、 34) 日本碍子(株)、 35) 日本化成(株)、 36) 日本バルカー工業(株)、 37) 日本ロックウール(株)、 38) (株)ノザワ、 39) (株)ノダ、 40) 福田金属箔粉工業(株)、 41) フクビ化学工業(株)、 42) 文化シヤッター(株)、 43) 三菱マテリアル建材(株)、 44) 明和産業(株)、 45) 吉野石膏(株)、 46) (株)淀川製鋼所

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2008年5月10日 (土)

憲法と貧困/新自由主義経済と雇用の崩壊・森永卓郎氏 講演会

5月17日、日弁連と東京三弁護士会の憲法記念行事の講演シンポジウムがあります。

【日 時】
2008年5月17日(土) 午後1時~〔終了午後4時30分(予定)〕

《第一部》 基調講演「新自由主義経済と雇用の崩壊」
      森永 卓郎氏(経済アナリスト・獨協大学教授)

《第二部》 原告・弁護団からの報告
      マクドナルド残業代訴訟原告 他

《第三部》 パネルディスカッション
     金澤 誠一氏(佛教大学教授 公共政策学)
     遠藤 美奈氏(西南学院大学准教授 憲法)
     藤井  威氏(元駐スウェーデン特命全権大使)

http://niben.jp/info/20080517.pdf

http://niben.jp/info/event20080517.html

パネルディスカッションの司会を、なぜか私が担当します。
日弁連の今年の人権擁護大会「貧困と労働」のプレシンポでもあります。

ちなみに、経営側は、【グローバル競争を勝ち残るためには、日本の労働者の高賃金を下げるしかない。企業は必死に国際競争を勝ち抜くために努力している!】などと主張しています。森永氏の「年収崩壊」(角川新書)では、そのような経営側の主張に、次のように痛快に反論しています。

一見もっともらしい理屈ですが本当にそうでしょうか。
GDP統計で見ると、興味深い事実が浮かび上がります。
2001年度から2005年度にかけて雇用者報酬が8兆5163億円減少したのに対して、企業の利益に相当する営業余剰は10兆1509億円増えているのです。このことは、企業が人件費の節約を製品価格の引き下げに振り向けたのではなく、全額利益の上積みに振り向けたことを意味しています。

財務省の「法人企業統計」を見ると、興味深いことがわかります。2001年度から2005年度にかけての4年間で、企業が株主に払った配当金の総額2.8倍に増えています。株式の配当金だけで暮らしている大金持ちは、4年間で所得が3倍になったことになります。もう一方で、大金持ちになった人がいます。それが大企業の役員です。「法人企業統計」で役員報酬を見ると資本金10億円以上の企業では役員報酬が4年間で88%も増えています。(同書60~61頁)

つまり、労働者の賃金が2001年から2005年まで8兆5163億円も減少しているのに、株主と大企業の役員の報酬は逆に2倍以上増加しているということです。いやあ、判りやすい<収奪と搾取>ですね。

ところが、善良な日本人は、グローバル競争に勝つためには臥薪嘗胆という話を真に受けているわけです。でも、これを真に受けないのは若い「ワーキング・プア」です(「反貧困」 湯浅誠著・岩波新書)。貧困とたたかう労働運動と市民運動のネットワークが貧困と克服する新しいウエーブになることを応援したいと思います。

リーガリズムの立場からは、憲法25条の生存権と、同27条1項の労働権、同2項の勤務条件法定主義を定めた憲法条項の規範性の強化が課題です。

伝統的な労働運動が弱いとき(強くなることが、今後あるのだろうか?)には、憲法規範を援用するリーガリズムが「資本」に対する社会的障壁にならざるをえないということですね。

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