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2008年3月 8日 (土)

二年目も順調 労働審判手続

■労働審判施行二年

 労働審判の一年目の順調な滑り出しは、二年目も続いています。
 2006(平成18)年4月に労働審判手続が実施されて二年を経過しようとしています。今年2月26日、最高裁事務総局行政局と日弁連との労働審判制度に関する協議会がありました。また、同月28日には東京地裁労働部と東京三弁護士会との労働審判協議会が開催されました。東京地裁労働部と東京三弁護士会労働審判協議会との協議結果の詳細は、後日、判例タイムズに掲載される予定です。

■申立事件の顕著な増加傾向

 最高裁が発表した労働審判手続の速報値から特徴を検討します。

 2006年4月~2007年3月(平成18年度の1年間)申立件数
  東京地裁  345件 (平均月申立件数28.8件)
    全    国   1163件 (平均月申立件数96.9件)

 2007年4月~同年12月(平成19年度の9か月)申立件数
  東京地裁  398件 (平均月申立件数44.2件)
  全   国  1208件 (平均月申立件数134.2件)

 二年目に入ってから東京地裁は一年目と比較して1.5倍、全国でも1.4倍のペースで増加しています。このペースで行くと、二年目の申立件数は、東京地裁で500件を超え、全国では1600件を超えることになります。

■労働審判解決率 約8割。平均審理期間 約70日。

 労働審判の解決の傾向は、二年目になっても一年目と変わりません。調停成立が約7割、労働審判になる約2割のうち、異議申立がなく確定するものが4割あります。つまり、労働審判手続内で約8割が解決しています。しかも、申立から終局までの平均審理期間は東京地裁は約70日、全国平均は約75日です。

 ○調停成立  
      東京地裁 72.5%
   全   国   69.3%
 ○労働審判             異議申立
      東京地裁 18.2%→62.3%
   全   国   20.1%→61.0%
  ○24条終了
   東京地裁 3.2%
   全    国  3.2%
 ○取下げ等
      東京地裁 6.2%
    全   国   7.5%
  ○申立から終局までの平均審理期間
   東京地裁 69.8日
   全    国 74.9日

■裁判官ネットワークでの裁判官の感想

 日本裁判官ネットワークのオピニオンのコーナーの「Judgeの目18」で、浅見宣義判事(大分地裁)が感想を述べられています。ごく一部を引用させていただきます。詳細は是非、同ネットワークのHPでご覧下さい。 http://www.j-j-n.com/
 

… 労働事件といえば、激しい対立を予想しますから、果たして3回の審理期日で終結できるものか私自身心配でした。…制度そのものに悲観論も根強かったように思いますし、利用する側の弁護士さんからも、悲観論を直接聞かされることも私自身経験しました。しかし、実際に制度が始まり、自分も数件関与してみると、確かに3回の審理期日で全ての事件が終結に至ったのです。しかも、話し合いで解決する調停成立に至った事件がほとんどです。…

■労働審判手続の妙味

 労働審判手続は、単なる調停ではありません。労働審判委員会が双方の言い分を聞いた上で、一応の判断に基づいて手続きが進められるものです。法律家である労働審判官、労使から推薦された労働審判員の「判定」を踏まえての話し合い手続きだからこそ、調停成立率が高いのです。当事者に対する説得力と納得性が高いからこそ、調停成立率が高まるのだと思います。このバランスが崩れると、労働審判委員会の調停案の「押しつけ」になってしまいます。このような愚に陥ることなく、労働審判手続がより一層、活用されることが期待されます。

◆過去の労働審判関連ブログ

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/03/post_5976.html

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/05/post_f215.html

http://analyticalsociaboy.txt-nifty.com/yoakemaeka/2007/06/post_8650.html

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コメント

以下のいすゞ問題についてはいずれキャノン等においても問題になると考えられます。情報として送付致します。

いすゞ自動車が、偽装請負を是正するとして直接雇用した期間社員を、
雇用期間の上限(二年十一カ月)を理由に四月から雇い止め(解雇)しようとしていることが四日までに明らかになりました。
対象者は約千五百人にのぼるとみられ、「寮に住んでいる。解雇になれば職も住まいも失う」「毎日残業もあるほど忙しいのになぜ解雇か」との声が上がっています。

 同社では、二〇〇二年のリストラを機に非正規雇用が急増。
しかし、偽装請負だったため労働者の告発などを機に直接雇用へ切り替え。
〇六年には千五百人を期間工にしたものの二―三カ月の短期契約が繰り返され、不安が広がっていました。

 会社側は、就業規則にある上限を解雇理由にあげていますが、見たこともない人がほとんど。雇い止めの一方で残業が恒常化し、新たに期間工の募集が行われています。

投稿: MD | 2008年3月15日 (土) 07時41分

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